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心のすき間に見る空は。

今週のはじめ、子どもを昼寝に寝かしつけるのに苦戦して、大泣きと格闘し、なんとか寝てくれたあとくたくたになりながら台所に行ったら、虹が見えた。

あーきれいだな。久しぶりに虹をみたなぁ。。と思ったら泣いていた。

きれいなものをみて嬉しいのに、なんだか涙が溢れてしまって、心が揺らいでるなと思った。

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夕暮れ時には、虹が見えたのと同じ、台所にある西側の窓から茜色に染まる空が見えた。夕方には4℃ほどまで気温が下がり冷え込むようになってきた北ドイツ、寒いけれどなんとか体中の活力を集めて奮い立たせ、子どもを抱えて川沿いまで夕焼けを見に急いだ。

このあとは、暗く長い冬になる。冬はくもり空ばかりで、こんなにきれいな夕焼けはあまり見られなくなるかもしれないと思った。

できるだけ外に出なくてはと思っても、子連れでどこにいっても気が休まらず、お店はドイツ語で余計に気を張ってしまったりで、外出が億劫になっている。

でも、この空なら、見せてあげられる。

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去年の今頃は、妊娠が分かって「どうしよう。。」と思っていた頃だ。

今年は、4ヶ月になった息子の生活リズムをどうつけようか、寝るリズムがまだまだできていないし大泣きされるたびに心が折れそうで、また違う「どうしよう」を抱えている。

けれど、1年前の、慣れない国での妊娠と待ち受ける出産という不安と孤独に押しつぶされそうで仕方がなかった自分には、「1年後には無事にこんなにかわいい子どもがあなたの腕の中にいるよ」と言ってあげたい。

「きれいだねえ」と声をかけると、我が子はキョトンとした顔で私をみていた。目がみえるようになり、何にでも興味を示す。表情もよく変わる。

公園の街路樹の下を歩くと、不思議そうに葉の落ちた木を見上げる。

頬には少し冷たい風があたる。小さな手で私の服をつかむ。

生後4ヶ月の目に映る世界。

世界の輪郭はまだあいまいで、自分の存在すら不確かな小さないきものを抱え、暗くならないうちに家路についた。


寝付けなくて大泣きする子どもの姿も、どうしていいかわからずお手上げ状態で一緒に涙したことも、数年後には懐かしくなるのだろうか。

めぐる季節、秋の夕焼け空を見ると必ず私は、この時期に感じた気持ちを思い出すんだろうな。涙で濡れながら台所から見た虹とともに。



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