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マスク社会に思う「子どもとのコミュニケーション」のありかたについて。

こんにちは。インスタグラムで働くママの日常を発信しているミチテル(@michiteru_)です。

今回はタイトルにある通り、マスク社会がもたらすコミュニケーション能力への影響について書いていきたいと思います。

2020年といえば、コロナウイルスが世界中を大混乱に導き、今までの常識が大きく変わった年。

その中で世界中で定番となったのが「マスク」

一時は価格も高騰し、医療現場でもなかなか手に入らない事態が。(以前勤めていた職場では、「この枚数で自己管理して」と手渡された枚数のマスクで一定期間をやり過ごしました…)

感染予防のために必要なマスク。今はどこへ行くときにも、子どもも大人も必ずするようになりました。お店の入り口でも「マスク着用をお願いします」は、どこでも書かれていると思います。

マスクがコミュニケーションに与える影響とは?

「顔が見えないからこわい感じがする」「なにを考えてるのか分からない」など、なんとなく"マスクをしていること"によって感じていることは、それぞれあるかと思います。
今のように「マスクが常識」になってからの状況下で、「マスクがコミュニケーション能力の育成に与える影響」については研究や論文もないため、「こうである」といいきる内容は書けないのですが、

言語発達、広くはコミュニケーション能力の発達過程において、「マスクで隠れている部分」が与える影響は大きいため、少なからず「少し心にとどめておいたほうがいい」ことはあると思い、今回の執筆に至りました。

【注意】
・上記にもある通り、「マスクが日常化してからの幼少期(特に乳幼児)において、コミュニケーション能力の発達に与える影響」については、研究論文等もないため、断定した内容ではないことはご了承ください。
(いち視点として参考にしていただければと思います。)

子どものコミュニケーション能力の発達

子どもはことばでのコミュニケーションができるようになる前に、表情、視線、目の動き、音声、身振りなどでやりとりを行い、コミュニケーション能力を育てていきます。

乳児は誕生時から、人間の顔、音声、スピーチへの関心を示し、生後数分で、いろいろな顔のしぐさや音を模倣します。(中略)誕生直後の乳児でも人間の言語音と他の音、さらには母親の声を区別して反応できるといわれています。視覚的にも人の顔を長い時間凝視します。人は生まれながらにして人に反応する能力をもっています。(「乳幼児期のことばの発達とその遅れ」より引用)

なにかを伝える(表現する)ためには、まず「受け取るちから」が重要になります。それは、「見る」「聞く」「触れる」など感覚器官を通してはぐくまれます。

そして模倣(真似)はことばの発達とも関係があります

模倣は自己・他者の理解、コミュニケーションの成立、さらにはことばを含めた種々の技能の獲得で非常に重要な役割を担っているといえます。(「乳幼児期のことばの発達とその遅れ」より引用)

真似をする、というその行動には、相手の行動を見て、自分の行動と結びつけるチカラの発達や、自分と相手についての対人的理解の発達が必要です。

小難しい話ですが、ざっくり言うと、真似するということには、自分と相手を理解する、ということが必要なんです。

そして、他者の行動をみたり、模倣したりする際に発火する(活動する)ミラーニューロンが注目されています。

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ミラーニューロンとは…自分で行動するときと、他の個体が行動するのを見ているときの、両方で活動する神経細胞。誰かがしていることを見て、自分のことのように感じる共感能力を司(つかさど)っていると考えられている。

このミラーニューロン、発語に必要な運動(口や舌の動き)をコントロールする脳の場所でも活動がみられたそうです。模倣・コミュニケーション・ことばの関係は、脳の活動からみても関連が裏付けされています。

説明が長くなりました。

要約すると、ことばの発達には、

・広い意味での「コミュニケーション能力(表情、身振りなど)」の発達が必要。

・模倣(真似)する能力は、ことばやことば以外のコミュニケーション能力の発達に必要。

・真似するためには、まず「見る」ことが大事。見える情報がないと真似できない。

ということになります。

マスクで隠れている部分の重要性

人は目、鼻、口、その他の表情筋の動きで、感情を表すことができます。

そして、その時の大人のことばと表情を結びつけることで

「この人は今喜んでいる」「あ、今怒ってる」と、【相手の気持ちを理解】でき、その体験の積み重ねでコミュニケーション能力を育てていきます。

さらに、話す口の動きをみて、ことばそのものを理解し、

自分で真似することで表出(話す)能力の向上につながります。

特に生後半年~1歳前の赤ちゃんは、大人の口元に目線が行きやすく、ことばの発達と関係があるといわれています。

マスクは鼻~顎を覆(おお)います。人の顔の半分、またはそれ以上。そのことによって、

・表情が分かりにくい(感情が理解しにくい)

・口の動きが見えない

といった問題が生まれます。コミュニケーションの土台を育てていくためには、「マスクに隠れている部分」がとても重要といえるのです。

大人同士の会話でも、目だけだといまいち気持ちが伝わらないこと、ありすよね。

コロナとマスク、どう付き合う?

新型コロナのワクチンが開発され、国負担で接種が開始するとかしないとか。コロナと付き合う流れは今後も続くのは、誰もが思っていることだと思います。

そして、これらの対策がなされたところで、マスク完全オフ!のような世界になることは、きっとすぐにはあり得ない。

ウィズコロナはウィズマスク

そんな中で、どう付き合っていくか、は、大きな課題になると思います。

・外や人混みではない場所で子どもとコミュニケーションをとるときには、(もちろん風邪をふくめた感染症状がみられないときには)なるべくマスクを外して行う。

・マスクをつけながらコミュニケーションをとるときには、表情変化が伝わるよう、見えている部分(目、眉など)の動きを大きく行う。また、声色やトーンも、感情を表現できるよう意識する。

など、まぁ、マスクを付けていても付けていなくても、コミュニケーションをとることそのものへ意識を向けることが、ことばの発達には大切だと思っています。

もちろん乳幼児だけでなく、就学後など大きくなってきたお子さんにも大切な対応です^ ^

時代の変化を味方につける

2020年、コロナウイルスによる大きな変化から、暮らしや働き方を見直した方も少なくないと思います。

この「コミュニケーション」についてもそのひとつ。

マスクが日常化しなかったら、私もこのnoteは書かなかったかもしれません。
今の状況があるから、改めて「子どもとのコミュニケーション」について向き合うことができました。

久しぶりに参考書引っ張り出して、知識の再確認にも。

時代は変わりました。

今回は「ことばの発達」のコアな部分にも触れましたが、そもそもママたちが外に出る機会が減ったり、イベントが中止したりなど、「コミュニケーションの機会」そのものが減っていると思います。

近くの支援センターも、完全予約制になったとか…

感染対策とコミュニケーション。
マスクとも上手に付き合っていかなきゃ、ですね。

今ある「日常」の中で、お子さんとのコミュニケーションについて考えるひとつのきっかけになれば幸いです。

【参考文献】

ことばの発達とその遅れ 著:小椋たみ子/小山正/水野久美

最後までご覧いただきありがとうございました!

よければあわせてご覧ください。

吃音note▶「言語聴覚士の娘が吃音になった話。」
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