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変化の激しい時代の企業の「守り」と「攻め」【前編】:「守り」の課題解決

1.変化の激しい時代に企業はどう対応して行くべきか

これまでの投稿でも何度か説明しましたが、ここ最近のように変化の激しい時代のことを「VUCAの時代」と呼ぶことがあります。

「VUCA」とは下図↓のように、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を表しています。

それぞれに関連する現在の事象を簡単に説明します。

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1-1)Volatility(変動性)

日本のAIの市場規模は、2025年度までに、毎年約19%伸長すると呼ばれています。

技術的にも、日々進化しており、近い将来、弁護士や会計士もウカウカしていられない状況です。

1-2)Uncertainty(不確実性)

2019年に発生したコロナは、不確実そのものでした。

コロナへの対応をどのようにすればいいかの模索が続き、企業活動、働き方、生活スタイル、コミュニケーション等々、あらゆるものが激変しました。

1-3)Complexity(複雑性)

EUや中国の主導で、世界の自動車産業は、ガソリンから電気に一気に動き始めています。

そんな中、自動運転技術、空飛ぶ車の技術も進化しており、今後、自動車がどのように進化して行くのか、その複雑な状況に自動車関連メーカーも四苦八苦しています。

1-4)Ambiguity(曖昧性)

現在のロシアとウクライナの戦争により、エネルギーや食糧等の高騰が世界で沸き起こっています。

戦争の動き次第で、世界が色々な意味で振り回されており、どのような対応をすべきかの判断がしにくい状況になっています。

1-5)VUCAの時代、企業は「守り」と「攻め」の課題解決方法を準備しよう!

説明して来た通り、「VUCAの時代」は、社会やビジネスにおいて将来の予測が非常に困難になっています。

そんな中、企業はどのように自社の課題解決に取り組んで行くのが良いのか。

企業にとって、「守り」の課題解決と「攻め」の課題解決の2つの方向性について、私の考えをご紹介したいと思います。


2.守りの課題解決:CSRに立ち戻る

2-1)最低限のCSRには対応せよ

先日の投稿↓でCSRについては紹介しましたが、今の時代、企業にとってCSRの対応ができていないと致命傷となります。

そういう意味で最低限の「守り」として、CSRを確実に理解した上で、企業として最低限の対応をすることが求められています。

この点、意外と、対応できていない企業が多いです。

CSRに問題を抱えていると、突然、それが企業の存続を危うくさせるリスクとなるケースがあります。

2-2)CSRとは

以前の投稿↓で、CSRについて説明していますので、こちらも合わせてご覧下さい。

CSRとは「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」のことです。

企業の社会的責任と言われても、どう対応すればいいのか、分かり難いですよね。

私のオススメは、国際標準化機構が発行しているISO26000(組織の社会的責任に関するガイドライン)を参照することです。

ISO26000の中には、組織(企業を含む)の社会的責任を7つの中核主題に分類しています。

それを見ると、もう少し、CSRは何をすべきかが見えてくると思います。

2-3)ISO26000の7つの中核主題とは

その7つの中核主題とは、下図↓のように、❶組織統治、❷人権、❸労働慣行、❹環境、❺公正な事業慣行、❻消費者課題、❼コミュニティへの参画及びコミュニティの発展です。

7つの中核主題を自社の企業活動と照らし合わせ、特に弱い点については、早急に対策を練る必要があります。

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2-4)7つの中核主題は、ISOのマネジメントシステムと連動

多くの企業はISOマネジメントシステムの認証を取得していると思いますが、それらのマネジメントシステムは、このISO26000と連動していることは、ご存じでしょうか(上図↑参照)。

例えば、ISO9001(品質マネジメントシステム)とFSSC22000(IS22000+PAS220、食品安全マネジメントシステム)は、「6. 消費者課題」と連動しています。

ISOのマネジメントシステムはPDCAサイクルが前提となる経営管理の仕組みです。

そのため、各ISOマネジメントシステムを回すことで、「1. 組織統治」や「7. コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」にも直接関わって行くことになります。

そして、ISO14001(環境マネジメントシステム)は「4. 環境」と、ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)は「3. 労働慣行」と連動しています。

さらには、ISOマネジメントシステムで経営が主体となり、PDCAサイクルを回すことにより、間接的に「2. 人権」や「5. 公正な事業慣行」にも関わって行くことができます。

私は、前職では、推進事務局としてISO14001、FSSC22000、IS45001の導入に関わるとともに、ISO9001を含めた全グループ会社の労働安全衛生/品質・食品安全/環境の統合マネジメントシステムを運営していたので、経営トップが関わるPDCAサイクルの重要性を強く認識して来ました。

ISOマネジメントシステムの考え方を企業の中心に据えて経営管理を行うことで、CSRに対する意識が高まるとともに、同じPDCAサイクルの中で、7つの中核主題に取り組むことができます。

2-5)7つの中核主題は、どれ一つも取りこぼしはNG

先程から何度も言及していますが、この7つの中核主題は、企業の社会的責任にとって、欠かすことができない非常に重要なものです。

この7つの中核主題への対応なくして、企業の存続はあり得ません。

今回初めてISO26000の存在を知った方は、是非、ISO26000の本文を見て頂き、自社が確実に対応できているかどうかをしっかり見極めて下さい。

万が一、明らかに対応できていない項目を見つけた場合は、速やかに対応することが重要です。

例えば、「廃棄物管理はしっかりできているか」とか「LBGTQの対応ができているか」を考えて見て下さい。

次々、社会の認識が変化していく中で、企業が昔のままの考え方でいるリスクは途方もありません。

企業として経営マネジメントシステムのPDCAサイクルの中に、ISO26000で対応できていない項目を取り込み、継続的な改善をしていくことが必須です。


3.持続可能な企業は、非財務指標を大切にする

企業にとって重要なものは、もちろん売上や利益等の「財務指標」であることは、間違いありません。

しかしながら、企業がこれから5年、10年、そして100年と存続していくためには、CSRに関わる各種の「非財務指標」も「財務指標」と同じくらい重要視していく必要があります(下図↓参照)。

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そのためには、「財務」のPDCAサイクルと「非財務」のPDCAサイクルを別々に回すのではなく、下図↓のように経営を巻き込み、同時に回していく体制作りが非常に重要です。

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そういう意味で、ISOマネジメントシステムのいずれかの認証を取得しておくと、経営を巻き込んだPDCAサイクルの運営が非常にやり易くなります。

最近、特に中小企業では、せっかく取得したISOマネジメントシステム認証を返上するケースが多くなっていますが、是非、認証を継続して、「財務」「非財務」のPDCAサイクルを同時に回していく仕組みの中心に据えて経営管理していくことをおススメします。


本日は、変化の激しい時代に企業がどのように対応すべきかの「守り」の課題解決のお話しをしました。

「守り」がしっかりできていても、「攻め」の課題解決ができていなければ、企業は継続するかもしれませんが、現状維持に留まってしまいます。

次回の投稿では、企業が持続的に発展して行くために、どのように対応していったら良いか、私の意見を述べたいと思います。



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