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あなたの会社は、なぜコスト削減ができないのか?❶:陥りがちなワナにハマっていませんか?


1. 製造業が陥りがちなコスト削減のワナ

製造業にとって、毎年のコスト削減は、利益創出のために、必須の重要プロジェクトです。特に、工場のメンバーは、コスト削減のために日々必死に活動していると思います。

しかしながら、企業の利益が怪しくなると、いきなり追加のコスト削減の依頼が来て、どうしていいか困ってしまうということが日常茶飯事という企業も多いのではないでしょうか。

 特に、以下のようなワナに陥っている企業は、コスト削減することで、企業力を落としている可能性があります。

・工場にのみコスト削減を強いている。
・事業部門が関与せず、技術系の部門に任せきっている。
・コスト削減する度に商品の価値が下がっている。
・購買先に負担を強いる。
・コスト削減したはずなのに、実際の原価は下がっていない。

 これらのワナに陥らないためにも、会社として、組織的にコスト削減に取り組んでいくことが重要です。

2.コスト削減でよくある悩み

 先程のワナの内容に通じるところもあるのですが、コスト削減に関して、以下のような悩みをお持ちではないでしょうか?

❶コスト削減目標の設定が曖昧で、その結果、進捗管理もできていない。
❷事業部門を始めとして、各部門からコスト削減への協力が得られていない。
❸❶❷の結果、コスト削減の十分な成果を得られていない。

 これらの悩みを解消して、毎年、コスト削減の成果を確実に出せるヒントをご紹介したいと思います。

3.まず、コスト削減の目的を明確にしましょう


3-1)コスト削減は何のためにやるのでしょうか

 コスト削減を実現することで、直接的に「会社の利益を生み出す」ことができます。また、その費用を「製品の改良」、「新製品の導入」に投入することで、「会社の成長をサポート」することも可能になります。

 以下に事例を挙げましたが、さらに労働安全衛生、品質保証、環境保全の強化を図ることに活用することで、「社会貢献に繋げる」こともできます。

(社会貢献の事例)
・従業員の労働安全確保(例:危険個所の工学的対策の設備投資)
・お客様満足の追求(例:安全・安心品質、健康機能付加、同一品質で安価な製品)
・環境保全の推進(例:設備更新によるCO2削減、廃棄物の適正処理への対応)

 これらコスト削減の目的に関しては、関連するメンバー全員と共有しておくことが重要です。

3-2)こんなコスト削減をやっていませんか?

 コスト削減は、あくまで利害関係者とのWin-Winの関係で進めなければ、継続的な成果は望めません。また、従業員の労働安全、お客様やお得意先様、地球環境を無視して進めることも、決してあってはいけません。

(やってはいけないコスト削減の事例)
・原料、包材の購買先の負担を強いる。
・従業員の労働安全衛生を無視(例:重労働、危険物の放置)。
・商品自体の品質を徐々に下げる変更(例:品質の劣る原料への代替)。
・環境保全への配慮を欠いたコスト削減(例:大量の廃棄物、有害物の垂れ流し)。
・コスト削減額の小さなテーマに労力を掛ける。

4.次に、コスト削減に関わる部門の役割を明確化しましょう

4-1)コスト削減におけるバリューチェーン思考とは

 バリューチェ―ンとは、プロセス毎に価値を付加して、お客様に最終的に価値を提供するという考え方です(下図参照)。

 バリューチェーンに直接的に関わる部門(主活動)、それを間接的にサポートする部門(支援活動)が協働で価値を創造していくというものです。

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4-2)関係する全部門がコスト削減に参加すること

 コスト削減を成功させるポイントは、関係する全ての部門が、主活動、支援活動を通して、コスト削減目標に対応することです。

コスト削減を推進する際は、このバリューチェーン思考を前提に、

❶コスト削減により、お客様への価値の提供を絶対に下げない。
❷バリューチェーンの各段階でのコスト削減アイデアをくまなく抽出する。
❸直接関わる部門、間接的に関わる部門が協働する。

の3点を念頭に置くことが重要である。

 コスト削減は、部分最適ではなく、あくまで、全体最適で、しかもお客様の価値優先を大前提とすることが必須です。特に、事業部門は、コスト削減された商品の価値が維持されていることを確認の上、導入判断しなければなりません。

(コスト削減により価値を下げてしまう事例)
・コストは安いが生産効率が落ちる包材
・コストは安いが風味が落ちる原料
・生産し易いが運搬時に壊れ易い形状の製品

5.まとめ

❶コスト削減のワナに陥っている企業は、コスト削減することで、反対に企業力を落としている可能性があります。

❷毎年、コスト削減の成果を確実に出すためのヒントとして、「目的を明確化すること」「利害関係者とWin-Winの関係であること」が挙げられます。

❸コスト削減プロジェクトは、関係する全部門が参加し、バリューチェーン思考で、コスト削減しても商品の価値を維持することが必須です。

 次回以降の投稿では、最終的に「PDCAサイクル」を活用して、コスト削減を実現する方法をお話します。

 この方法を活用すれば、例えば、売上100億円規模の食品製造業で毎年約4億円のコスト削減を実現することも可能となって来ます。

↓ 以前の投稿も参考にご覧ください。

 本日の投稿のようなワナに落ちていてコスト削減が思うようにいっていない方、ご相談にのります。下のメールアドレスにご連絡下さい。

mikiya.inaki@gmail.com

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