886/1096　不純な動機でかまわない

吾輩は怠け者である。
しかしこの怠け者は、毎日何かを継続できる自分になりたいと夢見てしまった。夢見てしまったからには、己の夢を叶えようと決めた。３年間・1096日の毎日投稿を自分に誓って、今日で886日。
※この毎日投稿では、まず初めに「怠け者が『毎日投稿』に挑戦する」にあたって、日々の心境の変化をレポートしています。そのあと点線の下から「本日の話題」が入っているので、レポートを読みたくないお方は、点線まで飛ばしておくんなましね。

８８６日目。思いのままをダダーッと書くことに中毒になったあと、それをパッとやめると、その後の日々はどうなるのだろう。これを知るのが実はこれを続ける隠れた目的となっている。

三年間書けた、もう三日坊主じゃなくなった、有限実行の喜びYEAR～～～～～というのが本来の目的だけれども、それへの依存やその後の禁断症状などが研究対象にもなっている。まあでも、それについての自分ひとりぶんのデータしか取れないのだけれど、そのデータはその後の自分の観点を増やす元にもなり、少なくとも個人的な遊び道具にはなると思うから。で、そのデータって、とりあえず三年間の継続で起こる依存やファイナルの達成感を放置して、しばらく経ってみないと取れないデータなのだ。この毎日は、それを仕込んでいる最中なのだとも言える。

毎日書くたびに感じる小さな達成感も好きだけれど、その毎日がそもそもただの仕込みでしかないのが面白い。パンで言えば発酵中、漬物で言えば漬け込み中。今はまだ、このままでは食べられないものと同じなのが面白い。

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今日ふと思い出した。そういえば昔わたしは、「ブログを書いて食べていくって、今世の自分には死んでもできないな。わかるもん。無理感しかないわ」と思っていたのだった…！そうだよ、本当にそのことを毎日考えていた時期があったんだったわ。

最高だねえ～そうやって食べていけたらいいよねえ～～～(ぽわわ～ん)。
(ま、無理だけど。
いいなあ、こんな気分であんな感じだろうねえ～～～(ぽわあ～ん)。
(ま、無理なんだけどね。
はぁ～うらやましいなあ、ブログが仕事って幸せやろ～～(うっとり)。
(ま、無理と悟っていますがね。

と思っていた。たった数年前のことなのに、前世のことのように懐かしい。それから、

でもわたしも書いてみちゃおうっと。
(ま、無理だよ？無理だけど。
書いた～！とりあえず書いたぜ～！
(や、これで食べていくのは無理だけどね。

という時期があり、

なんかこう、もっと自分をぶっこんで書けないと不満なんだが！！
(食える食えないとか関係なくムカついてならねえ
なんで自分はこんなに気が小さいんだろう、言いたいことも言えねえで！
(言いたいこと言って読まれなくなるならそでいいわ
書きたいように書いたるわ、自分で自分が許せねえわ。
(ここを超えて自己満足だけでも掴んだらァ！

などと偏執的に自分と戦うのをやめられなくなり、

いや本当に寝る暇ないくらい没頭してしまっているんだが！！
(お金にならんし、むしろ他の仕事を圧迫しているが目をつぶろう・・
眠い…眠い…しかし書きたいことを書ききらないと耐えられん！！
(ヤバいからあんまり沢山の人に読まれませんように…

と、もはや何のために書いているのかわからなくなり、というか書くためだけに書いていている時期があり、

それを書く途中で、異様なコメント数に驚いてチェックしたところ、恐るべきアクセスがあることを知ってぶっ飛んだ、という経緯でここまで来ている。気がつけばわたしは、ブログを通して収入を得るようになっていた。『忘れていたら、そうなっていた』のだ。引き寄せ系の話でどこにでもあるような、まさに典型的なベタな話だから物珍しくもないけれど。

この話のポイントは、わたしがお金が目当てだったのに、やり始めてみたら途中から自分の言いたいことを思い切り表せない状態について「現状を許せない」という気持ちが強く働いたということ。それはやってみて初めて感じたことだった。そして、それがブログを書く非常に強い動機になったということ。

もうひとつ例を挙げてみよう。

イタリアに渡ってきたころ、わたしは英語もイタリア語もほとんど話すことができなかった。英語がカタコトにも至らず、wouldの意味がわからなかった。イタリア語はゼロ。パスタ、ピッツァ、ルイ・ヴィトンしか知らない状態だった。

わたしは外国語をペラペラになりたいと思っていた。優雅に勉強し、夫と優雅に会話したいと思っていた。ペラペラは無理な気がするけれども、でも憧れる(ぽわわ～～ん)。

しかし当時の自分は優雅に勉強し優雅に会話するどころか、夫と言い争いになるたびに伝えたいことが伝えられなくて、どんなことも言いくるめられてしまうという問題を抱えていた。誤解をされ、本心をぶつけることができず、反論ができない状態。

