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【経営】キーエンスの秘密②付加価値と価格

キーエンスの秘密の第2弾です。今回は"付加価値""価格決定"についてです。

そもそも付加価値って?

付加価値ってなんでしょう? 文字を読むと「価値を付け加える」、そのままですね。

モノをつくるビジネスにおいては、仕入れた原材料に価値を加えてお客さんに役に立つものをつくるということですね。

飲食店(レストラン)で考えるとわかりやすいですが、仕入れた食材に様々な処理を加えてお料理して、お客さんに食べてもらうということです。

飲食店の場合は、場所やお店の雰囲気、提供時間(早い!とか)も付加価値になると思います。

つまりこういうことです。

付加価値(利益・粗利) = 売上(お客さんの支払い) - 原材料

厳密には、ここに場所代や開発費、人件費などが加わります。これが最終利益となります。


利益(粗利)率はどのくらい?

飲食の場合、一般的に原価率は30-40%程度といわれます。つまり粗利率は70-60%。ただし、ここから家賃、人件費、広告宣伝費がかかり、最終の営業利益は数%になるようです。

話はそれますが、キャッシュレスが進んでいる中、現金のみの飲食店がいまだ多いのも頷けます。カード決済手数料が3%などかかるだけで、最終の営業利益がなくなってしまうためです。

では、製造業のお客さんにセンサや測定器(電機機器)を販売するキーエンスの利益率はどのくらいでしょうか?

商品により多少バラツキはありますが、公開されている財務指標から読み取れる程度をお話すると、以下のような内容になります。

原材料(製造費含む) 15%

  → 売上(100%) - 原材料(15%) = 粗利率 85%

販売管理費(人件費含む)  30%

  → 粗利率(85%) - 販売管理費(30%) = 営業利益率 55%

一般的な電気メーカの営業利益率は3-5%ですから、驚異的な数字です。


なぜこのような利益率が出せるのか?

数字はわかっていただけたと思いますが、なぜこのような高い利益率が出せるのでしょうか?

その答えは次のとおりです。

他社と比較できない価値を加える(あるいはそぎ落とす)

価格を自社で決定できるようにする

①②をまとめると、他社と同じものを作らず、価格競争に巻き込まれない商品を販売するということです。

例えば、別の分野で携帯電話サービス。ドコモもソフトバンクもauもほぼ横並びです。このような場合、サービスがマネされ価格競争に陥ります。

消費者から見ると、非常に助かる話なのですが、業者からするとジリ貧になってしまいます。資本主義社会においては、競争と価格バランスが適正になることはよいことですなのですが。

ところが、キーエンスでは他社と比較されない独自性のある商品により、高い価格設定をしています。お客さんの本音は「いいなぁ。これ欲しいなぁ。高いけど」となるわけです。しかもこの価格設定が絶妙で、導入することで、その会社の不良率が下がったり、人件費が削減できたりします。

つまり、費用対効果がハッキリするのです。そりゃ売れますよね。

そして、このような利益が出せるのは、顧客を徹底的に知り尽くす企画力とそれを実現する開発力、さらに商品を伝える直販営業にあります。

次回は、このあたりのお話をしていきますね。

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