見出し画像

るろうに剣心 最終章 The Final 『未来』の先には『現在(いま)』がある

全シリーズ、時間軸として物語の最後を締め括る剣心と薫。
一作目から思い返してみると、二人は向き合うことはあれど、並んで歩みを進めているわけではなかったように思う。
「おかえりなさい」そう迎える薫に「ただいまでござる」と応える剣心。
「ともに見守ってくださらぬか」そう問いかける剣心に、「えっ?」と驚く薫。

けれど今回、最後は2人が同じ方向を見て
隣に並んで歩いていくーーー

剣心や薫、剣心の周囲の仲間を通してみる最終章と、わたしの感じたるろうに剣心の「未来」について綴ってみようと思う。


Finalの作中では、剣心の拭いきれない過去や、彼に影を落とすものがまだあることがうかがい知れる。
木立の中、傘を持って雨に打たれる剣心を迎えに行くのは薫。一作目でもそうだ。
彼の心の雨に、傘をさしてくれるのは彼女なんだと、再確認する。
ところが、素直に傘を受け取れるようにはなったものの、肝心の剣心は目を伏せたまま。
このとき、二人はどうなっていくのだろうと、わずかに不安を覚えていた。

だからこそ、ラストの剣心の「さようなら」の言葉にわたしは救われた。
今度は晴れた日の木立の中で、ちゃんと薫の目を見て、彼は手を差し出したのだ。
巴へのさようならは、過去へのさようなら。薫へ差し出した手は、未来へと繋がっている。
(※副音声で佐藤健氏が「わからないが、剣心にとって巴は『過去』の象徴で、薫は『未来』の象徴なのでは」と発言していたが、心底同意した。)
人斬りの過去は、少しずつ、剥がれ落ちていっている。
ちゃんと、剣心が救った人たちだけでなく、剣心自身も、前に進めている。新しい時代を、生きていける…

わたしは、薫は「未来」であると同時に、人を活かす剣、活心流の象徴そのものであるとも思っている。
その新しい「剣の心」の解釈は、剣心を何度も救っているはずだ。
剣心は、自ら幸せを選ぶことができるようになった。
それは、「平和に慣れる」その言葉にも近いといえるだろう。
薫が隣にいれば、もう大丈夫。そう思える最後がすごく好きだ。

剣心の帰る場所を本人よりもわかっていて、守り続けてくれていたのは、
薫をはじめ、左之助、弥彦や恵といった剣心のそばにいてくれる人たちだと思う。
道場を必死に守ろうと身体を張る姿や、這ってでも帰ってこいと喝を入れたあの声も、忘れることはできない。
そして、「不殺の誓い」も、支えてきたのは剣心の意志だけではなかったように感じている。
「殺しちゃ駄目」と声をかけ続けた薫や、逆刃刀の生みの親、新井赤空のような、未来に希望を託した人たち。
そういった存在がなければ、剣心が今どこを流れていたか、わからないのだから。
きっと剣心は、シリーズを通して、彼らに生かされていることに気づくことができたのではないだろうか。
その想いに応えるように、この先も多くの人を守っていく…そんな予感がする。

とても好きな場面がある。
縁が巴からの手紙を読んだあと、きらめくような音楽とともに、道場で素振りをする明神弥彦の表情が映るシーンだ。
神谷活心流を受け継いでいく弥彦。
これからの未来を指し示すように、活心真如の文字が飛び込んでくる。
まるで広い青空を仰ぎ見るときのように、きらきらとした希望に満ちた音楽が、胸を打つ。
幕が下りていくのを感じながらも、わたしはその中に始まりを見た。

その先へ、わたしたちのいる現在へ、続いていく。
剣心たちが向かっていった未来の先には、現在がある。
映画るろうに剣心は、決して遠い時代の話ではなかったと、Finalは感じさせてくれた。
わたしもまた、新しい時代を歩いていくが
ときに隣を見れば、剣心や薫、左之助や恵、弥彦が一緒にいてくれる気がする。

#るろうに剣心最終章 #るろうに剣心最終章最終章TheFinal

https://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin2020/

https://note.com/ruroken_movie/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?