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人口減少地域で育つということ⑤モデルの少なさ

私は東北地方の人口減少地域で生まれ育ちました。
「人口減少地域に生まれ育つということ」シリーズでは、自分の経験を記すことで、現在人口減少地域に住む子どもたちにとって何かしらのヒントになるといいなと思っています。

人口減少地域に生まれ育つ中で困難を感じていたことは、生き方のモデルが限られることと、それにより自分の将来像が狭くなってしまうことです。

田舎だったので、自分の家族や親戚や近所の人たちは地域の中小企業に勤めるか、役所に勤めるか、病院に勤めるか、介護の仕事か、農業をしているか、という人が多く、首都圏のように大企業に勤めるなどのイメージが持ちにくいのです。
テレビをみているとはバリバリのサラリーマンやメディアの仕事、美容関係の仕事、海外で働くなどさまざまな選択肢があるんだなということがわかりますが、そのような仕事に就いている人自体が周りに少ないもしくはほとんどいないので、自分自身の将来のイメージと、なかなか結びつかない感じがしています。
「憧れるけど、なる方法も分からないし、なれないんじゃ無いか?」という心境でした。

進路選択の際も、自分のやりたいことと仕事が結びつかずに、自分にとって一番身近な学校教育について学ぶことにしたのでした。
(正確には私は心理学に関心があったのですが、親に「心理学を学んでどんな仕事につけるのか?」と質問され、確かに仕事が無いかもしれないと思い、教育心理を選択しました。学校教育にも関心があったので、妥当な選択肢だったとも思うのですが、その時心理学を選んでいたら今とは違った未来があったのかもしれません。)

<人口減少地域の子どもたちへのメッセージ> 
いまちょうど自分の将来の夢や進路について悩んでいる人がいるかもしれません。
自分の周りに実際にその仕事をしている人がいないと、イメージが湧かなかったり、自分には出来ないと思い込んでしまうことがあるかもしれません。
でも!それであきらめてしまうことはすごくもったいないです!
興味があることがあったら、まずはとことん調べてみましょう。調べ方を教えます。

①自分の夢や進路に関して書き留めるためのノートを1冊用意しましょう。
②自分の夢(例えば宇宙飛行士など)について本やネットで調べてみましょう。今はインターネットからさまざまな情報が得られるので、まずはインターネットである程度調べて、詳しい内容は本で調べるのがいいでしょう。図書館にも仕事について書かれている本が沢山あると思うので、探して読んでみましょう。
③どんな仕事か分かったら、それが学べる学校を調べてみましょう。理系だと高校のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)などに指定されているところだと自分の関心に合った学びができるかもしれません。大学はそのことが学べる学科があるかどうかを調べましょう。(例えば、宇宙飛行士になりたかったら宇宙に関する学科など)
また、特に調べたいことが決まっていれば(例えば宇宙ゴミについてなど)、そのことが学べる大学の授業について調べたり、そのことを研究している教授について調べると良いです。その教授が研究しているテーマや論文、著作などもあらかじめ読んでおくと、自分のやりたいことと合っているか確かめられるでしょう。
④ここまで調べて、やっぱり自分はこの方向に進みたい!と思ったら、今まで調べてきたノートを両親や周りの大人に見せましょう。
ここまで調べたんだ、ということを示せば大人も理解してくれ、応援してくれるはずです。

大事なのは「やってみたいけれどよく分からないからやめておこう」ではなく「やってみたいから分からないところを解決して、やれる方法を考えよう」という気持ちです!

家庭の事情などさまざまな理由で自分の興味や夢をあきらめてしまうことはすごくもったいないことです。学びたいことがあり、努力している人には奨学金をはじめとしたさまざまな支援があります。あきらめないで、できる方法を探し、取り組んで欲しいと思います。

<人口減少地域の大人の方へ> 
今は変化の激しい時代です。私たちが生まれ生きてきた時代とは全く違う時代を子どもたちそして私たちも生きているということをまずは理解してほしいと思います。
これからは今までなかったような仕事が次々と生まれて来る時代です。私たち大人が予想できない仕事がたくさんうまれてくるでしょうし、子どもたちもそんな新しい仕事に就きたいと話すことがあるでしょう。
その時にお願いしたいのが大人側がその仕事をよく分からない、理解できないという理由で否定したり、自分たちと同じような道に行かせようとさせないことです。
まずは、子どもたちと一緒に、その仕事について学び、今そしてこれからの時代についても学び、子どもたちとその仕事をつなげられらようなサポートをしてください。
大人たち自身が変化の激しい時代に対応していけるかがとても重要です。
大人も一緒に学ぶ姿勢を持ち、子どもたちの意思や思いを大切にしてほしいと思います。



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