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中小企業社長の頭ん中/メーカーになってやる!/自立編③

(続き)
今回のお客様が導入となった経緯はこのような物でした。

1、販売してくれたAさんは「油屋さん」でした。
2、我々の装置は、「油」を長持ちさせる装置でした。
3、Aさんは、油を長持ちさせることが環境対策になるとお客さまに提案しました。
4、お客さまは年度末で予算が余っていました。
5、特に環境対策になる改善を探していました。
6、環境対策になり、現場改善にもなる我々の装置はとても良い提案でした。
7、Aさんの会社はお客様から非常に信頼があり、提案に対して不安をあまり感じていなかったため、予算を使って装置を導入することを検討された。
8、実際にテストしたら良かったので導入することに決めて頂いた。

こんな流れに出来たのは、商品が良いからだけではなく、お客様との信頼関係と情報入手タイミングが重要だと感じました。

そして、今後自分たちでこれを入手し続けて自社商品を買い続けてもらえるのだろうか。。。

と考えた時に、「これは販売の協力者を集めた方が良いのではないだろうか?」という気持ちになりました。
それまで、自分たちでどうやって販売するのか?がメインだった思考から、我々のお客さんはユーザーさんだけにとどまらない!という思考に切り替わりました。

そこから、展示会ではユーザーさんを探すのではなく、商材を探している販売店候補へのPRを多くするようになりました。

大きな展示会では、VIPな加工屋さんにはアテンドの商社さんが付いていることが多くあります。その時にしっかりと商社さんと情報交換して、VIPユーザーさんに提案できることを考えていきましょうというアプローチを行いました。

また、弊社商品を扱うにあたっては「販売店」になって頂く必要があることをお伝えし、その条件は5台の在庫持ってもらうこととしました。

相手によっては5台も在庫は持てない。都度発注にさせてほしいという声が多くありました。時にリーマンショック直後。リスクを負いたくないのは仕方ありません。

でも我々は、「5台を売り切るまでしっかり現場同行サポートをします!」という説得をして、半年間ほどで約20社の販売店が集まりました。

驚いたのは、販売店になって頂いたのは商社さんだけではなく、塗装屋さん・油屋さん・機械加工屋さんなど、本来であれば販売店活動をするはずのない会社さんが複数社いらっしゃいました。

理由は簡単です。
「いま売れるものが欲しい。自分の取引先の機械加工屋さんとのつながりを深める販売促進アイテムとして優秀な商材だ」と言って頂けました。

なるほど。
我々の装置は非常にシンプルで扱いやすく、専門知識技術がなくても扱えます。ただ営業が既存顧客を回るのではなく、現場改善・環境対策が出来る商材を紹介することは、新規顧客が獲得できないこの時期にうってつけだったようです。

同じく商社さん達には積極的に売り込みました。
とくに営業所長様に。
「工作機械をお持ちのお客様に対して、新人営業マンでも現場のキーマンと接触できますよ。ただ掃除させてください!だけでも十分宣伝効果はあります。もちろん我々もサポートしますので。」


これは結構効きました。
リーマン直後は大きな工作機械が全く売れず、優秀な営業マンが離れていった時期でもあったようです。
そうなると人員補充として業界未経験の営業マンが入ってくるが、色々と現場のことを教えている余裕はなく、営業所長としては既存顧客との関係維持と、売上確保、新人営業マンの教育で頭を抱えていました。

そこで我々の商材での解決方法としてデモ清掃を提示しました。

①簡単なので誰でも扱える
②お客様の現場も人手不足で清掃にかける時間があまりない
③工作機械のタンク清掃は品質確保につながるのでキーマンがかかわっている
④汗水たらして清掃してくれる新人商社マンと現場の関係が良化していく
⑤新人の提案も聞いてくれるようになる
⑥新人は現場のことが間近で知ることができる

というものでした。
これは評判が良く、当時の営業所長から「営業行くとこないならお客様のところに行ってタンク清掃してこい!」と新人営業マンは言われていました。

また販売店も在庫を早く売り切ってしまいたいので集中的に我々の商材を売ろうとしてくれます。
そして5台も販売すると売れる流れが分かってくるし、デモの仕方も覚えていくので、我々の同行が無くても大丈夫なケースも増えて行きました。

そんなこんなで販売から半年で10台しか売れなかった商品が、そこから1年間で180台販売出来、ようやく自社商品で事業部として人件費がまかなえる状態になることが出来ました。

そして2010年9月にトレたま出演、10月JIMTOF出展、12月タイMETAREXに出展と、めまぐるしい日々を過ごすことになります。
その翌年2011年3月に満を持して社長交代を迎えるわけですが・・・

ちなみに13年目に突入した現在は年間販売台数、200台から250台ですので、いまの人員の半分でと考えるとかなりのハイペースで売っていたとわかりますね。

ここからは新商品発表、国内営業所開設、タイ現地法人設立など業界トップメーカーのポジションに向けて突き進んで行くことになりますが、多くの問題に頭を抱えます。
メーカーとして、事業責任者として、そして新社長として。。。

ここから「新社長篇」がスタートします。

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