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思想の尻尾~野球という夢~

野球が好きだ。
家では夕食の時間、ニュースが終わると野球放送がかかっていた。
父は巨人のONコンビ(王、長嶋)に憧れて育った世代で
決して口数の多い人ではないのに
長嶋の天真爛漫な魅力を嬉しそうに語ってくれた。
当時はその長嶋が監督となり
斎藤、桑田、槇原の三本柱が活躍し投手王国と言われていた。
打者と投手が一対一で対峙し斬るか斬られるか
漲る緊張感に息をのんだ。
でもいつの間にか関心が他に移り
野球の放送枠もテレビから消えていった。

今は大谷さんのホームランをYouTubeで見返すくらい。
日本ではゴジラと言われた松井でさえ、
メジャーでは小さく見えたのに、ホームランキングを独走
三冠王さえ手にかかる活躍には目を見張るばりだ。
夢のような世界戦。夢…でも待てよ。
もしかしたら夢なのでは?と思う。

なぜ野球は面白いのか、考えてみると不思議だ。
球を投げて、木の棒で打ち返す。
その技に優れた人がもてはやされ何十億という対価が支払われる。
野球の起源は、イギリスの「ラウンダース」というスポーツにあるらしい。
ラウンダースは16世紀の文献に記録が残っており
少なくとも数百年前から存在していた。
イギリスの田舎や都市部で人が集まった際
気軽に楽しめるゲームとして広まったらしい。
それが海を渡った。

フィールドに18人の人間、打つものと投げるものが存在する
そんな場は地球上に無数にある。
でもプレイボールはかからない。
遊びと競技を愛する人の心があり
ルールを作り、チームを作り、名前をつけ、ユニフォームを作り
空き地を整備し、応援する人が集まり、勝負を判定する人が求められ
技を競い、スポンサーが現れ、更に技を競い
振り降ろす腕から放たれた白球と振りかざすバットがぶつかって
数百フィートのの飛距離を出す。
ベーブルースがピンストライプのユニフォームでバットを振り
ジャッキーロビンソンが走り、ライアンの剛速球がうなり
Take Me Out to the Ball Gameが歌われ
選手が子供の夢になる。ファンの心の糧になる。

空き地から創られた沢山の物語
Field of dreams  夢の領域
夢に夢を重ね、夢と夢を比較し、夢と夢を交換して生きている。
人間50年下天のうちをくらぶれば 夢幻のごとくなり(信長)
難波のことも夢のまた夢(秀吉)
人生を夢と振り返った戦国武将の言葉が
真実味をおびて聞こえる気がした。

2024年9月30日 捕まえた尻尾

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