『婚礼』(スタニスワフ・ヴィスピャンスキ作)について

近日刊行予定の《ポーランド文学古典叢書》第11巻『婚礼』をご紹介します。


分割下、祖国を奪われていたポーランドの
国民意識を揺さぶった傑作戯曲として今も愛される
ポーランド文学の至宝、ついに邦訳成る!!
作者はスタニスワフ・ヴィスピャンスキ、
翻訳はクラクフ在住の津田晃岐さんです。
まずはこちらをお聞きください。

概要


『終わりと始まり』のシンボルスカの暮したポーランドの古都クラクフ
時は一九〇〇年頃、芸術家や知識人が近郊の村へ赴くことが流行した
ある者は作品の霊感を求め、ある者は旧時代のノスタルジーを
ある者はポーランド再興の原動力を、農民とその文化習俗に探していた
そこで行われた友人の結婚式に着想を得たヴィスピャンスキは…
 
実在の人物たちをモデルに
実際に村で話されていた話し言葉で描かれる
町の貴族と村の百姓娘の婚礼
中心人物はおらず、夜明け前の異様な時間へ
それぞれが抱いていた夢や幻想ごと
婚礼の夜そのものがそこに
全三幕

(営業部より)貴族、花嫁、宴会、ダンス、片恋、幽霊、亡霊、藁ぼっち…
ワクワクする要素の詰まった会話劇は、やがてポーランドの歴史や当時の社会状況を包み込む物語へ…。本編より先に読むと期待が最高に盛り上がる、津田さんの詳しい解説と、福井の方言を使った翻訳にもご注目ください。
年内刊行予定です。

作者略歴
Stanisław Wyspiański
1869年生(クラクフ)、1907年没(クラクフ)。19世紀末から20世紀初頭にかけてのポーランドのモダニズム文芸運動「若きポーランド」を代表する画家、劇作家。画家としての代表作には、クラクフ市フランチェスコ会大聖堂のステンドグラス「父なる神」(1897~1902年)のほか、自身の家族や友人を独特のタッチで描いたパステル画「母性」「少年像」(ともに1905年)などがある。また劇作家としての代表作は、本書『婚礼』(1901年)のほか、『ヴァルシャヴィヤンカ』(1898年)、『十一月の夜』(1904年)、『オデュッセウスの帰還』(1907年)など。『婚礼』によって「国民的詩人」となるも、まもなく急激に進行した病のため没する。
 

訳者略歴
つだ てるみち
1972年金沢市生まれ。北海道大学文学部(ロシア文学)卒業。東京外国語大学修士課程(ポーランド語)中退。アダム・ミツキェヴィチ大学古典・ポーランド文学部修士課程修了。同大学同学部博士課程(演劇学講座)で博士号を取得。ポズナン市エスコラピオス学園高等学校ポーランド語教師。グダンスク大学日本語学科准教授。主な著作に、タデウシュ・カントル作演出『ヴィエロポーレ、ヴィエロポーレ』『私は二度とここには戻らない』(翻訳字幕制作)、「ポシフィャトフスカ詩選」(翻訳、『ポケットのなかの東欧文学』所収)、「パフォーマティヴな空間――寺山修司の演劇空間」(巻頭論文、『寺山修司研究』第十号所収)、夏目漱石『夢十夜』『俳句――1889~1895年』(ともにポーランド語訳、津田モニカ氏との共訳)などがある。ポーランド、ポズナン市在住。


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