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【コミュニティ作りをしたい方へ】旅好きの人生を豊かにする大人の学校「POOLO(ポーロ)」2年間の振り返り&ケーススタディ【1.3万文字】


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大人の学校を作った「学び」を還元したい。

このnoteは「おとなの学校」のような学びを中心に据えた学校を企画運営したいと思っている人に向けて書いています。

日本国内にもっと「学び場」は必要だと思うし学びの場を作っている人同士でつながってよりいい学びの場を作っていきたい。競争から共創へ。

120人が所属し、12万件以上のSlackが飛び、1,200件のTwitterの口コミを生み、360本以上のnoteが書かれたアクティブなコミュニティの内側を少しでもお伝えして誰かの役に立ったら嬉しいです。

前半はPOOLOを作った背景と原体験のお話。後半はコミュニティ作りの1つのリアルなケーススタディとして書きました。(後半は赤裸々な話を書いていて少し恥ずかしい部分もあるので有料にしています)

コミュニティ作りに数年関わっていますが、コミュニティ作りとは「ビジョンニング(ビジョンを作ること)×組織開発×マーケティング」に集約されると思います。この記事ではビジョンニング×組織開発について主に書いています。

POOLO(ポーロとは?)

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2019年。21世紀型グローバル人材育成プログラムと銘打ってPOOLO(ポーロ)を開校。旅が好きなメンバーが集まり、ウェルビーイング、SDGs、ツーリズム、マーケティング、ビジネス、キャリア等を学んでいく1年間のスクール。MBAほど専門ではないけれど、大人の学び直しのリカレント教育のようなもの。

1期は渋谷のTABIPPOのオフィスを中心としたオフライン中心のコミュニティで、2期はオフライン中心で全国37都道府県から集まるコミュニティに変更。「自律」と「共創」を大切にしたコミュニティでありプログラム。こんな形で書くととても真面目なプログラムに思えるけれど、中はとても優しき世界。

なぜPOOLOを作ったのか?

旅が好きな僕は、「旅してよかった!で終わり」ということになんだか寂しさともどかしさを感じていた。もっと自分の旅の経験をどうにか活用できないものかと。自分だけが満たされる旅から他の誰かにも貢献できるようなものを作りたいなあと。そして、旅の経験を何か誰かのために役立てるには知識なりスキルなり仲間が必要だよなあと考え、コミュニティ型の学習プログラムを作ることにした。キーワードは『自分の旅の経験を還元する』。

そして、仕事だけの関係や学びだけの関係にとどまらず、一生涯つながっていけるほどに濃いコミュニティにしたい。なんて、いうと少し青臭くてこっ恥ずかしいのだけれど、僕の原体験はシェアハウスで共同生活だったので、学びの要素をぐっと加えた共同生活のようなイメージで作っている。自己理解、自己開示、自己決定、他者理解、共創を経て人は繋がりを濃くしていくと思うのだけでど、そんなコミュニティを目指して作っている。


大切にすることは「楽しさの追求」「世の中への貢献」のバランスを取ること。自分だけが楽しいだけじゃなくて、自分も楽しくて、結果としてちゃんと世の中にも貢献する旅好きが増える仕組みづくりをこのスクールを通じて作りたいと思い企画している。


◉楽しいことをするには「誰か」が必要

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楽しいことをやるためにはつねに「誰か」の存在があった。たぶん人生に一番影響を与えたであろう男13人でのシェアハウス「恵比寿ハウス」の話を少しだけしたい。2012年〜2018年まで20代の青春の大半をこのシェアハウスに捧げた。男13人でシェアハウス。しかも恵比寿。ツッコミどころしかない...。

シェアハウス生活で1番良かったことは「一緒に何かを出来る環境があること」だと思う。例えばパーティーをやりたいなあと思ったとき。1人が3人の友達を誘うと39人の友達が集まるパーティーになる。もう数がすごい。卓球したいねと話したらみんなで卓球台を割り勘で買って卓球大会が始まる。起業しようって言ってメンバー同士で起業する。なぜ毎年写真館で家族写真を撮るのかは良く分からないし、毎年海外旅行にいってゴチバトルをするのかも良く分からない。ただ「やりたいことをやれる環境があること」この大切さ教えてくれたのがこのシェアハウス生活だった。

もっと突っ込むと、他のメンバーがどんなことを大切にしているかが分かると一緒にやりたいことやれることが加速する。このシェアハウスから楽しさの源泉は「コミュニティ」から生まれるという着想を得た。


