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ちょいちょい書くかもしれない日記(サイン会)

今日の日記は長いよ。

どうせ当たらないですよね知ってるー! と、生来のくじ運の悪さに拗ねたモードで応募した、サカナクション山口一郎さんのサイン会に当選した。
正直、ビビった。
当日まで生きていられるだろうかと心配するレベルで。
地元に近い(といってもまあまあ遠い)枚方がダメなら、広島まではチャレンジするか……でもどのみち当たらんよなあ、などと、最初から諦めていたせいで、いざ当選すると、むしろ困惑する謎。
他の急ぎの用事を済ませ、まずは会場である蔦屋書店まで整理券を貰いに行く。真ん中へんの中途半端な順番だった。
整理券の裏側に、サインしてほしい名前をひらがなかカタカナで書いておくよう、そして注意書きを熟読してから、指定の時刻に戻ってくるように言われた。
枚方は、大昔に住んでいたところだ。
けっこう時間があるので、当時の住まいの最寄り駅まで行き、駅前の水嶋書房を再訪した。
あの町に住んでいた頃の小学生の私に、「今、お前がワクワクしながら通っている書店に、後におまえの本が並ぶぞ」と教えても、たぶん信じないだろう。
何度見ても、ありがたくも信じられない思いだ。
行けるかどうか、行けたとしてもどれほど時間があるかわからなかったので、敢えてアポを取っていなかった。
さらっとご挨拶だけ、と思っていたのだが、書店員さんがしばらくぶりの再会を驚くほど喜んでくださって嬉しかった。
顔なじみの書店員さんのひとりも、サイン会に参加すべく、もはや旅立ったという。おやおやー。
ご同輩でしたか!
書店を出てから、子供の頃からは想像もつかないほどお洒落に生まれ変わったショッピングモールで、私の地元にはない丸亀製麺の、前から食べてみたかった甘口トマたまカレーうどんを食べた。
なるほど美味しい。チーズはマストだ。
しかし、私にはかなりニンニクと油がきつい。
美味しさのベクトルは把握できたので、今度、マイルドなバージョンを自作してみたい。
ちょっとだけご飯がついてくるのが秀逸だった。
さすがにヤバいと思って、トイレで入念に歯磨きした。

サイン会のある書店前の歩道橋には、怖いくらい人がいた。
皆、ガラス越しにサイン会の様子を見ているのだと気づいて、わあ、となった。
店内にも、わずかな隙間から山口さんを見ようとする人たちが集まっていた。
なんというか、物凄く貴重な時間を貰えたのだ、と再認識する。
スタッフの方々は、微妙に認識が統一されておらず、でもとても親切だった。
サインをしてもらう名前はひらがなオンリーと言われ、でも整理券にはひらがなまたはカタカナと書いてありますよ、と言ったら、「あらー? ほんとだ」となったり。
本の好きなページにサインを入れてもらえると聞いていたけれど、ブース入り口にいる人には「1ページ目を開けて山口さんのほうに向けて出せるよう準備してください」と指示されたり。
でも、そのくらいは仕方がないと思う。
長らくリアルイベントは中断していたんだものね。
皆さんとても感じがよくて、テキパキ無事に進行させ続けることに集中しつつも、参加者をできるだけ急かさないよう、慌てさせないよう注意している気配がした。
前もって「ひとり45秒だよ」と知らされていたので、われわれ参加者も、それを守ろうと心がけていたと思う。
ブースの入り口は、ひとり入るたびにきっちり開閉され、勿論スタッフの方々はおられるのだけれど、山口さんと一対一の時間が持てるよう配慮されていた。
なんかすごい。すごいよ。ありがたいよ。
ビビリたおす私を、山口さんは、ハチャメチャな笑顔で「こんにちは!」と迎えてくださった。
丸い小さなテーブルを挟んで、お互い立ったまま向かい合う形だ。
山口さんはずっと立ってはるんかい! と少し心配しつつ、ご挨拶をして、厚かましくも「自著を差し上げてよろしいでしょうか」とお訊ねしたら、「勿論、是非。必ず読みます」と、真剣な顔で言ってくださった。
そして、サインを書きながら、「締切は、守られるほうですか?」と静かにお訊ねになった。
嘘、ダメ、絶対。
正直に答えたら、山口さんと隣のスタッフの方がクスクス笑った。
山口さんは、私がうっかり着ていったへんてこなTシャツも、「いいね、シャツ! 凄くいいじゃん!」と誉めてくださった。
ツーショットの写真を撮っていただけるだけでも信じられないのに、しっかり目を合わせて、とても丁寧に両手で握手までしてくださった。
柔らかくてあったけぇ、でっかい(当社比)手であった。
なんだかもう、何もかもが手厚すぎてふわふわする。
家に帰ってきても、まだ謎の浮遊感がある。
推しに貰った力というのは……こうもつよつよでピカピカなのか。
まだ無理だとは思うけど、私も読者さんに、せめて足元がギリ照らせる程度の光を、あるいはぬくぬくした暗がりをあげられる作家になりたいなあ……。
そう思いながら、サムライマックを買って帰った。

仕事を、します。全力で。

こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。