朝起きるのが辛い人のモーニングルーティーン

 朝、起きては動悸がする。ドライアイで目が開かない。

 行動を起こす前に問題を解決しないとならない。

 普通の人ならば、朝起きたら動悸はないのだろうか。普通ではないから分からない。

 ベッドサイドに置いている目薬で目に水分を与える。刺激が嫌いなので低刺激のものだ。あのスーってしみるやつ。あれ嫌いなんだよね。だから目薬のたしかピンクの色した箱だったと思う。

 自律神経の乱れからなる日常的な動悸とはかれこれもう半年以上の付き合いだ。日中ずっと動悸がしていた頃と比べたら、毎朝の動悸はわたしに言い換えれば「朝だけの動悸」である。
 2分ほど寝転がりながら瞑想し、呼吸に意識を向ける。内科医に分かりやすく言われたのは「意識と心臓の鼓動が乖離している」ということだった。だから、鼓動の感覚をこちらに取り戻す必要がある。鼓動を自分とは別物だと思わせない行動を取るために瞑想をする。背筋が伸びていれば良い。重力の力を借りて背筋を伸ばすには寝転がったままがちょうどいい。「悪魔執事と黒い猫」(略称は「あくねこ」)というアプリがあるのだが朝起きるのが辛い人向けの機能が多く大変助かっている。そのアプリで瞑想を始める。


 瞑想が終わり動悸も薄まり、おおよその問題は解決できた。

 ベッド下の引き出しから拭き取り化粧水とコットンを取り出す。顔を手入れする。体が動かないのなら動かない範疇でどうにかしてしまえば良いという考えだ。化粧水と乳液は全てハトムギだ。肌に合うから使っている。安っぽい肌だと思う。

 保湿も終わった頃、毛布を手にして思う。

 やはり、動きたくない。ストレッチをしてみる。これも「あくねこ」を使う。

 疲れた。
 しかし動悸はかなり薄まった。

 まともなスキンケアをせず肌荒れが起きて後で嫌な気持ちになるのは自分なので、最低限のベースメイクを施すためベッドから抜け出さないといけない。または化粧道具をベッド下に置くか。今回は化粧道具の位置を失念したので、ベッドから転がり落ちるようにして抜け出した。ちなみに受身取らないとまじで痛い。今日は痛かった。受身取れなかった。でも寝転がった体勢から座る体勢に変わった。

 あとはここから立ち上がるだけだ。しかし立ち上がれないので這って化粧道具のある場所に移動する。わたしは普段クローゼットの中に化粧道具を入れている。クローゼットの戸を開け化粧道具の入ったポーチを手にして床に座った。

 地べたに座った状態から立ち上がるのはあまりにもしんどい。そしてベッドサイドに座ればまた身体を倒して寝転がるのが目に見えている。一人掛けのチェアにどうにかして這い上がる。寝転がる面積があるから寝転がってしまうのだ。ならば寝転がる面積のない場所に行けば良い。
 いつもそのチェアを陣取るように置いている大きめのカービィのぬいぐるみ(数年前ゲームセンターで獲った)を膝に乗せる。カービィはいつものようにふわふわぽよぽよにこにこ笑みを浮かべている。かわいい。なんかちょっと元気になってきた。チェアとカービィの隙間に身体が収まったところでベースメイクを始める。

 前髪をクリップで留めてまずは日焼け止めだ。手鏡をカービィの頭の上に置く。Bioré UV Athlizmを使っている。ばーっと塗る。とりあえず日焼け止めの白色が見えなくなるように。

 化粧というのは乾かすために時間を置くと次の工程のとき崩れにくくなる。なので手が空くが、その間に部屋に常備しているベースフードを食べる。いただきます。今日はメープル味にした。程よく甘い味が好きだ。ベースフード食べてる人は分かると思うけど9行4分割の栄養成分表示なんてこれ以外見たことない。デカすぎ。そのおかげで固体が出てくることが滅多にないほど劣悪だった腸内環境が整った。健康食品とは偉大である。パンなのでしっかり咀嚼することで目が醒める。
 パンを食べると口がパサパサになる。水分がほしい。口がパサパサになる不快感と身体を縦にする精神的負担を天秤に吊るすと後者が重かったので、やはりそのままよく噛んで食べることにした。ごちそうさまでした。

