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ちょいちょい書くかもしれない日記(居抜き)

編集さんと、打ち合わせランチがあった。
お仕事をご一緒する前に、私が私生活のすったもんだと健康問題でしばらく開店休業状態になってしまい、その間に異動してしまわれたのだ。
引き継いだ担当編集氏と共に、一度お食事を……ということでお誘いいただいた。
たいへん申し訳ない話である。
店の近くのパーキングが珍しく空いていて、よかったと思いながら停めて外に出た瞬間、帰りたくなった。
暑い。というかもう、陽射しが痛い。
大急ぎで日傘を差したが、今度は日傘から放たれる熱が凄い。
大陽に焼かれるか、日傘に蒸されるかという嫌すぎる二択だ。
そんなに暑いのに、店はほぼ満席だった。
たぶん物凄くお値打ちな店なのだと思う。地元のマダムたちは、お値段とクオリティのバランスにとても厳しい。
実際、料理は予想以上に素晴らしかった。
カジュアルフレンチと聞いていたが、盛り付けは丁寧過ぎるほど丁寧で美しかった。そして意外性があって美味しかった。
スイカとトマトとにんにくは、存外、合う。
むしろカジュアルなのは接客か……という印象を受けたが、デザートの説明がなかったこと以外、特に不満はない。
しかし、店に入る前から、謎のデジャビュがあった。
初めて来た店なのは確かだ。しかし……何か見覚えが……。
途中で気づいた。
ここはかつて、もっとムーディーで薄暗く、高級なフレンチの店だったはずだ。
そこをおそらくは居抜きで買い取ったのが今の店なのだろう。
そして前の店というのが、私に「サラダえのき」と言う名の、本来は加熱して食べなくてはならないエノキダケを生で出して、見事に中毒にしてくれたレストランだったのである。
あれはなかなか得難い体験だったが、まさか後年、それを長年の推しである中居君の番組で、再現ドラマまでつけてネタにされるとは思わなかった。
そうか、あの店、もうなかったんだ。
ちょっとだけホッとして帰ってきた。

こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。