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ピラミッド型組織の限界を如何に突破するか?【後編】:アメーバ型組織は、日本を復活させるか?

1.昨日の投稿のまとめ

日本の多くの企業が採用している「ピラミッド型組織」は、昨今の変化の激しい時代において機能不全に陥っている。

その結果、最近、「失われた30年」とか「デジタル敗戦」とか言われるようになってしまいました。

昨日の投稿では、ピラミッド型組織の課題を克服して、変化に適応できる手段の例として、「ピラミッド型組織でのOODAループ活用法」「ティール組織」「アジャイル型組織」について簡単に説明しました。

日本では、高度経済成長期に「ピラミッド型組織」の成功体験が染みついているので、組織を変革するのはなかなか大変のようです。

特にティール組織は、組織の根本的な変革を伴うため、なかなか踏み切るのが難しいのではないでしょうか。

そんな背景の中、本日は、日本発祥で日本航空を再建させた実績もある「アメーバ型組織」を紹介したいと考えました。


2.アメーバ型組織とは一体何?

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アメーバ型組織(アメーバ経営)は京セラ名誉会長時代、稲盛氏が会社を経営していく中で、実体験から生まれた管理手法です。

稲盛氏の「会社経営とは一部の経営トップで行うのではなく、全社員が関わって行うものだ」との考え方に基づいているとのこと。

そのため、全員参加経営の実現に向けて

❶部門別独立採算制: 仕事の成果を「時間当たり付加価値」として数字で見える化

❷組織の細分化: アメーバと言われる小グループに分け、収支責任を明確化

ということがなされているようです。

結局、大きな組織になればなる程、小回りが利かなくなり、最終的に誰が責任を取るのか不明確になるということだと思います。

全員が経営に参加するという考え方の導入は、なかなか勇気がいると思いますがそこに踏み切った稲盛氏の英断は素晴らしいです。


3.アメーバ型組織の3つのメリット

アメーバ型組織というのは、アメーバのように柔軟な組織体と考えると分かり易いです。

組織内に階層がないため、入社年度や役職といった上下関係に縛られないところが、利点です。

このアメーバ型組織は、部門別採算制度が最大の特徴であり、以下の3つのメリットが創出されます。

❶全員参加型の経営が可能となる

❷経営者意識を持つ人材が育成しやすい

❸市場直結のリアルタイムの情報を活かして課題解決がしやすい

3-1)全員参加経営の経営が可能

アメーバ型組織は、独立採算制を取るため、各グループ内でのメンバーの役割や責任が非常に重要になって来ます。

各メンバーが、利益を最大化させることを目標に創意工夫を行い、その結果、全員が経営に参加するようになるという仕組みになっています。

そのために、
・お互いの価値観を共有でき、職場の一体感を生む
・達成感や喜びを感じられる風土を醸成
・コミュニケーションの円滑化

ということが比較的容易く図れるのが特徴のようです。

3-2)経営者意識を持つ人材が育成しやすい

小グループに分け、独立採算を行うため、各メンバーは大組織の一メンバーではなく、経営者としての経験と意識を持つ人材に成長します。

そのため、
・ミニ経営者となる人材を輩出
・自ら挑戦する組織風土づくり
が自然と進んで行きます。

3-3)市場直結のリアルタイムの情報を活かして課題解決がしやすい

小グループ毎の収支実績をリアルタイムで開示するようになるため、組織の課題をタイムリーに見て分析する力も付きやすくなる

即ち、
・市場の変化に迅速に対応する
・会社の隅々まで実態がよく見える
・タイムリーかつ正確な経営判断を行う

ことが可能になり、課題解決がしやすい組織になっています。


4.アメーバ型組織は、OODAループそのもの

以前の投稿で、OODAループについて説明しましたが、アメーバ型組織のメリットは、まさしくOODAループの考え方そのもののようです。

OODAループの「O」はObserve(観察)、次の「O」はOrient(状況判断、方向付け)、「D」はDecide(意志決定)、「A」はAct(実行)です。もうひとつ重要なステップは、Loop(改善)です。

【Observe(観察)】
アメーバ型組織では、小グループであるため市場の変化や会社の隅々の実態をよく観察することができる。

【Orient(状況判断、方向付け)】
全員参加経営であるため、お互いの価値観を共有できており、コミュニケーションが円滑なため、状況判断がやりやすい。

【Decide(意志決定)】
全員が経営者意識を持っている上、情報が即座に共有され、価値観が同じであるため、誰でも同じような意志決定ができると考えられる。

【Act(実行)】
小グループであるため、意思決定されれば、素早く対応できる。

【Loop(改善)】
部門別採算制度で、なおかつ小グループであるため、Act(実行)の結果を受けて、すぐに改善に入ることができる。

即ち、アメーバ型組織では、OODAループの神髄である❶臨機応変、❷即断即決、❸状況のUpdateが非常にしやすくなっているようです。


5.アメーバ型組織のデメリットは?

当然、メリットもあればデメリットもあります。

一つ目としては、企業を小グループに分け、独立採算制を導入したとしても、考え方や意識がこれまでの組織と全く変わらなければ、小グループに分ける理由が全くありません。

先程あげた、アメーバ型のメリットを存分に発揮するため、経営陣や各グループのメンバーの意識変革が必要です。

二つ目として、意識変革とは、入社年度や上下関係にとらわれず、相手を尊重する視点を持っていなければならないことです。

グループメンバー同士の足の引っ張り合いや上司が言ったことをやるだけという意識を捨て去ることです。

この意識改革には、少し時間が掛かりそうです。

最後に、各グループ間に軋轢が生じる可能性があるということです。

小グループ間では、当然競争意識が芽生えます。

切磋琢磨して競い合うのではなく、他グループへの不満や摩擦が生じることを避けることが大切です。


6.まとめ

アメーバ型組織は、独立採算制を備えた小さなグループであり、グループメンバーの一人ひとりが経営者であるという意識を持って、意志決定を分散させ互いに影響を与え合う組織である。

そのため、変化に即応できるというメリットがある。

しかしながら、構成するメンバー一人ひとりは、自分の頭で考え、意見を持ち、相手を尊重する視点を備えていなくてはなりません。

もちろん、経営者としての視点も必要です。

アメーバ型組織は、例えば、事業部制を取っている企業ならば、まず事業部毎の独立採算制を強めた後、更に細かくグループを分けていくという段階的な展開が可能であると思います。

順次、小グループに分けて行くに際して、アメーバ型組織で確実にアウトプットを出すことができるスキルや知識を身に付けた人材を育てていくことが重要です。

そう考えて見ると、今の日本の企業に多いピラミッド型組織でも、いきなりティール組織に変革するよりも、順次アメーバ型に展開することの方が、比較的容易で有効なのではないかと思いました。


【引用および参照したwebsite】
◆京セラ コミュニケーション㈱website:アメーバ経営とは


◆Square website:従業員全員が経営に関わる!アメーバ経営とは


◆課題解決マーケティング情報サイト Do! Solutions:もう古い?軍隊式のピラミッド型組織 VS 自由なフラット型・アメーバ型組織



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