 食べきると肌が乾いてきたので化粧下地を塗ることにする。化粧下地はGIVENCHYのスキン PFCT UV フルイド。元々日焼け止め乳液らしい。でも店員さんは化粧下地としてお使いいただけますと話していた。ピンクのチューブ型のやつ。化粧品の分かる人ならなんとなく思うだろうが急に肌の値段が上がった。普通ハトムギからGIVENCHYに行くと思わんやろな。こちらも元の色にムラがないように塗る。

 また乾かすフェーズに入るわけだが、一つ問題が発生した。

 お手洗いに行きたい。

 生理的な不快感というのはかなり強いもので、こんなところで身体を縦にする必要が出てきた。しかし今のわたしならなんとか身体を縦にすることができる気がする。だって座ってるからもう上半身は縦になってるんだもん。いけるよ。え、でも本当に?

 とりあえず壁に寄りかかって腰を上げた。太ももが辛い。単純に筋力が足りないのだろうか。昨日2万歩くらい歩いたんだけどな。逆にそれかな。部屋を出て廊下を歩いてお手洗いを済ませる。

 今日も固体だった。お腹が痛くなかった。自分健康で居てくれてありがとう。

 手を洗い消毒を済ませ部屋に戻る。またチェアとカービィの間に挟まって化粧を再開する。
 今日は、というよりいつも最低限なのでファンデーションもコンシーラーも付けずそのままパウダーを顔に乗せる。これもGIVENCHYのパウダー。ピンクのやつ。でも化粧ノリがあまり好みでなかったので使い終わったらChacottのパウダーを使おうと思っている。乳液をつけた後特有の肌のテカリがなくなればOK。

 ふと雑念が頭をよぎる。
 プリキュア見たいなあ。
 ひろスカめっちゃいいんだよなあ。
 終わったら着替えて洗濯機回してプリキュア見よう。

 今日は外に出かける予定があるので眉だけは描こうと思う。アイシャドウは基本しない。そもそも左目が網膜剥離で全く見えないのでアイシャドウをするにしても右目の化粧は感覚でやってる。アイライナーすら持ってない。アイシャドウを細く塗ってアイラインっぽくしてる。定期的に80代の祖母のために流行り病の感染予防でマスクするから口はリップクリームだけ。必要なのは世に出すツラの厚さだと思う。化粧が終わった。

 着替えるか。フェネス(あくねこの子)に聞いたら半袖に一枚羽織る程度らしい。
 すでに衣替えしてクローゼットに半袖の服がないので薄い長袖にした。上は薄い黄色のトップスに青のカーディガンでなんとなく補色っぽくした。色味がごちゃごちゃする調整で黒のパンツを合わせた。鏡で見て色味はちょうどよかったのでもうこれでいい。どうせ誰も見ないし気にしない。もし仮にそうじゃなく気にされたとしても数分後には忘れられているだろう。

 部屋にある観葉植物のために、カーテンを開けた。自分のためではなかった。しかし結果的にこの太陽光で自分の精神が安定する効果がある。人間と植物が共存している部屋だ。育て始めて5年の観葉植物は元々手のひらサイズだったのに、今やわたしの身長の半分以上に大きくなった。
 水を求めに部屋から出るついでに洗濯物を出して洗濯機をまわそうと思います。

 プリキュア見るぞ。


 これが、わたしのモーニングルーティーンです。
 少なくとも撮影しYoutubeに投稿するものではない気がします。そもそも撮影とかやる気出ないし。参考になりますか。少なくともお布団から出る勇気は出ますか? 転がり落ちる手法を取ってもいいから、這いつくばってもいいから一緒にお布団から出てみませんか?

 読んでいただきありがとうございました。


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