◉楽しむためには「消費」から「生産」をする側にうつること。

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話を少し変えて世界一周の旅の話をしたい。職業柄、多くの旅好きな世界一周経験者と出会い、旅のアドバイスをすることが多い。ただ、多くの人は旅を自分の中だけで消費して終わり、旅の後は何ごともなかったかのように日常を始めていた。旅に非日常を求めることは良いと思うのだけれども、その非日常と日常とが断絶していた。旅をした貴重な資産というべき経験を活かしきれていない。旅の過程でもいいし終わった後でもいい。感じたことを自分以外のことに使った方がいい循環が生まれるし楽しいことが起こりえる。自分が行った旅先の良さを誰かに伝えることでもいい。お土産を買ってきて誰かに渡すことでもいい。大切なことは誰かに「繋げること」だ。

旅を自分だけで消費することから何かを生産する側にうつること。これがPOOLOのコンセプトである「旅の経験を還元すること」の根本にある。消費側から生産側に。生産をすることで世の中に貢献した方が楽しいしなにより持続的だ。コミュニティデザイナーの山崎亮さんが「楽しさの自給率を上げる」と言っているけれどもこれはまさにと思って共感している。


◉共創と利他を育んだ強烈な原体験アメリカ「バーニングマン」

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アメリカの砂漠の奇祭「バーニングマン」について少しお話する。たぶん聞いたことがある人はほとんどいないと思うので簡単な説明から。

アメリカネバタ州の砂漠に7万人近くの人が集まって作り上げる1週間のアートフェス「バーニングマン」。お金が使えないこと、参加者みんなが表現者であることなど、独特なルールや文化がある。その中でも一番浸透している哲学は、

「傍観者であるな(NO SPECTATOR)」

自分たちが作る。キングコングの西野さんの言葉を借りると「共犯者を増やす」に近くて、このバーニングマンの参加者全員は共犯者なのである。お金払うから、なにか見させてという精神とは対極にある。自分らでつくろうぜ。自分が好きなことやろうぜ。表現することって大切じゃん、と。

そして、この根本を支えているのが、見返りを求めずに「与えるだけ」という精神を多くの人が持っていることだと思う。give&takeではなくて、giveするだけ。co-giving. 困っている人がいたら、助ける。誰かのためになることをするというシンプルな行動。この安心感に支えられている。だからこのバーニングマンはときどき「理想郷」と言われる。

・自分で作る
・誰かのためにやる

こんな精神の人たちがあつまるから、居心地もいいだろうし、刺激的なのだと思う。こんなバーニングマンを思い浮かべながらも、僕は旅が好きな人が自分らしくいれる場所でありつつ、刺激も安心もあるようなコミュニティを作っていきたいと思っている。

POOLOを通じて僕がやりたいこと

ざっとまとめるここんなイメージ。

・旅好きな人が豊かな人生になる仕組みを作りたい
・旅好きな人に周りの人を豊かするスキルを高めてほしい
・POOLOから世の中をよくする事業/プロダクトが出てくること

共に学び、共に遊び、共に創る。これを行動指針にしながら。

旅が好きというだけで尊い才能であり尊い好奇心だと思う。旅自体はめんどくくさく、自分が今住んでいる場所から動きたくないという人にも出会ったこともある。なので、嫌いな人に旅を好きになってほしいというおこがましいものではなくて、旅が好きな人に向けて仕事をしている。

旅が好き一口にいっても旅に出る背景は様々あると思う。絶景を見たいから。自分を変えたい。挑戦をしたい。モテたい。世界遺産が好きだから。

この純粋な好奇心がとても大切でここから世の中への興味が広がるそして、実際に自分が訪れることで見たものが自分ごと化される。そして、また好奇心が広がっていく。そして、世の中の多くな価値観を感じる中で、受容も反発もある。徐々に自己の価値観の軸が定まる。

そして、最初は自分を満たすことから始まる旅も、いつかは自然と利他的なものになっていく。自分が訪れた地域に貢献をしたいとか、お店を応援したいとか。とある人が「純粋な自己中心的利他」と言っていたけれど、まさに。

そして、この利他や貢献をしたいと思った時に自分ができるスキルが足りなくて悶えるときがある。そんな人に向けて考えた教育プログラムがPOOLO。色んなゲストから学び、仲間を出会い、共創をする。

