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秋の旅③島根初潜入
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5時起床。6時前出発。まだ暗い。ほどなく鳥取空港横を通り過ぎる。
別名『鳥取砂丘コナン空港』。作者の青山剛昌さんが鳥取中部の北栄町出身にちなんだことのようだ。
空港内外はコナンのキャラクターだらけ。
元々コナンはアンバランスな体型とキャラクターが苦手なので、うわっと思ってしまった。
夜明け。マジックアワーに見惚れる。
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明け方は車も少なく、日本海を臨む海岸線は道も平坦。
この辺りは、『鳥取うみなみロード』というらしく、かなり走りやすい。
昨日の遅れを取り戻すように、ガンガン走る。
うみなみロードを突き進むと米子空港の看板。
こちらは、『米子鬼太郎空港』という。水木しげる先生が空港のある境港市出身にちなんだという。
世界ではじめて妖怪の名を冠する空港だそうだ。
コナンも鬼太郎も知名度抜群の漫画だから、県の玄関口としては親しみやすいのだろうか。
鳥取を横断してきて、鳥取は「コナンに鬼太郎、砂場に石破(ポスターわんさか)」という印象が強く残った。
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あっという間に島根突入。鳥取に続き、初潜入だ。
そして、たどり着いたのが黄泉比良坂(よもつひらさか)。あの世とこの世の境目らしい。
混雑する駐車場のすぐ上には、妖怪ポストがっ!
近寄ると鬼太郎ではなく天国に手紙を届けてくれるという。しかもご丁寧に綺麗な便箋とポールペンまで用意されている。
生まれてはじめて親に手紙を書いた。
「家族みんな元気でやっています」くらいの簡単な内容で、届くわけもない。
けれど、父親が亡くなって10年近く経ってから、こんな経験ができるとは思わず、どこか少し救われる気持ちになった。
そこで満足してしまい肝心のあの世とこの世の境目は、道を間違えたようで行き止まりの札。もういいやと発つことにした。
また訪れる口実にもなるし、手紙を書きたい人は他にもいるし。
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夕方16時。鳥取の宿から170kmちょい走って、出雲大社に到着。
さすがの混みよう。鎌倉的にぎわい。
縁結びのご利益とあって、若い人も多い。
チャリは境内には入れないので、歩いて回ることになったが、規模はさほど大きくない。
二拝四拍手一拝がルールらしい。
家族に頼まれていた家内安全のお札を購める。500円。
長辺20センチくらいの細長い紙っぺらを渡される。
ここで、ようやく気づいた。
どうやって持っていこう。
機動力重視のチャリ旅は、極端に収納力が低い。ましてや薄い紙っぺら。しかも細長い。
「これって、折っちゃ、まずいですよね」と巫女さんに尋ねるや、
顔をしかめて、「は! ダメです、ダメです!」
「丸めても……」となお食い下がると、お前いい加減にしろよという感じで、
「ダメです! このままの状態でお持ち帰りください!」と怒られてしまった。
まあそりゃそうなのだが、どうしよう。
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お札の運び方法を思いつかないまま、出雲駅前へ。
ガランとしていたが、ほどなく観光客がわんさか湧き出してきた。
駅周辺を散策。かなりの数の酒処。
くまなく歩き、角っこの雰囲気の良さそうな日本家屋に惹かれる。若い女性が1人佇み、スマホをチェック中。
ただ入口が見当たらず、反対側に回ってようやく入店。
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『和風とんかく とんき』
威勢のいい掛け声で迎えてくれた。めちゃくちゃ接客の感じがいい。
とんかつにも惹かれたが、「かをり焼き定食」をいただく。
お肉が柔らかくて、めちゃくちゃ美味しかった。ご飯もおかわりでき、大満足。
肉を食べ終わっても、「つまみに、ね」と追いキャベツをくれるサービス精神に感激した
途中、先ほど店の裏で佇んでいた女性も入店してきた。
隣の席だったら、「美味しいですよね、感じもいいし、入って良かったですね」と感動を共有したかったが、一つ飛ばしての席だったので自制した。
カプセルホテルのベッドで横になりながら、あーいい感じだなーとここまでの旅の展開に満足していたら、閃いた。
お札をレターパックで送ろう。サイズを測るといけそう。ホテルにあったフリーペーパーに挟んで、送ることにした。
後日、自宅から「キレイな状態で届いたよ!」と連絡があり。
いい感じだ。
本日の走行は180km。このくらいのペースがよさそう。合計380km。
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