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言葉の呪縛

右脳人間
左脳人間

昔は自分の伝えたいことにぴったりくる言葉を探していた。
パズルみたいに。

ボキャブラリーを駆使して、これだ、というピースを探すのが好きだった。
パズルのピースがはまる感じが心地よかった。


40歳をすぎて、英語という外国語を話しはじめたら
パズルのピースが見つからない。


毎回、思いつかなかった単語を調べる。
パズルはなかなかうまくいかない。

もどかしい、もどかしい。



あるとき気づく。


キリがない。

40年以上かけて培った日本語のように、英語のピースがふえることはない。


頭の中で単語を探しまわるのをあきらめた。



しかたない。
つたなくても、カッコ悪くても、その場で精一杯の表現をしてみる。



あれ?
伝わってるぞ。


言葉の呪縛に気づいた瞬間。


本当のことを伝えるのは言葉そのものじゃない。

そこに乗せる気持ち、エネルギーが『私』を伝えるんだ。



なんだ、そんなことだったのか。


なんてこった。

心を伝えるという本来の目的を置き去りにして、ただ言葉を弄んでいたんだ私。

パズルに夢中で、相手にとってわかりやすいかどうかはどうでもよかった。


言葉のパズル。
自己完結した表現。
もはやそれはコミュニケーションとは呼べない。



なんだ、そんなことだったのか。

おしゃべりするってこんなにシンプルで、美しいことだったんだ。




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