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レッスン論

小学校3年生から通っていた生徒、昨日が最後のレッスンだった。
中学生になって、これからもレッスンを続ける予定だったけど、部活をやりたいこと、最近オーケストラにも入団し、新しい楽器を始め、その楽器のレッスンに通う必要が出てきたため、やむなくピアノは諦める、という決断に至ったそう。
残念だけれど、仕方がない。
ピアノとの出会いがあったからこそ、その子は新しい楽器に挑戦してみようと思えた。
そしてそのオーケストラは私の古巣でもあり、私の後輩になったということはとても喜ばしいことだ。
純粋に応援したいと思う。

その子の人生にとって、ピアノとの出会いは大きかったと思う。
「自信がなくて、何をやっても続かない」とお母さんがかつて言っていた。
「でも音楽が好きだから、ピアノいいんじゃないかと思って」
と、半ば無理矢理体験レッスンに連れて来られたのだが、体験レッスンを経て、彼は自ら「習う」ことを選んだ。
それが小学校3年生の時。

決して器用なタイプではないのだけれど、彼は毎日、学校に行く前に10分練習をしていると言っていた。
そしたら、うまくなった。すごくうまくなった。
やっぱりコツコツって結果出すんだな、と、私は彼から学んだ。

それと、大きかったのは、彼には「弾きたい曲」があった。
というか、「これ弾きたい!」という情熱に溢れていたわけじゃないんだけど、発表会では弾きたいものを弾きましょう、と、私が思っているので、いつも自分で選んで決めてもらってた。

ここまで書いてきたことに、大事なことが2点含まれている。
お気付きだろうか。

【大事なことその1】
習うかどうかと決めたのが『本人自身』だったこと。
よく、「ピアノっていつから習わせたらいいですか?」と言う質問を受けるけれど、私の答えはこうです。

「本人がやりたいと思った時から」

結局のところ、これに尽きるなぁ、と、やればやるほど思います。
習い事を、自分の意思で決められる発達段階に達しているか。
これはその子によるので、一概に何才とは言えません。
でも、お母さんには分かると思います。

【大事なことその2】
「弾きたい曲がある=目指すビジョンがある」

これはめちゃ大事。
子どもも大人も関係ない。
やりたいことがある、こうなりたい、がある、ということは、とても大事なこと。
私の仕事は、そこに辿り着けるようにサポートすることなんです。

まれに、コツコツが得意で、特に向かう方向は決まってないけれど、ピアノを弾くことが楽しいからコツコツさらう、という子がいるけれど、稀、まれ、マレ。


結局、小さい子どもであろうと、大人であろうと、決めるのは本人なんですよね。

ただ、「体験すること」は子どもは自分で用意できないので、その機会を、親は作ってあげればいいんだと思います。


あと、実は大事なことがもうひとつあって、
それは、

レッスンの位置付けを理解する

ことです。
レッスンてなんでしょうね。
「私はこうしたいと思っている。だけれど、私には理解するための知識や、なりたい姿になるための技術がない。やり方がわからない。」
という状態に対して、知識を教え、技術を身につけるための方法を教え、形になるように導き伴走する。
それがレッスンです。

ピアノに限ったことではないですね。

習い事ってその人の人生を豊かにするためのものです。
「とりあえずやっとく」ほど、もったいないことはない。

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