このときもわたしは「現状を許せない」という状態に陥った。夫だろうがなんだろうが、侮辱は許さん。俺を幼児のように扱いやがって、このまま黙っていると思うなよ…爪が剥がれそうなほどの強い思いで、あいつを必ずこてんぱんに叩き潰してやると憤怒した。

その減らず口を黙らせてやる…この悔しさを駆逐してやる…下に見やがって、貴様を必ず論破してそのくだらんプライドをへし折ってやる…！！と、血走った目を向ける毎日。いや～マジで狂っていた。そうとわかっていたのだけれど、自分の中の獣の血が暴れて止められなくてねえ…

それからは勉強などしなかった。ただ口論に勝つためだけに特化したワードを辞書で調べ、文章にして、なめらかに言い放つ演技を日夜練習した。夫の反撃を予測し、それに対する論破をまた英文にして、それをブツブツとかまないように言えるまで特訓した。おのれあの野郎、今に見ていやがれ…！！日々の傷で募ったこの恨み、はらさでおくべきか…！！

その後その喧嘩用英語訓練は次第に自分のやめられないほど楽しい習慣となり、眠っている間以外の時間は常に辞書を手元において慣用句調べに没頭するように…そしてわたしは、少しずつ話し合いで夫を無理やり黙らせるようになった。それはそれで虚しい達成感があったのだが、わたしが初めて口論の末に心から嬉しい経験したのは、これまた不思議なことに、こちらの怒りをぶつけて話しているときではなかった。言いたいことをスラスラと伝えることができて、互いが理解しあって仲直りをしたときだったのだ。

「あなたがそう言うならわたしにも言い分があります」「それは単なる誤解です」「ここからはわたしの話す番です」…夢中で学んだのはひたすらに口論用のワードばかりだったはずなのに、自分が身につけたのは話し合いをするのに必要なセンテンスばかりだった。そう、忘れていたけれどもわたしは、夫と優雅に会話がしたかったのだ。それが、忘れていたら叶っていた。

💫

よく「負のパワーでなにかをするのは良くない」とか「お金を目当てになにかを始めてはならない」「不純な動機でやることは失敗する」と言いますが、わたしはそれらをぜんぶ、クソくらえだと思います。

現状を許せない。頭にきたからギャフンと言わせてやりたい。この世界でお金を稼いでみたい…現状を保つ自分自身を駆逐してやりたいという思いは、大変強いエネルギーなのです。

自分をも焦がすかも知れないけれども、それはわたしたちの中に眠っているガソリンに火をつけてくれる。現状否定はときに、あなたの立つ大地に穴を開け、そこに油田を発見してくれます。そこから吹き上がった油に怒りで火をつけたっていいじゃないか！そしてその熱を、自分がやる気や力を発揮する起爆剤にすればいい。

現状に甘んじて指をくわえたまま愚痴ってばかりいるよりも、勝負やお金儲けが目当てだろうと、思いっきり動いてみるほうがいいと思うのです。それが意外や意外、面白い結果につながっていたりするものですね！

いい人になったり、美しくあろうとばかりしなくていいと思うんです。
わたしが当時、「お金なんか目当てにしちゃいけないわっ！もっと純粋な愛で、貢献で、自分の喜びに従って動かなくっちゃ！」とか「殺意で英語を学んだって、そんなのダメよ！言語は楽しく学ぶもの。コミュニケーションの真髄は愛だもの！❤」とかなんとか綺麗事を言っていたら、ブログも書かなかっただろうし英語にもトライしなかったと思うのです。それに、当時のわたしがそんなこと言っていたら、心にもない嘘だもの。

当時自分が、ブログで稼ぐのいいなあ～～！！とかあんの野郎許せねえ！！とかいうことに、まっすぐに従ったことを良かったと思っています。このこのロクでもない、愛すべき地球上で知的生命体をやっている俺たち地球人、そんな綺麗になどできていませんよね。そんなふわふわ綿毛とかキラキラ蝶々みたいになろうったって、それ、一生かかっても達成できんでしょう。

もっと普通に、日々のルーティンをこなしながら、普通に生活しながら、そこからたいして崇高でもない欲望でいいから、そのままで取り掛かってみちゃうのがいいと思います。綺麗事に変換しようとばかりしていると、やりたいことが思いつかなくなっちゃいます。

欲が湧いたらその欲を、怒りが湧いたらその怒りを、消そうとして戦わず、うまいことガソリンに使おうとしてみてね。醜くなんかないさ！！たとえば芸人さんが、人を笑わせる動機が、笑いが世界を救うから、だと思っていなくていい。人を笑わせられるってカッコいい！モテたい！たくさん稼いでみたい！という動機でお笑いの世界に入るのっていいと思うんです。

というわけで今日は、通常わたしたちが良くない動機として見なす感覚も、わたしたちの大きなパワーになりますね！という観点についてのシェアでございました。どなたかと響き合えますように。

それではまた、明日ね！

壇珠