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古民家シェアハウス暮らしの面倒さがもたらす、味わい深い日常。

5年間つづいた北鎌倉の古民家シェアハウス“いえいえ“がおわりをむかえた。

幸せとは作るものでなく気づくものである。といろんな本や人がゆっている。

いえいえのおわりが近づくにつれて、ここで過ごした日々は幸せだったなぁとしみじみ思う。

暮らしはじめてからはや2年。

宮崎から鎌倉に移住してきた時には浮き足だっていた僕もここでの暮らしが僕の日常になっていた。

どこか懐かしさを感じるこの路が好きだった。

振りかえってみるといえいえの暮らしには、味わい深い日常のケとご縁ある人が集うハレの場があった。

しかし、古民家シェアハウスの暮らしは非常にめんどくさい事もおおい。

機密性はひくく、冬は極寒で外と気温がかわらず、家でもダウンをきている。夏は暑く、湿気で布団などはカビる。庭には草達が生い茂り虫の大きさや量はジブリのナウシカの世界観そのもの。(これはだいぶ誇張した)

防音性はひくく、住人や子供たちの声や気配を常にかんじる。暮らしや住みやすさを維持するために家のケアや対話などは欠かせない。

夏のいえいえの庭

便利とはかけ離れた生活で、非常にめんどくさいことも多い。

都内で1LDKを借りて1人ですんでいれば、こんな煩わしさはなく快適に過ごせるのだろう。

しかし、この2年を振り返って今てふと気づく。

極寒の冬にみんなで服を着こんで、掘りコタツにうずくまり温かい鍋を囲む時間。

食べ終わった大量の食器を分担して片付けながら話す時間。

ふとした瞬間に子供たちの成長を感じる時間。

住人と喧嘩した後に対話し、仲直りした後に飲むお茶とみかんがもたらすほっこりとした時間。

住人とご縁ある人たちとお酒片手に七輪焼きしながら団欒する時間。

酒粕鍋うまかった。

めんどくさを排除していたら、そんな思い出やご縁と出会ってなかったかもしれないと。

面倒だと思ってた日々が、味わい深い日常であったことに気がついた。

生きてると楽しい事だけじゃなくて苦しい事、やりたい事だけじゃなく面倒な事もたくさんあるが、そのどちらもが織り合わさって人生を紡いでいるのではないかと。

面倒くささや手間にも人生の彩りを豊かにするエッセンスがあるのだと感じた。

いろんな気づきや学び、尊い体験をさせてくれた鎌倉やいえいえでの暮らし、それを支えてくれた町塚夫妻や住人達、ご縁を持たせてもらった人たちに心から感謝したい。

良きご縁に恵まれた本当に幸せな暮らしでした。

2年間本当にお世話になりました。ありがとう。さよなら。いえいえ。

2022.02.28 稲葉 通全



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