5年近く600回近くのワークショップの開催を経て作ったものがPOOLO2019年。

POOLO2期の振り返りとキーワードと残課題

2期の振り返り所感
POOLO2期は総じてエンゲージメントが高いコミュニティになったじゃないかなと思っている。120人のメンバーで、12万件以上のSlackの投稿数、1,200件のSNSでの口コミが生まれたのはとても良かった。もちろん離れてしまったメンバーも多くいるから最初のプログラムのすり合わせ自体が弱かった課題感はあるけれど、最後まで残ったメンバーは当初イメージをしていた人たちだったように思う。

ここからはPOOLO2期のキーワードを挙げながら振り返っていく。

・自分を好きになった
・自己肯定感があがった

という声を多くきいた。それはなぜかと言うとたぶんこんな理由だと思う。

・小さなことが出来るようになった
・小さなことが受け入れられた
・誰かの役に立つことを感じたこと

新しいコミュニティを求める人は、直近で何かしらの不安、課題、もやもや、自信を失っていた、何かしら自分を変えたい、自信をつけたいという人が多い。なので、POOLOを通じてアクションを積み重ねて少しずつ自分を変えていくことが求められていたことのように思う。そして、旅好きな人が豊かに生きていくためのTIPSはこちら。

・幸せに生きるためには自己理解と自己決定が必要
・自己理解のためには他者理解が大切
・最後に自己創造&共創を

自己理解と自己決定をもって、自発的かつ能動的な行動が生まれていく。Eフロムは「真の喜びは真の能動にある」というけれどまさにそう。

オンラインでのコミュニティ形成の不安
オンラインで作られるコミュニティ形成が何よりも不安だった。全国から集まる120名がオンラインだけでちゃんとコミュニティになるのかと。もともとオフラインのコミュニケーションが得意だった僕らにとっては大きな挑戦だった。ただ、旅好きという特性が想定外の効果を生んだ。今回は37都道府県からの参加があった。

結果としてメンバーを巡る旅が多く生まれた。釣り好きのメンバーがいる佐賀に。スナックをやっているメンバーがいる福岡に。ワイン好きがいる大阪に。日本酒好きがいる新潟に。みたいな。観光地を巡る旅から人を巡る旅がPOOLO2期の特徴だった。オンラインはあくまでの繋がる手段。

きっとオンラインで関係構築ができるレベルはオフラインに比べて7〜8割といった感じだけれど、リアルで会うキッカケには十分になりえた。さらに、基本的にはオンライン中心だからSlackでのコミュニケーションやzoomを使うことの抵抗はあまりない。なので、結果としてコミュニケーションがスムーズにいき、オンライン、オフラインを上手に組合わさったなという印象。

大切なことはオンラインだけで交流が完結することではなくて、プラスアルファのオフラインの交流が生まれるような設計にすること。ただ、あくまでもプラスアルファとして。オフラインで会うことななんだかんだみんな大好き。


チーム分けの重要さと自由度の設計
POOLOでは1年間に3回チーム分けを行う。それは色んな人と交流するキッカケをうむために。1年間を終えてヒアリングを重ねた結果、最初のチームメンバーが一番今でも仲がいいという人が多かった。というか、最初がうまく機能したところが最後まで残っていたのだと思う。

序盤はチーム毎にチームビジョンやチームでやることを自由に決めてもらう課題設計にしていた。うまくはまる所はチームで多くのMTGを開催してたくさんのアクションが生まれていたけれども、一瞬で崩壊する所もあった。
コミュニティ形成序盤にあまりにも自由度が高い課題を設定してしまうと、チームとしてまとまる前に崩れてしまうことを学んだ。

そしてチーム分けの精度。運営側でエントリーフォームを読んでチーム分けをするのだけども、どうしてもテキストだけだと分からないことはある。なので、これからは序盤は少しの時間のバッファをもたせてからチーム分けをしてみてもいいかなと思っている。とにかく序盤の設計がものすごく大切。

メンバーのマッチングと取り組む課題設定が肝

誰も取り残さないコミュニティを作ることのバランスを。
コミュニティを運営していると熱量高い人とそうではない人はどうしても生まれてしまう。これはしょうがないことだと思うけれど、この熱量の差をどうマネージメントするかは運営側の方針だと思う。1期は熱量高い人が求めることにリソースを割きすぎた反省があった。2期は1期メンバーも序盤にいれつつ運営を始めた。講義の序盤にウェルビーイングやSDGsを入れたことで「誰も取り残されない世界を作る」という言葉が全体のキーワードになった。これは1年の合言葉のようになった。

