見出し画像

第1回 クライミングジム業界の収益性を、5フォース分析で考える

クライミングジムは日本に何軒あるのか数えてみたところ2020年5月現在で666軒あることが確認できました。
・2008年の96軒から12年で6~7倍
・2014年の343軒から6年で約2倍
と考えると、近年急速に成長し店舗数を増やしてきた業界であると言えます。
一方で昨年あたりからジムは飽和し、店舗数も純減に転じたというデータもあります。
詳しくはブログ「クライミングジムは何軒あるか (2020年5月)」をご覧ください。

このnoteでは少し踏み込んで
・クライミングジムの軒数はなぜ急速に増えたのか
・競争環境など、業界の構造はどう変化してきたのか
・それによって収益性はなぜ落ち込んだのか
・新型コロナ騒動、そしてWithコロナの時代これらはどう変化するか
などを経営コンサルタントとクライミングジムスタッフの両方を経験している自分の目線で書いてみます。


5フォース分析

クライミング業界全体の構造を捉えるにあたって、マイケル・ポーターが提唱した「5フォース分析」を使います。
ポーターはハーバードビジネススクールの教授であり、ここで説明する5フォースを初めとして数々の手法を生み出したいわば競争戦略の父とも言える人物です。

5フォースとはその名の通り"5つの力"であり、以下を指します。
①新規参入の脅威:新しい企業は業界に参入しやすいか
②代替の脅威:代替製品やサービスは魅力的か
③売り手の圧力:供給業者の数は少ないか、交渉力は強いか
④買い手の圧力:顧客の数は少ないか、交渉力は強いか
⑤業界内の競争:既存の競合企業同士の競争は激しいか

これら5つの力の大きさを考えることで業界の競争要因の強さが浮かび上がり、「業界全体の収益性はどの程度か」「企業は平均的にどのくらい利益を上げられそうか」という魅力度を見積もることができるのです。

圧力や脅威など少し堅苦しい言葉を使ってはいますが、
"新規参入がどんどん入ってきて、代替できる製品とかサービスもたくさんあって、仕入れ先にも強く出られなくて、顧客も限定的で、さらに競争も激しければ、業界の利益率って下がりそうだよなー"
くらいに感覚的に捉えて大丈夫です。

<5フォース分析のフレームワーク>

スライド1


クライミングジムの5フォース分析

5フォース分析をクライミングジム業界に当てはめてみましょう。
過去と現在で比較しつつ一部新型コロナの影響で今後どうなりそうかにも触れます。
ですが、5フォース分析はあくまで過去や現状の分析が主眼であり、未来予言のツールではないことに注意してください。

超長文かつマニアックな話なのため一般公開する意味があまりないのと、僕が忖度なく好き勝手に書きまくったためここからは有料とします。
クライミングジムの業界構造を今一度整理したい方、もしくは新たにクライミングジムを始めようとしている方には参考になるかもしれません。
興味のある方に読んでいただけると嬉しいです。


ここから先は

6,623字 / 1画像
この記事のみ ¥ 480

よろしければサポートお願いします。 サポートはクライミングのより一層の探求に使い、皆さんに還元していきます。