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ちょいちょい書くかもしれない日記(父の日)

父が死んで初めて迎える父の日、つまり主役不在の父の日である。
父がいないのだから、何もしなくていい。
いいのだが、まあ墓参くらいはするか、と車でしばらくぶりに出掛けてみたら、同じようなことを考える人が多いのか、そもそも週末は人が多いのか、駐車場がやけに混み合っていて、うんと遠くにしか停められなかった。
山を切りひらいて造成した嫌になるほど広い霊園なので、アップダウンが激しく、父の墓に辿り着くだけで疲れた。
石段に腰掛け、持参のお茶を飲み、しばし海を眺める。
父は生前、自分の墓から海が見えることをとても自慢にしていたので、無事にそこに落ち着けて、大満足であろうと思う。
区画内には草が生えかけていたが、草引きをするスタミナが今の私にはなく、8月の命日の前に一度、業者に清掃をお願いしているので、お任せすることにした。
花入れには、誰かが差してくれたのであろう花がガッサガサに干涸らびていた。お礼を言ってから捨てた。
暑すぎて可哀想なので、新しい花は敢えて入れず、水入れだけを綺麗にした。
花入れの水を捨てて入れ換えるときの腐臭、人生で嗅ぐ悪臭の中でも群を抜いていると思う。
まじで臭い。こっちの手まで臭い。
線香を焚いてリセットする。
私が子供の頃は、お墓にあれこれお供えをしてそのまま立ち去っていたが、今はカラスやアライグマを誘ってしまうので、お供え放置は厳禁だ。
「苺のショートケーキ持ってきたよ~」と父の大好物を墓前に置きはしたものの、とにかく暑かったので秒で下げ、大きな日傘をテント代わりにして、その場でムシャムシャ食べた。
もはや墓場ピクニックである。
サンドイッチでも作ってくればよかった。
父はカツサンドがとにかく好きであったから。
あやうく忘れるところだったが、相続の申告が無事に終わったことも、墓前に報告した。
ふたりで稼いだお金なんだから、全部母に託しますよ。存分に使ってもらおうね、と。
あと、あちこちの地銀に面白がって口座開いてんじゃないですよ、つか、開いてもいいけど、解約行脚をする私のモチベーションが上がるくらいの金額を入れておいてくださいよ、小学生のお年玉じゃないんだから……と苦言も呈した。

帰宅したら、近所に住んでいる父のマブダチの歯科医先生に出くわした。
ご挨拶をして、近いうちに歯の治療でお邪魔したい旨をお伝えし、パイナップルを1つ、お裾分けした。
先生には、まだまだ現役で、お元気で長生きしていただきたい。

こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。