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ちょいちょい書くかもしれない日記(祖父母の墓)

お盆前から、父の墓参アテンドがほぼ毎日ある。
主治医からは、新型コロナ後遺症の肺のダメージをそのまま固定させぬよう、できるだけ出歩け、でも無理のないように……というわりと無茶なオーダーを受けている。
真夏の外出で無理なくはなかろうと思うが、往々にして、医者というのはそういう実現が難しいアドバイスや指示をするものだ。
先方も難しいことは百も承知だが、まあ個々の判断&できる範囲で善処せよ、君の体調や置かれた事情を全部知ってるわけじゃないからね、というあたりだろう。
それもまた真なり。
医者の家の子なので、そのあたりは達観している。

墓参は、衰えた呼吸機能を鍛え直すためには適切な運動だろうと思って付き合うことにしているが、さすがに昨日は参った。
午前の墓参アテンドを終えて帰宅し、伸びていたら、いきなりの電話。
父のゴルフ友達4人が墓参を試みたところが、父の墓を見つけられない……というのだ。
最初から! 相談して! ねえ!
何しろ父の友人だけあって、皆さんご高齢である。
パイセンたちに、奥まった場所にある霊園事務所に行くよう指示し、そこで貰える地図を参考に父の墓を探してください……というのは無理な話だ。
慌てて家を飛び出して墓地に向かったが、霊園を一周してもそれらしき人たちはいない。
もしやと思って訊ねたら、全然違う霊園に行っていた。
小一時間の後にどうにか合流できたものの、皆さん、駐車場に車を止めるそのハンドル操作が危うい。とても危うい。
おひとりは、物置にゴンッと後ろを当てていた。
ヤベェ。無事に帰っていただけるだろうか。
やはりこれまで、私が駅でピックアップしてマイカーでお連れするという方式を採用しておいて正解だったな、と痛感しつつ、彼らを父の墓に案内した。
夕日が照りつける中、読経までしてくださって、本当にありがたい。
父のことを、まるで幼い悪ガキを懐かしむように語り、墓石に「好きやったから……」とビールと日本酒を浴びせてお帰りになった。
当然、お見送りの後は激しく水洗いである。
ごうごうと墓石から蒸発するアルコールにやられて、あ、ちょっとこりゃ私がヤバいなと思ったので、少し休憩することにした。
ふと、そういえば、母方の祖母(祖母姫のほう)が、この霊園を気に入って、自分のお墓も伯父に新しく建てさせたんじゃなかったっけか?
と急に思い出し、遠い遠い記憶を頼りにしばらくそれらしきエリアをうろついてみた。
なかなか見つからなくて、やっぱり無理か、そろそろ帰るか……とふと振り向いたら、そこに祖父と祖母の名前があった。
こわ。
完全に呼び止められたわね……と思いながら、とにかく水を汲み、手ぶらで申し訳ないと謝りながら墓石を洗い、手を合わせた。
こちらの墓にも、長らく誰も来ていないようだ。
雑草が凄い勢いで生えていたので、5分だけと決めてむしった。
「お祖母ちゃんとの旅行を、本に書きました。たくさんの人に読んで貰えて、素敵な祖母姫だって言われてます」と、「祖母姫、ロンドンへ行く!」のことを、あらためて報告した。
目の前が公園の菩提寺の墓地では落ち着かないが、閉門時刻が迫り、誰もいないだだっ広い霊園の中なら、きちんと話せる。
スマホでKindleを開き、表紙も見せた。
電子書籍のありがたみである。
台湾版もあるんですよ。凄くない? 勿論、凄いのはお祖母ちゃんです。
次来るときは、お花とお線香くらいは持参するので、今日はこれで……と、お墓を後にした。
母と叔母のことも報告したかったけれど、どう言えばいいかわからなかった。
父はすぐ下に来ていますので、どうぞよろしくとお願いしておいた。

こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。