最初の印象がすべて
「はじめまして!」と声をかけられた瞬間は
今でも鮮明に覚えている。
ニコッとはにかむ爽やかな笑顔。
「今日からこの人のOJT担当か」
歳下の経験者と聞いていたから
少し斜に構えていたけれど、
物腰柔らかい雰囲気に安堵した。
彼はどうやらタメらしい。
「僕が失うものは何もないっす」
何かを失い、新しい仕事に意気込んでいるのだろう。
ずーっと楽しそうに話している彼は
仔犬のようにかわいらしかった。
清潔感溢れ、適度な距離感。
と思いきや、天性の愛嬌で
心にぐっと入り込む。
「こうやって、世の女性を虜にしているんだ」
と少し警戒して後ずさる。
緑が芽吹く、5月初旬。
これが、彼とわたしのはじまり。
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