大磯プリンスホテルで味わう非日常①
大磯プリンスホテル。まさに「白亜の」と形容するにふさわしい、海辺の大リゾートホテルだ。しかし私が日の暮れた時間に到着したのがいけなかった。その美しさは翌朝までイマイチよくわからなかった。
巨大ホテルらしい、いくつも並んだカウンターでチェックインをする。女性のスタッフさんが、宿泊者カードに書いた私の誕生日に気づき「おめでとうございます」と言ってくれた。それがたとえホテルパーソンとしての発言だとしても、赤の他人様に祝ってもらえると、なんだか嬉しいものだ。
ホテルの構造は、大雑把に言うと「宿泊棟」と「スパ棟」にわかれている。敷地内には、大磯ロングビーチ、ボウリングセンター、テニスコートなどのアクティビティ施設がフルラインナップ。余暇を過ごすためのすべてが揃っている。この敷地内で、余暇が完結する。非日常、「リゾート」のあるべき姿を見ている気分がした。
部屋はあえて山側、マウンテンビューを選んだ。山側の方が少しお安い、という事情も無きにしも非ずだが、一番の理由は「海側は案外うるさい」からだ。以前、鎌倉プリンスホテルに宿泊した際、海側の部屋を選んだ。景色は抜群だったのだが、波音が近すぎて結局あまり眠れなかったのだ。その時の失敗を踏まえて、今回は山側を選んだ。
結果、正解だった。これは翌朝撮影した写真だが、夜景もとても良かった。夜には部屋の灯りを消し、カーテンを全開にして、窓の向こうに広がる景色を眺めながら酒を飲んだ。大磯の街の明かりは多からず少なからず、寂しすぎずギラギラしすぎず、ちょうどよく私の部屋の間接照明になってくれた。
夕食前に、スパ棟へ行った。波の音を聞きながら、汗を流し、軽く温泉に浸かった。
夕食は、宿泊予約と同時にホテル内の日本料理店を予約しておいた。宿泊プランに、ホテル内で使える6,000円分のクーポン券が含まれていた。コースを選び、料理の到着を待った。
レストランはもちろんオーシャンビューが売りなのだが、夜は真っ暗で正直何も見えない。海側の大きなガラス窓には、室内灯で反射した自分の姿が映る。波の音と、車の走行音らしき音が聞こえるのみ。ここで食べるなら、朝か昼だな、と思った。料理は一向に来ない。
思い出したかのように、そして慌てているかのように、料理が運ばれてきた。きはじめたら、次から次へと間もなく持ってこられた。遅いよりは良いが、適切なインターバルも考えてほしい。
料理はおいしかった。品の良い味で、特に醤油などのつけダレが工夫してあって美味だった。大好物の寒ブリがなかったのが少々残念。
腹七分目の量といったところ。この後スパや、部屋での酒も控えているのでちょうどよかった。
《2021年12月》 (続)
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