1年間のプログラムは長い。仕事が途中で忙しくなって参加できなるメンバーもいた。序盤から仕事が忙してくて参加できないメンバーもいた。途中から参加してもみんあウェルカムで受け入れる姿勢が出来たことは本当によかった。ただ、これもトレードオフなのだけど、この言葉があるがゆえに自分がやりたいことが出来ずに、ケアをすることにリソースを割きすぎたメンバーもいたので、このさじ加減はやはり難しい。

1on1と他己紹介のススメ
1on1と他己紹介はとにかくよかった。こちらも1期2期を通じてよかった序盤に大切な制度に。グループで話しているとどうしても深い所まで聞けないので、1on1はよい。そして、終わった後の他己紹介。他己紹介制度によって誰かに興味をもってもらって、またつながりが生まれていく。そして、1on1をすると濃い繋がりがうまれやすいので、コミュニティに参加できなくなっても後から参加しやすくなるメリットもある。

インプットとアウトプットの濃淡設計
長期の学びのプログラムを設計することは中々難しい。POOLO1期は50回ほどの様々な講義を用意したのだけれども、講義同士の繋がりが見えづらいとフィードバックを貰った。そして、成長をしている感じがしない、と。なので、2期は講義を数回セットのゼミ化して繋がりをつくり、ゼミの最後に発表をするアウトプットの機会を設けた。メンバーに話を聞くとやはりアウトプットをする機会自体に魅力があったとよく聞いた。テーマとして深めたものは、キャリアデザイン、ツーリズム(主にハワイ)、マーケティング、ビジネスの4つ。

そして、講義の必要性と役割ついても考える必要がある。序盤はもちろん学びとインプットの需要が強いけれど、後半は実践やアウトプットの機会の方が求められていた。なので、インプットとアウトプットの濃淡のバランスはまだ改善の余地がありそう。

残課題|ゴール設定の明確化&ロードマップを
POOLO全体を通じて何をやるかが少し不明瞭だった。最後に向かうべきゴールは何か。どんなことをアウトプットするのかは最初から分かっていた方が参加者からするとわかりやすい。あと、月ごとのロードマップ。1年間の長い時間を「自由に活動して下さい」と言われると結局なにも出来ずに終わってしまいがち。なので、ちゃんと月次のロードマップを用意することとスピードを選んでもらうことが今後の検討課題。POOLO3期のゴールは「◯◯の人生を豊かにするために私が共創できること」と仮置きしている。


残課題|どれくらの時間のコミットが必要なのかの透明化
ゼミや講義にどれくらいの時間を割けばいいのか分からなかったという声を多く貰った。そして、予想以上にコミットする時間が多く、離れてしまうメンバーもいた。もちろんコミットすればするほどいいのだけれど、目安のような時間を事前にすり合わせしておくことは重要。プログラムに入る時の参加の解像度をあげることが全体的な課題なのでより具体的にしていくこと。例えば、メンバーが実際に活動したレポートのようなもので補完をしていくことが良さそう。このプログラムの内容の高い解像度が伝えることは参加後のミスマッチをなくすためにもとても重要。

2期メンバーのTweetを少しピックアップ

いやあ最高のコミュニティでした。POOLO2期メンバーのnoteはこちら。現在360本以上が書かれているので、ぜひ読んで見て下さい。

コミュニティ形成論&POOLOのケーススタディ

この先はPOOLOを企画する上で大切にしていたことのまとめやKPI、満足度調査のリアル数値について。POOLOをケースにしたケーススタディのような記事です。本気でコミュニティを作りたい人のためのリアルな1歩を踏み出すために赤裸々な話を書きました。少し恥ずかしい内容もあるので有料化にしてみました。ちょいといいビール1杯を恩田にプレゼントしてやるか!という人はぜひぜひ。(ここから8千文字以上あります...)

項目
・ビジョンと行動指針(クレド)の作成が最重要
・価値観が合う人を集めることが肝
・初期は小さく濃い関係作りから
・自律分散と取り残さない世界観を
・強みや好きを開示、活かす関係を
・アイディアをたくさん出す。共有する
・能動的利他を広げる
・共創する機会を
・自己理解と自己決定の促しと繰り返し
・実際に追っていたKPI
・コミュニティマネージャーという役割
・コミュニティの満足度やNPS等のリアル数値
・参考図書

  • ビジョンと行動指針(クレド)の作成が最重要

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