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中小企業の社長が歴史書から学んでみる 「春秋左氏伝」

こんにちは、すずきです。
最近、中国古典を「中国古典の人間学 名著二十四篇に学ぶ」という本に出会い、かいつまんで読めるとあって挑戦してみることにしました。

「左伝」と呼ばれる春秋左氏伝を読んでみたのですが、気になったのは以下の6つでした。

1、国富の基本政策
2、人材について
3、リーダーに重要な徳「仁」について
4、「呉越同舟」という言葉の意味
5、「臥薪嘗胆」という言葉の意味
6、立派なリーダーの条件「四方に使いして君命を辱めず」

1、国富の基本政策

これは中小企業の経営者が目標を明確にし行動したいと思った時にすべき行動だと感じました。
左伝では「3つの確立」を先にすべきだと説いています。

①義の確立:正しい目標を部下に提示する
これは「正しい目標」というところがポイントだと思いました。
色々考えた結果、最終目的地だけを伝えたり、あいまいな目標だったり、ともに目標達成に向けて頑張る部下に「義」を欠く行為はダメなんですね。
「義」についてはあまり詳しく書かれていませんでしたが、大事な徳だと思うのでちゃんと学びたいなと感じました。

②信頼関係の確立:これは言わずもがなではありますが、どうやって信頼関係は確立され継続できるのか?
ここには明確に「約束を守る事」と書いてありました。
これって大事だし当たり前にすべき行為と分かってはいるけれども、「忘れる」だったり、「これくらいは」という甘さだったり、「理由があって」という自分勝手な思想だったりと、信頼を裏切る行為は大なり小なりあるなと感じました。大きな反省材料と共に、あらゆる関係者に対して「約束をすることの責任」の大きさを感じました。

③礼の確立:礼を重んじるという言葉は、挨拶だったり感謝だったり、目上の方を敬ったりという社会生活の規範を守るといった規律を重んじることとありました。
やはり会社の中で、礼を重んじつつ規律を守る事の重要性に改めて襟を正す感覚を覚えました。

2、人材について

ここでは優秀な部下に全幅の信頼を置く事が大事と説かれています。
部下を心底信頼していくことが、組織の活性化や、やる気を引き出すと言います。
もちろん責任は上司がかぶり部下が安心して仕事に取り組める環境を作ることが重要のようです。
しかし、これって実際に実務上やっていくことができるのか?
任せることと放置する事、信頼し口出ししないことと確認を怠らないことなど、もうすこし踏み込んでやり方を理解していかなければ、経営者にとって都合のいい言葉になりかねないなと感じました。

3、リーダーに重要な徳「仁」について

「仁義」という言葉はよく仁侠映画に出てきますが、なんとなくしかイメージを持てていませんでした。
左伝では、「仁」とはリーダーにとって重要な徳の一つで、簡単に言うと「思いやり、相手の立場・気持ちに立って考えること」とありました。
「仁にして能く断を善くす」という言葉があり、意味としてはリーダーは思いやりだけがあってもだめで、決断力にも富んでなければならないという意味だそうです。
リーダーが情に走り過ぎるとリーダーとしての決断が鈍ってくるので注意しなければならないとありました。
私自身、「思いやり、相手の立場・気持ちに立って考える」という思考は常に持たなければならないと思います。
部下や相手が自分に対して壁を作る原因は普段から「仁」が欠けているからだと思いました。
仁を重んじながら決断力に富むリーダーは理想的だと思います。

4、「呉越同舟」という言葉の意味

呉越同舟とは「利害の相反する者同士が同じテーブルにつく」という意味ですが、左伝では孫氏の兵書にて「兵士を一致協力させて戦わせること」の事例に呉越同舟を用いたとありました。
普段敵同士の者同士を協力させるためには、絶体絶命の状態に置くことが重要だそうです。
そういった状況に陥った者同士は、普段の関係を忘れて以下のような感情を持つようです。
1、逆に恐怖を忘れ、
2、逃げ場のない状況に追い込まれて一致団結し、
3、敵の領地深く入り込むと結束を高め、
4、救いようのない事態になると必死になり、
5、指示しなくても自分たちで戒めあい、
6、要求しなくても死力を尽くし、
7、命令しなくても信頼を裏切らなくなる
これは会社の困難な時期を乗り越える兵法として、リーダーが決心して前を向ける状況を作り出すために重要な人心掌握の方法だと思いました。

5、「臥薪嘗胆」という言葉の意味

臥薪嘗胆という言葉は聞いたことがありましたが、意味は良く分かっていませんでした。
臥薪とは堅い薪の上で寝起きすることで、悔しい気持ちを忘れないという意味であり、嘗胆とは苦い肝をなめつづけることで悔しい気持ちを忘れないという、同じような意味を重ねた四字熟語で、「目標達成のために苦心して努力を重ねること」という意味です。
自分に厳しく、悔しい・苦しかった時を思い出しながら努力を重ねるというのは現代には少し合わない感情かもしれません。
ですが、自分自身を変えたいという思いがあるのであれば、このような苦心することが励みになるのだと思います。

6、立派なリーダーの条件「四方に使いして君命を辱めず」

立派なリーダーの条件として「諸外国に使いして、国民の負託に応えられるような外交交渉をやってこれる指導者」と言うことが書かれています。
やはり会社・部下のために困難な相手に対してもしっかりと交渉ができるリーダーがいる組織は団結力が高まるのだと思います。
リーダーのいる意味を単なる立場だけにとどめずに、重要な役目を担っているという自覚を持つことが大事ですね。

春秋左氏伝はいかがでしたでしょうか?
私は、義・信頼関係・礼の確立と、「仁」という言葉の持つ意味、指導者・リーダーが担っている役目について強く印象付けられたと感じました。

戦国時代の話なので、すこし過激な表現もありますが、非常に参考にすべき視点だなと感じました。

歴史書は時代・状況こそ異なりますが、人と人の交わり・関わりをリアルにとらえているものが多く、自分なりに解釈をしながら読むことでリーダーとしての心構えが成長していくのだと思いました。



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