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michinoxa 1st albam 『ゆりかごから』小話(12) ゆりかご

1stアルバム『ゆりかごから』の各楽曲について語る連載です。



2024.05.12 release
michinoxa 1st albam 『ゆりかごから』
1. 203 (feat. 知声)
2. みんないなくなってく (feat. 重音テト)
3. 中の下 (feat. 知声) [2024 Remaster]
4. potta-potta (feat. 知声) [2024 Remaster]
5. 玻璃の心臓 (feat. 知声) [2024 Remaster]
6. Fundamental (feat. 知声) [2024 Remaster]
7. 謎の液体と青い粉末 (feat. 知声)
8. 羽をもがないで (feat. 花隈千冬)
9. 157 (feat. 重音テト)
10. パーソナル (feat. 知声) [2024 Remaster]
11. 君のこと信用してないよ (feat. 知声)
12. ゆりかご (feat. 花隈千冬)

 ↓ Click here to listen ↓




アルバム『ゆりかごから』の小話は今回が最終回です。
ここまで丸3ヶ月、お付き合いいただいた皆さま、
どうもありがとうございます。


曲全体の話

表題曲

正確には表題ではないのですが、表題曲と言っていいでしょう。
このコンセプトアルバムにおいて不可欠な楽曲です。

本作は、DTMを始める前にピアノ譜を制作して、タイトルも歌詞もつかないまま放置されていたものです。
『ゆりかごから墓場まで』という名前のアルバムを作りたい、と思い立った時期にたまたま「そういえばこの曲放置してたな」と。
アルバムのコンセプトに沿って歌詞を後付けしました。
原曲が、サビで転調するなど壮大や荘厳なイメージがあったので、
歌詞もスケールどでかい感じを狙いました。
結果、プランクトンと政治家とティラノサウルスが同居する
何でもありな世界観になりました。


ボーカルに花隈千冬を選んだ理由

本来自分の中では、彼女はこんな綺麗な曲担当じゃないんですよ。
もっと暗黒担当というか、
   被害者担当というか、、、
劣等感恐怖自己顕示欲、みたいな曲ばかり歌ってもらっていました。

  • ナイトメア


  • 羽をもがないで


サムネから暗いもんね。
これはもうね、そういう(へき)なんですよね。
可愛い声の可愛い子にただ可愛い曲歌ってもらっても面白くないというか。
「この可愛い声でこんな内容の曲を!?」というギャップが好きなんです。

そういう意味では本作はかなり例外ですよね。

本作のボーカル選びは難航しまして。
実は歌うのすごく難しいんですよ、この曲。

一見、音域もそんなに広すぎないし(B♭4~E5)、
「ボカロにしては歌いやすいのでは?」と思うじゃないですか。

でもBメロでねえ、みんな挫折しちゃって。
ある程度の速さである程度の高低差を行き来しなきゃいけないんです。
自分の使っているAI入ってる系の音声合成ソフトたちは、これが苦手っぽいんですよね。

知声さんは早口が苦手ですし(プランクトンの時点ですでにきつそうだった)、
MERROWを筆頭としたNEUTRINO各種の皆さんは調声すれば上手くいくのかもしれませんが、NEUTRINO調声ツールはWindowsのみ動作するので、自分のMacの環境ではケロケロしたMERROWさんをそのまま受容するしかないと。
Synthesizer V テトさんだと、頑張って歌ってる感じになり、熱血になってしまう。

千冬さん……

花隈千冬公式Xより

お願いします……!

花隈千冬さんはぎりぎりBメロも歌いこなすことができ、
そして何より本作の透明感を爆上げしてくれました。
透明度高すぎて「神話か…?」みたいな感じになっています。


内容


※注意※
読みやすさ向上のため、歌詞の見せ方を今回だけ変えてます。
今までのように区切り線で区切るのではなく、背景をグレーにしてます。
記事間で体裁にばらつきが出てしまい申し訳ないです。



宇宙視点だったり未来視点だったり、
かなり俯瞰した視点から1人の人生や1つの家庭を見つめています。
「自分の人生なんて宇宙から見たらちっぽけなものなんだよなあ」という感じ。
でも、決して個の矮小さを嘆いたり悲観的になったりしているわけではなく。


1番

「私」が生まれてから独り立ちするまでを描いています。

私が生まれた日に遠いどこかで誰か生まれた
煌々と燃える流れ星が凍土に落ちた

人が亡くなったときに「星になった」と表現することがありますが、ここはそれに準えて、人の死を上記の歌詞で表現しています。


ずっと会いたかったよ
この日を待っていたよ
新しいわたしとの邂逅を
大きな親指を握りたいと思ったよ
でもいつかはひとりで歩くだろう

「私」が独り歩きもできないころ、親の親指を握った時の描写です。
乳児の手ってちっちゃくてふくふくだよね。


2番

「私」が伴侶に出会い、出産、とんで亡くなるまでを描いています。

ずっと会いたかったよ
この日を待っていたよ
新しいあなたとの邂逅を
大きな手のひらを握りたいと思ったよ

「あなた」=伴侶


でもいつかは1人になるんだろう

死が2人を分かつことを想像している

ほんのわずかな時間この子の身体を包んだゆりかご

 「この子」=自分の子どものこと
子どもが乳児じゃなくなるのはあっという間らしい


ほんの近くの星がまるで届かない存在だったころ


異星を「ほんの近くの星」と表現できるほど宇宙飛行技術が発展した遠い未来から見た、現代のこと


煌々と燃える流れ星がまた1つ凍土に落ちたんだよ

自分の死



制作時期一覧

せっかくなので、本アルバムの制作順を一覧にします。
『ゆりかご』は『203』と並ぶかなりの古参勢ですね。

中学時代

  • 157


高校時代

  • 203

  • ゆりかご

  • 謎の液体と青い粉末


社会人になりDTMを始めてから

  • パーソナル

  • Fundamental

  • 玻璃の心臓

  • 中の下

  • potta-potta

  • 君のこと信用してないよ


2023年

  • みんないなくなってく

  • 羽をもがないで



今回は以上です。

歌詞の全文は以下の通り。
是非読みながら聴いてみてくださいね。

歌詞

わたしが生まれた日に
遠いどこかで誰か生まれた
煌々と燃える流れ星が凍土に落ちた
わたしが生まれた次の日
同じ場所で誰か生まれた
数年後に出会うだろう
クラスメイトとして

海を漂うプランクトンも
シロナガスクジラも
生き抜いて死んでいくんだろう
通りの桜並木もバッタも
政治家も次の世代に託していくんだろう
ずっと会いたかったよ
この日を待っていたよ
新しいわたしとの邂逅を
大きな親指を握りたいと思ったよ
でもいつかはひとりで歩くだろう

ほんの僅かな時間
この部屋に溢れた温かい笑顔
ほんの少しの時間
わたしの体を包んだゆりかご
ほんの近くの柱が
まるで届かない存在だったころ
途方もないほど広い世界に
早く巡り逢いたいと思ったよ

いつかティラノサウルスも
アウストラルピテクスも
生き抜いて息絶えてしまったろう
近所の金木犀も
プランターの腐葉土も
次の世代に託していくんだろう
ずっと会いたかったよ
この日を待っていたよ
新しいあなたとの邂逅を
大きな掌を握りたいと思ったよ
でもいつかはひとりになるんだろう

ほんの僅かな時間
この部屋に溢れた温かい笑顔
ほんの少しの時間
この子の体を包んだゆりかご
ほんの近くの星が
まるで届かない存在だったころ
煌々と燃える流れ星が
またひとつ凍土に落ちたんだよ



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