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ビートルズのレディ・マドンナをプレスリーのように歌う

英語のポップスを聴いて育ち、カラオケに行くといつもクラシックなロックやポップスを歌います。その中でも歌うと気持ちがスカッとする曲があります。メロディーが良かったり、英語の歌詞が深かったり、その曲が歌われた時代の社会情勢などを感じられたりとか。

今回は1968年に発表されたThe Beatles のLady Madonnaに挑戦したいと思います。この曲の作者はLenon Maccatrnyとなっていますが、ジョン・レノンは少しアドバイスしたけどあまりかかわってないと言っています。実質的に詞もポール・マッカートニーの手によるものなのです。ポール自身は聖母やイギリス労働者階級の女性をイメージしてこの曲を作ったと言っているようです。また彼がまだ少年の頃死別した母親のメアリーを思い出しながら詞を作ったと言う説もあります。
レディ・マドンナを誰と考えるか、また誰の視線でその人を歌っているのかで日本語の訳が大分違ってきます。ここでは一応20世紀半ばのイギリスの労働者階級で子供が何人もいて日々忙しく過ごしている女性を大人になった青年の目から見て歌っているという前提で訳してみます。

まずは子供が何人もいて、お金のやり繰りに日々四苦八苦している主人公に語り掛けるように歌われます。
Lady Madonna, children at your feet wonder how you manage to make ends meet.(ねえ、マドンナさん、足元の子供たちはあなたがどうやってやり繰りするのかなって思ってるよ)
Who finds the money when you pay the rent? Did you think that money was heaven sent?(家賃を払う時には、誰がお金を工面するの。お金は天からの賜り物なんて考えていたのでしょう)

次に、生活に追われる日々のあれこれが歌われます。
Friday night arrives without a suitcase. Sunday morning creeping like a nun.
Monday's child has learned to tie his bootlace.
(金曜の夜が手ぶらで訪れる。日曜の朝は尼さんのように静かに過ぎて行き、月曜生まれの子供はブーツの紐の結び方を覚えたね)
See how they run.
(さて、どうなるのでしょう)
Lady Madonna, baby at your breast wonders how you manage to feed the rest.  (ねえ、マドンナさん、胸に抱いた赤ちゃんは、他の子たちをどうやって食べさせるのかなって思ってるよ)

具体的では無いのですが、ばたばとしている週末、日曜日は静かだけどいつの間にか終わる。少し大きい子供はブーツを一人で履けるほどになったというイメージが浮かびます。なんだかんだで日常生活が過ぎて行くと言ったところでしょうか。

間奏が入り2番も大体同じ趣旨で歌われます。
See how they run.
(さて、どうなるのでしょう)
Lady Madonna, lying on the bed.Listen to the music playing in your head.
(ねえ、マドンナさん、ベッドに横になり頭の中で奏でられる音楽でもお聴きなさい)
Tuesday afternoon is never ending,Wednesday morning papers didn't come,
Thursday night your stockings needed mending,(火曜の午後はいつまでも終わらず、水曜の朝には新聞が来なかった。木曜の夜は靴下を繕わなくてはいけなかったね)
See how they run.(どうなってるんでしょうね)
Lady Madonna, children at your feet wonder how you manage to make ends meet.(ねえ、マドンナさん、足元の子供たちはあなたがどうやってやり繰りするのかなって思ってるよ)

さてこの歌をビートルズのオリジナルアレンジのカラオケで歌ってみましょう。声を楽に出したいので私は2つ下げて歌います。あまり下げるとカラオケの伴奏が低くなりすぎ格好良くないのですが・・・。
歌い方は、お腹と喉を使いしっかりと声を出す歌い方、言ってみればエルビス・プレスリーが声をお腹から出してロックナンバー歌う時のイメージです。そしてサビにあたるTuesday afternoon is never ending,からの部分は、たたみかけるように歌います。言葉が一杯入っているので途中で躓かないように歌詞をある程度頭に入れておきましょう。そしてコーラスとなるSee how they run.の部分は曲調が変わります。音を伸ばしゆったりとハモルように歌います。複数の人で歌う場合、実際に主メロディの上にハモリを入れると格好良いでしょう。
間奏はカラオケでは特に歌詞は出ないと思いますが、アドリブ的にPAPAPA
とスキャットのように歌うと楽しいと思います。
間奏前のto feed the rest 間奏後のフレーズのListen to the music playing in your head 歌全体の最後のフレーズ make ends meet はそれぞれ歌い終わりのところで裏声でオクターブ上に音を上げます。ここは聴かせどころですので、上手く出来るようにちょっと練習しましょう。もしうまくいかないようであれば敢えて歌わないと言う手もあります。

The Beatles のLady Madonnaは68年にシングル版で発表されました。ビートルズは、その前年に世界初のコンセプトアルバム、サージャントぺーパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンドを発表し、誰もがビートルズは次はどんなアルバムを出してくるだろうと思っていた時に、この懐古趣味的なアレンジのピアノやサックスが入るロックナンバーがシングル版として発表されました。その頃のビートルズマニアは「彼らは方向転換?今までのサウンドとは随分違うな」などと戸惑いを覚えたようです。予期しない楽曲でフアンを驚かせたと言う点ではビートルズらしいとは言えます。この後、彼らは「ヘイジュード」や「ジョンとヨーコのバラード」といったシングル曲、「ホワイトアルバム(通称)」「アビイ・ロード」「レット・イット・ビー」などのアルバムを発表、その楽曲の円熟味や完成度は増しました。しかしそれぞれのメンバーが指向する音楽性の違いなどにより70年にグループとしての活動は終わりを告げます。その後のソロ活動ではジョン・レノンはよりメッセージ性の強い音楽を作り、ポール・マッカートニーは自身のバンドのウイングス時代を通して、王道的な楽しいポップス曲を作り続けました。レディ・マドンナはそんなマッカートニーのその後の活動を暗示するようなごきげんなロック調のポップスナンバーです。

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