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猫に会いに、田代島へ行こう。(日帰り)


受験を挟んで久々の投稿です。これから再び、いいねが10ついたら御の字の、ほぼ虚空に向かって記事をあげ続けます。こんなインターネットという巨大重箱の隅まできてこの記事を読んでくださる方、本当にありがとうございます。

プロローグ


。キャット。ぬっこ。ネコちゃん。起源を辿ると荒涼とした砂漠に住むリビアヤマネコに行きつくが、そこからは想像できないほどに愛くるしい動く毛玉である。この地球で最もふてぶてしい、人間の上位存在だ。普段道を歩いてきて見かけるとつい嬉しくなってしまう野良猫だが、そんな猫がたくさん住み着いている島が宮城県にあるという噂を聞いた。その島ー田代島は、宮城県石巻市に位置し、仙台湾の外郭をなす小さな島であるが、僕のような旅行好きや猫好きの界隈ではかなりの知名度を誇る。ムスリムにとってのメッカ、tiktokerにとっての宮下パークと同じように、猫好きにとっての田代島なのだ。

この記事は、東京から日帰りで田代島に行った、ひと夏の記録である。

石巻と出航

 東京から夜行バスで仙台に着き、朝飯などを食べて石巻に着いたのは10時過ぎであった。東京駅から7時半の新幹線で石巻まで来たとしても同じ時間になるため、「夜行バスなんて乗りたくないわ」という代官山のマダムたちも安心して日帰りで田代島の猫に会いに来れる。

石巻駅

 駅から石巻の中心街を13分ほど歩くと「網地島ライン」の石巻中央発着場に着く。旧観慶丸商店といった観光名所もあり道中も退屈しない。

旧観慶丸商店

 土産物屋に地元の海産物を使った料理を提供するレストランなどが併設された「いしのまき元気いちば」が近くにあり、十分時間を潰せる。海鮮丼と牡蠣グラタン、あら汁を食べた。¥800とは思えない量と美味しさだ。

 川沿いを歩いてフェリーターミナルに移動したら、券売機で田代島までの往復切符を買う。往復の料金は2500円

時刻表

 僕は12:30発の便に乗った。田代島滞在時間は1時間と少し。短いと感じるかもしれないが、十分とは言えないが小さな島なので一時間で大方見て回れて満足した。仙台に前泊して9:00の便に乗る手もあるが5時間弱の時間を田代島で過ごすことになるためおそらく3時間ほど暇ができる。お気に入りの小説でも持っていくか、時刻が合えば網地島に行ってみるなどをお勧めする。

船と切符

 切符を見せて船に乗り込む。足が大地を離れ、船のタラップに着く時、船の揺れが身体に伝わる、この瞬間が好きだ。
 田代島および網地島行きフェリー、「網地島ライン」は昔は駅から2kmほど離れた発着所と島を行き来していたが、最近になって市街を流れる旧北上川を遡った場所に発着所が新設され、駅から歩いてアクセスできるようになった。

船内の様子

 定刻通り、船は石巻の土地を離れた。田代島・二斗田港までは45分の船旅だ。どうやら甲板はないようなので、席について休む。旧北上川をくだり仙台湾に出る頃合いで少し揺れたが、すぐに揺れは小さくなった。
 道中は、左に深緑色の牡鹿半島が、複雑な海岸線を持って続いている。海から見るすと青と深緑のコントラストがどうにも美しい。「晩夏」という雰囲気が似合う。訪問したのは普通に七月なのだが内緒だ。

到着

仁斗田港
仁斗田港

 船はほぼ定刻に田代島・仁斗田港に接岸した。揺れる桟橋に降りる。本土とは数キロしか離れていないのに、やはり小さな島には特有の、生活圏が港や砂浜まで迫っているような雰囲気がある。
 さて、時間がないので急いで観光していこう。無機質なコンクリートの港を横切って、田代島開発総合センターという名前の建物の横を通るとそこが田代島の市街地である。しかし、市街と呼べるようなものはそこにはなく、2015年の時点で人口82人の限界集落があるだけで、少し歩いただけで空き家が目立つ。田代島の将来は全く明るく見えないし、そこかしこに廃墟があって閑散としている。でも、すれ違った現地の人はどこか幸せそうだし、観光客にもたくさんの笑顔が浮かんでいる。どうして?

……だって、猫がいるから!!

CUTE
CUTE
DOUBLE CUTE

 これらの写真は田代島・仁斗田の街を抜けて猫が屯しているという「猫のえき」に向かう道中の写真だ。途中親切な商店のおばあちゃんに道を教えてもらった。「猫のえき」は島中央部に位置しているため、林の中の道を歩いていくことになるが、その日陰でたくさんの猫が暑さにぐったりしていた。

猫のえきと猫神社

 猫のえきは、島の真ん中あたりにある、猫の集まる小さな喫茶店だ。猫の集まる小さな喫茶店、なんと良い響きの文だろうか。一つの映画や小説が作れそうなストーリーが湧いてくる。2024年現在、一応営業してるっぽいが、営業時間は不明だ。何の参考にもならない旅行記をどうか許してほしい。もちろん猫たちは年中無休のようで、本来ニンゲンが座るはずのベンチにまるで王様の様に横たわっている。

猫のえき

 どうして田代島で猫がこんなに大切にされているのだろうか。むかし田代島では繭を生産していて、そんな繭を荒らすネズミをやっつけるために猫が飼われていた。更に、好漁場にある田代島では漁業が盛んで、猫の様子を見てその日の漁の具合を占う風習があったのだ。そんなこんなで、猫と一心同体の暮らしが営まれて幾年が経っただろうか、田代島では猫を神様として祀る猫神社まで作られてしまった。猫好きここに極まれりだ。そんな猫神社は猫のえきから少し進んだところにある。この猫のえき、そして猫神社を巡って帰るだけなら1時間と少しで済むため、ちょうど船の時間に間に合う。(もちろん他にも田代島には魅力的な観光スポットがたくさんある。宿泊もできるそうなので猫といっぱい触れ合いたいという方には強くおすすめできる。)

猫神社

猫以外にも

 田代島の魅力は猫だけではない。コバルトブルーの海、温暖な気候ながら海風で過ごしやすい環境。そして何より美味しい海鮮。観光地化されていない、ありのままの雰囲気。太平洋のごくごく小さな島でまったりとした時間を過ごせる島だった。そんな田代島で撮った写真をいくつか。

仁斗田港
仁斗田港
島の裏手 津波で被害を受けたが復興が進んだ
太平洋
街並み
仁斗田港 奥に見えるのは島の食堂

 さて、猫神社を巡ったあとは港に戻ってきて、船にのり石巻に帰った。このまま仙台に行っても18時前、東京民なら余裕で日帰りできる。なんなら帰る途中で松島なんかに寄ったり、牛タンやずんだシェイクを頂くのはどうだろうか。
この記事を読んだら、来年の予定は決まりだ。猫と自然の溢れる小さな島、田代島に行こう!

最後に

 猫様を撮影するときは猫様にじゅうぶん気を遣って、たとえばシャッター音で驚かさない、嫌がってる猫を触りに行かないなど注意を心がけた。皆さんもこの記事を見て島にいくときは、猫の神様に怒られないようにしよう

 本記事に使用した写真は注釈のない限り著者自身が撮影したものであり、一切の無断使用・転載を禁止します。

参考
石巻市ホームページ

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