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カクバリさん

映画を1本みていかないかい。

と、知らないひとの肩をとん、と叩くこわい
おばちゃまになってしまいそうだ。
約7分ちょっとで、いい映画を1本観たような
気になってしまえますよ。

サケロックをよく聴いていた。
まだ、星野源が日本の大スターになってしまう
前の話だ。
サケロックはカクバリズムというマネージメント会社に所属して、活動していた。

サケロックはインストゥルメンタルバンド
なので、歌い手がいない曲がほとんどだ。
いっとき、サケロックがニャンちゅう放送局で、「せつないのうた」という歌を歌っていた。
みんなニャンちゅうのかぶりものをして。
かわいかった。

それから、星野源はソロデビューをする
のだが、当初、本人は
「歌っている自分の声が、
バームクーヘンを食べている時の人のようで嫌」

というようなことを語っていた。
ファーストアルバム「ばかのうた」を初めて
聴いたときの衝撃。よい声だ。

まだ星野源のメディア露出はあまりなくて、
ラジペディアというJWAVEのラジオ番組くらいだった。ばかな企画をやっていて、楽しい番組だった。
この人は、裏方で働いてくれるひとをとても
大事にする。
いつでもどこでも、裏方の大好きな人たちの話をして、芸能人でもない人たちを、みんなの
知ってる身内にしてしまう。

ラジオの裏方さんや、自分のマネージメント会社の社長。
カクバリズムの社長は角張さん、という方で
ずいぶんお若い方だった。
星野源が
「カクバリさんカクバリさん」
とよく言っていた。

「夢の外へ」で初めてミュージックステーションに出演する事が決まったとき、
星野源が!ミュージックステーションに出る!
とファン界隈は騒然となった。

それからいろいろあったんだろうが、
星野源は今やご存知のとおりのスターだ。
カクバリズムからでっかいレコード会社に
移籍された。
サケロックも解散した。

昨年、すきになってよく聞いている片想いも、
偶然カクバリズムだった。
で、なんかほっとした。
カクバリズムか。
よし。
と思った。

SNSをのぞくと、昔とかわらず若々しい角張
社長が、自分とこのミュージシャンのCDを
両手に持って、いいから聴いてみて!
と満面の笑みである。

片想いも結成してから長く、でも今1番いい感じだって言ってる。
片想いのみなさん、私と同年代のようなのに。

音楽が好きで、いろいろあっても、
すきなことをずっとたのしく続けられるひと
たちがいて、それを支えるひとと仕事がある。

星野源が初めてミュージックステーションに
出た日、正座をしてテレビの画面をじっと
見つめるカクバリさんの姿が忘れられない。

それは、初めて子供がテレビに映るのを観る、
お父さんの後ろ姿だった。

で、映画を1本、どうぞ。

みどころは、車の轢かれ方と
ハマケンの髪型だ。
そして井手茂太のダンス!



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