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vol.8 「世の中を面白くする」スペースシェアサービスを生み出したファーストペンギン〜スペースマーケット:重松大輔さんのはじめの一歩〜

ミチナル新規事業研究所、特派員の若林です。
組織に潜む「ファーストペンギン」が一人でも多く動き出して欲しい!という想いで知恵と勇気を与える記事を定期的にお届けしていきます。
第8号の記事では当時日本ではあまり行われていなかったスペースシェアリングサービス「スペースマーケット」を立ち上げた、重松大輔さんの始めの一歩を紹介します。

社外に刺激を求めていたサラリーマン時代の出会い

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STRATUP DB インタビュー記事より

新卒からの5年間、大手通信会社に勤めていた重松氏は社外の人と飲みに行くことが多くあった。当時働いていた会社は安定した職場だったため、刺激を得るためには社外の人間とコミュニケーションを取ることが必要だと考えていたのだ。

刺激を求め社外の人と交流をしていく中で後に彼の伴侶となる佐藤真希子氏にも出会った。
佐藤氏は当時、新卒一期生としてサイバーエージェントで働いており、仕事も人間関係も充実していたという。プライベートでもこのビジネスは何で流行っていて、どう儲かって、どのくらい収益になるのかを考えるのが好きだった彼女と重松氏はすぐに意気投合をしたという。

目標としている生き方をするためにはチャレンジした方が成功率が高いと考えた

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キャリアコンパス インタビュー記事より

その後大手通信会社からフォトクリエイトへ転職をし、毎日イキイキと働いていたという重松氏。しかし、会社が成長し上場に近づいていくのと反比例するかのように、楽しそうに働いている様子が見られなくなってきたと佐藤氏は語る。


日本には「嫁ブロック」という言葉がある様に結婚しているパートナーから転職を止められる男性は多いが、重松氏の場合は全く逆の状況であった。

石橋を叩いて渡るタイプだという彼は大手通信会社からフォトクリエイトへ転職した際も時間をかけて慎重に行っていた。そして、フォトクリエイトが大きくなり安定してきたため、次のステップに進もうと起業を考えていた時にも慎重になり、少しの躊躇があったという。そんな時に背中を押したのは、佐藤氏の「やればいいんじゃない?これだけリスクが低くなってきた世の中なんだから」という言葉だった。


それでも会社を立ち上げようと考えていたタイミングでお二人の間に3人目の子供が生まれたこともあり、家族を大切にしたい気持ちが働き、起業に対する不安な気持ちは拭えなかった。しかし、夫婦として家族として将来どう生きていきたいか話し合うことで、目標と現実のギャップを頭で理解したという重松氏。

サラリーマンとして働くことも選択肢としてはあったが、目標としている生き方には知識や経験、人脈、経済力などのギャップが埋まらないと考え、最後には起業という選択肢を選んだ。
短期的には少し大変かもしれないけれど、チャレンジした方が成功率が高い。という結論を夫婦で話し合うことで生み出したのだ。



「世の中を面白くする」ことにこだわり乗り越えた創業期

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STRATUP DB インタビュー記事より
妻である佐藤氏の後押しもあり起業を決断した重松氏。スペースマーケットで起業をする前にも多くのビジネスアイデアを検証してきたが、最もしっくりきたものがレンタルスペースのアイデアであった。当時、ベンチャー投資に従事していた佐藤氏は、奥様として背中を押すだけでなく、ビジネスパートナーとしてもサポートしピッチ相手などもやっていたという。

佐藤氏のサポートもあり2014年にスペースマーケットを立ち上げた重松氏であったが、半年ほどは1日に1件もマッチングしない日もあった。しかし、「その先の世界」を描くことでモチベーションを維持し、その危機を乗り越えてきた。

「スペース」を提供することで、お客様の「場所探し」が楽になり、さらに楽しいことが出来る。そうやって世の中、面白いことが増えていくし、チャレンジャーが増えていくと考えています。と重松氏は語る

立ち上げ直後は知り合いに頼んで、会社の打ち合わせやイベントにスペースマーケットを半ば無理やり使ってもらうという大変な経験もしている。
しかし、サービスの浸透によって実現される「その先の世界」を明確に描くことが出来ていたからこそ、諦める事なく鳴かず飛ばずの時期も乗り越え、2019年には掲載スペース数が10,000件を超えるプラットフォームになっている。


ここまで多くの人に利用されるようになった要因の一つは不動産の部屋を提供するという無味乾燥な世界にあった仕組みに「世の中を面白くする」ための「クリエイティビティ」や「面白い・楽しい」という価値を付加するソフトのコンテンツを丁寧に組み込んだ事だ

前職のフォトクリエイトが写真関連の会社だったこともあり、掲載する写真へのこだわりを最初に持つようにした。「面白そう」「ワクワクする」といった気持ちになってもらうためにっていう「こういう風に使えるんだ」とイメージができる写真にしている。

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スペースマーケットホームページより

ホームページに掲載されている写真を見るとそのこだわりがすぐに伝わる。
そして、写真の他にもコンテンツマーケティングやPRにも力を入れ、人々のワクワク生み出している。
エイプリールフールには宇宙空間の貸出企画を実施して、メディアに取り上げられている。

「世の中を面白くする」ためには何をしたら良いのかを考え抜き、写真やプロモーションにこだわりを持つ事でスペースマーケットの描く「その先の世界」がユーザーにも伝わってくる。だからこそ、スペースマーケットのサービスは日本に広まり、チャレンジをする人を増やし続ける事が出来ているのだろう。

編集後記:近くにいる人が理解してくれることの心強さ

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場所を提供することでチャレンジャーを生みだすサービス「スペースマーケット」を生み出した重松大輔さんの始めの一歩を紹介しました。
今回この記事を書いていて感じたことは、近くにいる人が理解してくれることの心強さです。

重松さんの奥様である佐藤さんは、家族のために起業を躊躇していた重松さんの想いを理解し「やればいいんじゃない?」という一言で一歩を踏み出す勇気を与えています。
この時、佐藤さんが「起業はリスクが伴うから、我慢して今のままの仕事の方が良い」と言っていた場合、きっとスペースマーケットというサービスは日本に生まれていないと思います。

佐藤さんの理解があったからこそ、重松さんは事業が軌道に乗らなかった時にも自分を信じやり遂げる事が出来たし、どうにか成功しようと前に進み続ける事が出来たのではないでしょうか。

新たな一歩を踏み出す時にプライベートで近くにいる人が理解してくれることの力強さ。理解してもらえるほどの想いやビジョンを持ち、それを伝えるために時間をかけてコミュニケーションを取ることの大切さを教えてくれる重松大輔さんの始めの一歩でした。

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