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中国のゲーム業界の新しい規定(草案)の影響分析

昨日(2023年12月22日)、中国の管理機構はゲーム業界への新しい管理規定(草案)を発表し、フィードバックを求めてる。
その結果、昨日は中国のほとんどのゲーム会社の株価が急落、一番落ちたのはNetEaseさん、25%の大幅ダウン。

ここでは、この草案は中国のゲーム業界の今後にはどう影響するのか、個人目線で分析する。
分析する前に言っておくが、株式市場の反応は非常に悲観的だけど、個人的に今回の草案はそんなに悪いことではないと思う、寧ろ、長期的な視点だと、miHoYoのような優良な会社には良いニュースかもしれない。

話の前提

  • 今はまだ草案なので撤回や修正などの可能性が存在する。

  • 中国の管理規定なので、理論上は海外サーバには適用しない。なので、「雀魂」「あんスタ」など、中国製のゲームだけど海外でしか運営してない場合、多分この規定には影響されない。ただ、miHoYoなどの中国も含むグローバルで展開するケースは、確実に影響されるはず、海外のユーザでも。

条文の抜粋と解説

中国語の原文はここで参照できる。
原文はかなり長い(合計64条)ので、ここでは重要な部分をピックアップして紹介する。

第17条 強制的なPVPが禁止

中国では、強制的なPVPを利用し、ユーザに課金を誘導するようなゲーム会社がいくつか存在してる。一番有名なのは巨人さん。この条文はそういう会社を制限しようとしてる。
個人的に、PVPが楽しいけど、強制的なPVPになると恨みや憎悪しか生まれないから禁止するのが正解だと思う。

第18条 デイリー・ログインボーナス、初回課金ボーナス、累計課金ボーナスが禁止

第18条は今回の草案の焦点になってる。ゲーム業界への影響が半端ない。

①デイリーやログインボーナスはソシャゲの定番。今後はデイリーやログインボーナスがなくなるかもしれない。
「ソシャゲのデイリーが辛い」という方には朗報だね。
これで、ゲーム会社はアクティブユーザを維持するために、デイリー・ログインボーナスではなく、面白い内容を提供しないといけない。ゲームの開発コストが上がるが、その代わり、優良なコンテンツが増えるはず。

②「初回2倍」や累計課金ボーナスみたいな課金誘導がなくなるかもしれない。まぁ、なくなっても売上にはそんなに影響しないはず?

第18条 ゲームアイテムの高額転売が禁止

ゲームアイテムの取引で稼いてるゲーム会社が結構多い、特にMMORPG界隈。
NetEaseさんの25%ダウンは主にこの条文のせい。
個人的に、ゲームアイテムの転売はユーザにとっては損してるだけだと思う。

第18条 課金の上限を設定し、利用規約にその金額を公開しないといけない

海外勢には知らないかもしれないが、中国では、1%の廃課金者だけを狙ってるゲーム会社が非常に多い。その結果、ゴミゲーが量産されてる。
この条文によって、廃課金者しか楽しめないゲームが潰されるはず。その代わり、誰でも楽しめるコンテンツの開発に力を入れるしかない。
で、グローバル展開の会社の場合、海外サーバにはこういう上限を設定しなくて良いから海外での売り上げには影響しないはず。中国サーバの一部の廃課金者からの売上が減るから、全体的に売上が若干減るかも。

第21条 テストのユーザ数は2万以下。テストデータは必ず削除。テストでは課金や広告などが禁止

中国のゲーム業界では、最終テストで課金を開放し、ユーザの課金意欲を確認するのが定番であるが、今後はこういうことが出来なくなってる。
運営チームの仕事が難しくなる、本番リリースまでに売上を推測できない。そして、最大2万人だから、今後は人気ゲームのテスト資格を獲得するのが至難の業。ゼンゼロのテストに当たるとかもう無理ゲーかもw

第27条 ガチャを提供する時、アイテム交換やゲーム内通貨で購入するなど、ガチャ以外の手段で同じ性能の内容を入手できるようにしないといけない

要するに、「ガチャでしか入手できない」ことが禁止されてる
ガチャシステムに依存する会社にとっては一番影響の大きい条文。特に二次元(アニメ調)ゲーム業界。
まぁ、星玉や原石などで天井に相当するの額で購入できるようにすれば一応回避できる?条文の解釈次第だね。
どれだけ売上に影響するのか、今のところは分からないね。

第29条 ゲームの配信では高額なスパチャが禁止

中国では、人気なゲーム配信者は年間で数十億円相当の収入を稼げる。
配信で人気を稼ごうとしてるゲームも結構存在してる。特にe-Sports系。LoLとかValorantとか。
高額なスパチャが禁止になったら、配信者の収入が減るし、こういうゲームの運営がしづらくなる?特にテンセントさん?

第51条 海外進出、そして中国文化をアピールできるゲームを応援

中国人にとっては、海外で中国文化をアピールできるかどうかが非常に重要、ゲーム自身の面白さよりも重要かも。
例えば、miHoYoはこの領域では優等生なので国から助成金なども貰ってる。それでも、何回も何回も中国文化をちゃんとアピールできてないみたいな理由で炎上した(特に原神くん)。
なので、たまに、中国製のゲームの公式さんから中国文化関連の動画やイラストを公開するが、海外のみんなさん、そのゲームが好きならそれらの動画やイラストを目を通してください。課金よりも大きな支援になれるかもしれない。

以上。

最後

全体的に見ると、この規定は実力のない会社、やらしい手段で金を取ろうとしてる会社にはダメージがえぐい。
その結果、ゲーム業界のリソースは良いコンテンツを作る方向に集中すると、草案の作成者はこう考えてるはず。
まぁ、ゲームで稼ぐのが難しくなるからそもそもリソースが減るんじゃないの?みたいな意見もあるけど。
どっちだろうねw

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