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読書はエネルギー交換だということ。

2021年12月31日。大晦日の早朝の車道は、ノンストレスだ。

3台分ほど前に先行車のテールランプが見え、バックミラーに映る後続車のヘッドランプはいつもよりも小さい。せいせいしているってこんな感じを言うのだろう。冬休みだから、通学自転車も通らない。


『7つの習慣』を2021年11月下旬から読み始めた私は、その内容にすっかり虜になり、初めて読んだ日から次のページが読みたくてたまらなくなり、こうして私の朝活読書が始まった。

いつもより30分早く起きて、動き出す。公園に隣接するスタバに行って、30分ほど読書をする。そんな生活リズムを好むようになった。絶対に毎日というわけではない、優先順位があるのでね。


そしてついに記念すべき完読日となる。しかも2021年の大晦日なんて、運命としか思えない...。


早朝ならば、大晦日といえど誰にも迷惑かからないでしょ。前日、家族も快諾してくれたから、気兼ねすることはないよね。...とは、心の中の会話です。

(そもそも気兼ねするなんて。本来ならおかしいんだけど.....)ともう一人の自分がささやきます。ともあれ、そういう時間が取れたということ、思う通りに自分のための時間を過ごせること、それが何よりも嬉しい。結果オーライ。


ハンドルを握りながら私は、このぶ厚い本を完読できる喜びでいっぱいになっていました。

この文字数を45日ほどかけてコツコツ読んできた。一冊完読した時に、私は何を感じるのだろう。どんな変化が起きるのだろう。やや興奮気味になりながらも、どこかで静観する自分がいました。どれほどそれが感慨深いものなのか、既になんとなく想像できていたから。

この日までに私は、カフェの席で誰をはばかることなく何度も涙した。え?7つの習慣って泣ける本なの?と思ったあなた、涙のわけを聞いてください。

この本には、直面している問題がそのまま羅列されていたのです。人生模様が語られています。

ちょっと考えてみて。何かに悩んでいるときに、心の奥のひだをひとつずつめくりながら相談するような機会って、持てていますか?

やっと相談できたとしても、問題の「本質」まで手が届かず、ただの愚痴で終わってしまったことはありませんか。解決策なんて程遠く、「困ったねえ」で終わってしまうような不完全燃焼を感じたことはありませんか。

それでも少しは気持ちが楽になるかもしれない。でも、生活に戻れば悩みも戻ってくる。

苦しみの中にいる人間にとって、その苦しみを減らす方法ってなんだと思う?

それは、その苦しみ自体を、ひとつひとつ丁寧にねんごろに代弁してもらえることなんだよね。

苦しみの最中には、苦しみがなんなのか、それさえわからなくなります。

その苦しみをもってして、なぜ苦しいのか、何に苦しんでいるのか。

問題の物語に誰かがいるのだとしたら、その相手の心にはどんなことが起こっているのか。特にここがわかりづらい。そして自分の中に何が起こっているのか。これも実は、わからないことが多い。

そこを含めて丁寧に丁寧に代筆(代弁)してもらうことで初めて、苦しみは苦しみとして輪郭を持ちます。そしてやっと、癒えていくのです。そのような時に人は「わかってもらえた」という気持ちと共に涙が溢れてくるのです。

つまり、人生の機微が代筆されているの。そして、解決策って、与えられるものではなく、その中から気づくものなの。

スタバに到着したのは7時過ぎ。まだ、街頭のオレンジ色が空に光っていました。

最後のページに2021.12.31と記しました。


『7つの習慣』を完読してから、本の厚さと文字数は「読めない」理由にならなくなりました。長距離を完走できると、中距離を走る時に余計な緊張がなくなる感じに似ています。この、ゆるむ感覚って、大事ですよね。

この出来事をきっかけに、2022年も朝活読書が続いています。続けようっていう意気込みではなくて、本のエネルギーに導かれているだけなのです。

それほどのエネルギーがある本に出会えているということがあるのですが、

本との出会いを繰り返せば繰り返すほど、それは人との出会いに等しく、ベストなタイミングで目の前にやってきて、偶然を装った必然であるということも、だんだんとわかってきますね。


2022年の大晦日はどんな気持ちでいるのか、もしそれを想像できたらもう、万々歳じゃないでしょうか。




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