せんせい、あのね。

 きのうのアルバイトのとき、久しぶりにホウキとチリトリを使って床をそうじしました。
 中学校でも高校でもそうじの時間はあったけど、わたしが思い出したのは小学校のそうじです。あのころはまだ身体が小さかったから、ホウキ係とチリトリ係に分かれてゴミを集めていました。
 わたしがホウキ係のときに好きな人がチリトリ係をしていたり、その反対だったりしたときはちょっとだけ嬉しかった。

 そういえば小学生って、どうして好きな人に順位をつけたがるんですかね。1位ユウキくん、2位ショウタくん、3位ケイくん。しかも些細なことですぐに順位がかわっちゃうんです。カブ価かよ。
 たぶんむかしは「推し」っていうのを知らなかったせいだと思います。そもそも付き合うなんて言葉さえも知りませんでした。好きだけど付き合うのはちがう男の子のことを、今のわたしは「推し」ってよびます。

 弟がまだ小学生なので、小学校にまつわるものを「なつかしい」と思うことは少なかったつもりです。だけど実際にホウキとチリトリを使ってみると一気に6年間がよみがえりました。
 しゅうだんとうこうのグループが違うだけで家がめちゃくちゃ遠くに感じた。毎年12がつになると、じゆう帳がみんなの住所でうめつくされた。給食のさかなと牛乳のくみあわせ、せんせいはどう思いますか?

 あと低学年のときしかなかった生活のじゅぎょう、あれってアサガオとかトマトとかそだてさせてくれますよね。でも今この歳で植物をそだてようと思うと、土もプランターも何もかも、ぜんぶ自分で用意しないとダメなんです。なかなかやろうと思えません。
 お花やさんを通っても「かわいいなあ」と感じるだけで、植物はちょっと遠い存在。アサガオかかえて登下校とか夢のまたゆめ。とてもきちょうな経験なので、将来こどもが生まれたら「大事にしなよ」とおしえます。

 せんせい、あのね。小学校ってやっぱりすごく懐かしい。懐かしいとおもう気持ちはひとの心をとても綺麗にしてくれます。


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