ソニーの本気度が凄い!:取引先も脱炭素【2022.8.7日経新聞より】
1.2022年に企業経営者が絶対に覚えなくてはいけない用語:「スコープ3」
以前の私の投稿(↓参照)で、2022年に企業経営者が絶対に覚えなくてはいけない用語は、「スコープ3」ということをお話ししました。
これからは、企業は「取引先」の温暖化ガスの間接排出(これがスコープ3)にまで、開示や削減を求められるようになるということです。
*「スコープ3」について、詳しく知りたい方は、是非、私の投稿(↑)をお読み下さい。
2.2050年の温暖化ガス排出量ゼロ 半数の企業で未表明
下の投稿は、先程紹介した私の投稿の続編です。
今年の3月の日経新聞の引用ですが、日米欧の大企業は、排出量の実質ゼロを目指す動きが足踏みしているとの評価だそうです。
例えば、日本の主要企業400社に関しては、半数の200社が2050年までの排出実質ゼロを宣言していないとのことです。
大企業の排出実質ゼロ宣言が進んでいない理由として、
❶自社が大量の温暖化ガスを出していない。
❷排出量を測定する機能がない。
❸再生可能エネルギーを調達しにくい。
❹国の産業政策や対策の枠組みが不十分である。
があるようです。
特に、自社が大量の温暖化ガスを排出していない電機や機械等を含む産業やIT企業は、あまりゼロ宣言が進んでいないとのことです。
しかしながら、脱炭素に後ろ向きな企業への圧力は一段と強まる見通しのようです。
3.そんな中、ソニーは脱炭素を10年前倒しで2040年に
以下の日経ビジネスのwebsiteにソニーの記事が載っていました。
◆日経ビジネスwebsite(2022.6.24): ソニーが脱炭素を10年前倒しする狙いとは
今年5月の経営方針説明会で、2050年に取引先を含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルの目標を、2040年に10年前倒しすると発表したとのことです。
取引先や製品の使用などで排出する温室効果ガス「スコープ3」は、ソニーグループの排出の約9割を占めるそうですが、実現可能性を精査して決断したようです。
その背景には、ソニーは、人々の存在する社会、地球環境に対する責任を果たし、技術や事業によって貢献することを重視しており、環境負荷ゼロは『責任』の事例だという考えがあるからだそうです。
4.ソニー、取引先も脱炭素 調達網全体で取り組み【日本経済新聞2022.8.7朝刊、2022.8.6電子版】
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この記事では、ソニーグループは、専門部隊が取引先の温暖化ガス削減計画を検証する活動を始めたことを紹介しています。
ソニーの凄いところは、環境活動や工場のエネルギー管理に詳しいソニー社員が複数人でチームを組み、取引先を訪問し、改善点を指摘してソニーのノウハウを教えるという点です。
このように、計画策定だけでなく、取引先の脱炭素化の活動に実地で踏み込む例は珍しいとのことです。
このソニーの取組は、第2章で挙げた大企業の排出実質ゼロ宣言が進んでいない理由の「❷排出量を測定する機能がない」という点を完全に排除していると思いました。
5.まとめ
本日の日経新聞の記事、そして、6月の日経ビジネスのwebsiteの記事から、ソニーの本気度がひしひしと伝わって来ました。
その凄さをまとめてみると。。。
❶世界の大企業でも、まだ、2050年の脱炭素の宣言をしていない企業が多い中、ソニーは、2040年に目標を前倒しにしている。
❷「スコープ3」の脱炭素を推進するに当たり、ソニーは、取引先の改善点を指摘するだけでなく、ソニーの脱炭素のノウハウを教えている。
❸この取り組みは、ソニーの「人々の存在する社会、地球環境に対する責任を果たし、技術や事業によって貢献することを重視する」という考え方に沿って行われている。
ソニーの取引先企業は、ソニーのノウハウを入手でき、その結果、競争力を付けていくと思います。
取引先が力を付けるとソニーグループの総合力が高まって行きます。
今回の脱炭素へのソニーグループの本気の取組みは、近い将来見える形で大きな成功を収めると思いました。
今後のソニーグループの動向が非常に楽しみです。
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