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秋の旅④やまなみ街道で広島へ
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5時起床。6時前に出発。
出雲駅前のローソンにて、レターパックを購めて店内のポストに投函。
おにぎり、コーヒー、野菜ジュースを店先で摂っていると、ベロベロのオヤジさんがフッラフラで近づいてきた。
「うっわー、すっげー、すっげー」
あー、怖いなーと気づかないフリをしていたが、どんどん近づいてくる。
「こりゃ、すんげーわ。5万、10万じゃねーぞ」
その距離1メートル。もう無理だと視線を合わせて、ぎこちない笑顔で会釈した。
「タッカイだろー、この自転車、タッカイだろー」
めちゃくちゃ酒臭い。直前まで呑んでいたんだろう。
「いやー、もらいもんなんで、ちょっとわかんないっす」
「あ?」
あ、あれ、地雷踏んだか。慎重に酔っ払いおじさんの表情を伺う。
「触っていい? いい?」
大丈夫そうだ。ご機嫌を損ねないよう、「あ、はい、どうぞ」と許可。
いきなりぶっ倒したりしないだろうか心配だったが、タイヤを指でツンツンして、
「硬ってー! カッチカチだ。やっぱ、すんげー」と興奮しただけだったのでよかった。
「自転車、お詳しいんですか?」
よせばいいのに、話を振ってしまったのが間違いだった。
広島出身で、競輪を見まくっていたので、詳しいという。中野浩一なんて作られたチャンピオンで、本当に強いのは「フジワラ」だと連呼していた。
そんな選手がいたとは知らなかった。とはいえ、早いとこ退散した方がいい。話し続けるおじさんをよそに自転車にまたがる。
「どこいくんだー」「広島です!」「うっそつけーふざけんなよー、俺、広島じゃぞー!」という大声を背に、山へと向かった。
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5kmほど走ると、すぐに山道へと入った。
山陰とはよく言ったものだ。とっくに夜は明けているはずだが、なかなか太陽が姿を見せない。暗いよ。
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寒いが、景色は美しい。
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太陽がようやく顔を出しても、日陰が多くやはり寒い。上着の脱ぎどころが難しい。
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標高500mくらいだろうか。広島の県境くらいまではきつい登りが続く。
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気温が低い分、景色は紅葉シーズンに突入。
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いつの間にか石見銀山街道というルートに入り込んだようで、これがめちゃくちゃ険しい。民家の横をすり抜ける細い道や激しい登り坂の連続。
ラストの坂は、車も人もいないような激坂で、20分ほど歩いた。
山陰山陽間は、神戸→鳥取と比べ、島根→広島の方がかなりきつかった。
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なんとか出雲から60kmほど走り、広島突入。学生時代以来だ。
ここからずーっと緩やかな下りとなる。こう走ってみると、やはり島根側は山陽ではなく、山陰なんだなーと実感する。
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福山市着。でかい。さすが新幹線停車駅だ。
聞けば、広島第2の都市というだけでなく、四国中国地方全体でも第2の都市に君臨しているという。連休中ということもあり、若者も多い。
夕食はやはりお好み焼きだなと、アーケードから外れた位置が気に入り、イン。
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広島風も関西風もどちらもいただいた。
見た目はほとんど同じ。どちらも美味しかったが、関西風の方が好みだ。
客が1人だったので、女将さんと談笑。
尾道のホテルがどこも一杯だったので、急遽福山市に泊まることにしたのだが、「そういうお客さん、多いだろうね」と。
「福山って何もないのよね、尾道まで電車で20分くらいだし」という。
そんな近いのかと驚いた。
尾道は、しまなみ海道の出入口だし、映画の舞台になったりと、プロモーションは上手なんだろう。
へそ曲がりとしては、しまなみまで遠くなるが、ならばあえての福山泊まりでよかったと納得することにした。
アーケード街は、「こばやし」を冠するお店をいくつも目にした。
本日の走行は160km。合計540km。
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