キャリアに不安を感じて資格取得を検討する前に考えたほうがよいこと
私はこれまで3回の転職を経験しました。いま4回目の転職活動中です。私は特定分野のスペシャリストではないので、転職を考えるたびに専門職であったり資格があったりすれば有利なのだろうかと考えます。
もともと勉強したり新しいことを学ぶことは好きなので、いくつかの資格を取得していますが基本的に仕事を有利に進めることを目的とはしていません。公的な資格や業務独占資格を除き、資格はあくまでも自分が何かについて勉強するための一つのツールです。
横行する資格ビジネス・協会ビジネス
現代は不安定な時代などと言われてキャリアに自信がない人が多く、不安を抱える人ほど「資格」という名の安心材料を得ようとしがちです。ただ資格ビジネスや協会ビジネスは一つのビジネスモデルになっており、極端な言い方をすれば資格そのものにはあまり意味がないものも多数存在します。
協会ビジネスとは、いわばコンテンツのフランチャイズビジネス。何かの考え方やノウハウを体系立てて講座化し、初級・中級・上級などの講座を修了すると講座認定資格を付与し、一定以上の資格保持者には同じコンテンツを展開する権利を与えるというようなビジネスです。
何かを学びたい、深く知りたいという理由で講座を受講したり勉強したりするのはよいのですが、「とりあえず何か資格が欲しい」という理由で手っ取り早く講座を受講して資格を取得するようなことはお勧めしません。
特に「○○カウンセラー」や「△△アドバイザー」といった資格はその響きから副業になりそうだという認識を持つ人が少なくありませんが、実際はちょっと勉強をして資格をとったくらいで収入を得るための仕事につながることは非常に稀です。
資格取得は全体像を把握するために利用する
私はこれまでいくつかの資格を取得してきました。有名なところでいくと、秘書技能検定(準1級)や産業カウンセラー資格、国家資格になる前のキャリアコンサルタントの資格試験にも合格しています。ただ私がこれらの資格を取得したのは秘書になりたい、カウンセラーになりたい、キャリアコンサルタントになりたい、という気持ちがあったからではありません。
秘書技能検定は一般的なビジネスマナー全般を知りたいと思ったのがきっかけですし、産業カウンセラーはもともと興味のあった心理学とメンタルヘルスについて深く知りたいと思ったため。キャリアコンサルタントは産業カウンセラーの勉強をするうちに、働くための基本的な制度や知識を知っておきたいと思ったことがきっかけです。
具体的に何か知りたいことがある場合はインターネットで調べたり関連書籍を読んだりすればよいのですが、全体を網羅しようとするとなかなか大変です。一方、資格取得の場合はすでにテキストや参考書が用意されており、全体像やポイントがわかりやすくまとまっている場合が多いので非常に重宝します。
資格をとることを目的にするのではなく、基本的な知識を習得するための入り口として資格試験の勉強をするとスムーズです。
大切なのは資格よりも自分の意志と目的
私が取得してきた資格のなかには、いわゆる協会ビジネスが発行している資格も複数あります。それらは私のなかで一通り学んだことの証でしかありません。
資格とは本来、ある行為を行うために必要な条件を指しますが、民間の団体や任意の講座が発行する資格は特定のコミュニティにおける帰属意識の証明を兼ねていることが多いように思います。受講生仲間、同じ勉強をした仲間というつながりを証明しているともいえます。
その仕組みに乗るのは悪いことではありません。実際、有益な知識や情報を教えてくれる講座はたくさんあります。忘れてはいけないのは「資格をとったからどうにかなる」という考えは根本的に違うということです。
なんのために資格をとるのか。そのうえで何がしたいのか。資格取得を目標にするのではなく、資格取得を手段としてその先の何を目指すのかを考えることが先決です。
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