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ドイツの産後サポート制度のはなし

我が子が可愛い。とてもかわいい。かわいいと思える余裕があってよかったと安堵する。

身近に頼る人のいないドイツでの初めての子育て、どれだけ大変か、鬱になってしまわないか、などと産前からかなりビクビクしていた。大泣きされるとあたふたするときもあるけれど、思いのほかなんとかなっていて、子どもの可愛さゆえだなぁとつくづく思う。

生後2ヶ月半、声をかけると目を向けてくれ、笑顔が増え、足の力は強くなり、泣き声も多様になった。新生児のふにゃふにゃした体からだいぶしっかりして、「赤ちゃん」になった。その成長速度に驚く。

知り合いの少ないドイツでそれを日々共有できるのが夫だけ、というのが少し悲しくもなるのだけど。

夫婦以外で我が子を抱っこしてくれる貴重なひととして、ドイツでHebamme(ヘバメ)と呼ばれる助産師さんの存在があった。日本のように病院で勤務する助産師さんももちろんいるが、ドイツでは、生後8週間まで、最大16回まで助産師さんが自宅に直接きてくれて、赤ちゃんの成長をケアしてくれる保険適用の制度がある。

保険適用とはいえ探すのは個人で、特に都市部では不足しているらしく、タイミングによっては見つからないこともあるらしい。(その場合、地域のプレイルームのようなところに連れて行くと、曜日によってヘバメが来ており見てくれる)

我が家は6月末の予定日に対し、今年の年明けから婦人科にあったリストやwebなどで探して20件以上の依頼メールを送り、出産予定時期などの都合があった方はひとりのみ。その方と面談し、決まったのは1月下旬だった。

退院後から計13回来てもらい、ひとまず先月末で診察を終えたのだが、ケアしてもらったのは主に以下のこと。

1)毎回の体重測定 2)赤ちゃんの体調チェック 3)沐浴の指導  4)母体の回復状態のチェック 5)母乳の場合の胸のケア 6)その他気になる点について相談

生後1ヶ月までは1週間に2~3度、その後は週に一度の頻度で来てくれた。今後は、離乳食が始まる前と始めたあとの計2回、相談の時間をとってもらうことにしている。(規定回数上限の16回をどう使うかは相談できる)訪問時以外でも気になる点やなにかあったらいつでもメールして、と言ってくれ心強かった。

(体重は毎回計測。袋に入れられる姿すら愛らしい。。)

日本と大きく違ったのは沐浴。

産んだ病院では入れてくれなかったので、ヘバメから指導を受けるまで我が子はお風呂に入っていなかった。その間、実に3週間。生後1週間を過ぎた頃、そろそろいれるのかな?と思ってヘバメに聞いてみると、「来週ね。大丈夫よ、汚くないから!」

しかし、その翌週は何もなくスルー。そして、へその緒もとれ、やっときた3週目。生後21日にして初めてのお風呂となった。7月上旬までは20度を下回る日が多かった今年のドイツ、暑い日が続いていたらもっと早くお願いしていたかも。(週に一度くらいで十分、と言われたけれど、そこは日本人なので暑い日が続いたら毎日いれた)

また、生後わりとすぐから勧められたのは散歩。

「お母さんが抱っこしてもお乳の匂いがして興奮するのよ。寝ない場合は旦那さんが外に連れ出して」とよく言われた。実際、1ヶ月検診を待たずして近くの公園にはよく行っていた。日本では外にでるのは1ヶ月検診以降というのを目にしたので、これも違う点だと思う。

公園やカフェでは、赤ちゃんを連れていると分かると、すれ違いざまに柔らかな笑顔を向けてくれる人が多い。小ささに驚くのか、まじまじと見たあとにニコニコしながら「何ヶ月?」と聞いてくれる方も。

バギーを押して駅の階段前にいるとすぐに、12,13歳くらいの女の子グループが「手伝おうか?」と聞いてくれて、数人が下ろすのを手伝ってくれたことも。あまりに自然で、下ろし終わるとすっと立ち去るので、お礼を言いそびれそうになったほど。とっても助かった。

言葉、慣習や文化が違い、勝手が分からないけれども総じて子ども(と子連れ)に寛容な社会(この場合はドイツ)と、言葉は通じて生活全般におけるあれこれに苦労はないが、子どもに不寛容な(場面が多いと思われる)社会(日本)、どちらが心理的安心感は高いのかな、とよく考える。日本での子育てを経験していないので答えは出ないし、一長一短なのかもしれない。

全身で生きる新しい命のかたまり。我が子と一緒の生活はまだ始まったばかり。言葉は不慣れでままならないこともあるけれど、いい面に目を向けて日々を過ごしたい。


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