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写真は加工したら写真じゃ無くなるのか?についての加工有り派からの答え

カメラ初心者の方々の疑問として、写真は加工したら写真じゃなくなるのか。撮りっぱなしで上手く仕上がってないと写真が上手いとは言えないのかというのがあるそうです。最近ちらほら聞きます。そこで、僕自身の見解を、過去の写真家の例を引き合いに出しながら述べてみたいと思います。最初に言っておくと、僕は加工有り派なので、加工有り派のポジショントークとしてお聞きください。

さて、僕が影響を受けた写真家にアンリ・カルティエ=ブレッソンがいます。20世紀最大の写真家とか、写真表現を芸術の域に高めた功労者とか言われる最も有名な写真家のひとりです。彼のインタビューを読むと「本当はプリンターになりたかったけど、才能がなかったので写真家になった」というくだりがあります。プリンターとはフィルムを現像して印画紙にプリントする技術者です。当時の写真家は信頼の置けるプリンターと組んで作品を仕上げるというスタイルが普通だったそうです。

ブレッソンは2004年に95才で亡くなっています。生前のブレッソンがプリンターに指示を出している映像を見たことがあります。仕上がったテストプリントを見て、「もうちょっとこの部分のコントラストを強く、そこはぼかし気味で」その指示を聞いてプリンターはまた暗室に戻って作業します。つまりプリンターは印画紙に落とす光の量を変えて、時には部分的に手で覆って光をおさえたりして、暗室で加工しているんです。ブレッソンはその加工の才能がなかったとインタビューで答えていたわけです。写真は昔から暗室(dark room)で加工されていました。その作業はいまアプリ上で明るい部屋でできます。adobeのLlightroom(明るい部屋)は、そういう背景があってのネーミングなんですよね。

さて、「レタッチくらいの調整ならわかるけど、CG並みに加工したらさすがに写真とは言えませんよね」そんな疑問もあると思います。
写真は、『真実を写すから写真』。。これは本当でしょうか?次回は写真という言葉のなりたちからこの問題を考えてみます。

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