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【アイルランド珠玉の歌】シリーズ1.1

※「コピュラ文」に1,500字以上加筆しました

はじめに

 アイルランド語は、言葉そのものが、それだけでごちそうのようなところがあります。ぼくが一番すきなのは、ある人に言われた「どういたしまして」に当たる表現です。その言葉を聞いた瞬間、心がとろけるようになりました。いまだにその場面を昨日のことのように思い出せます。

 ぼくが使うアイルランド語の表現を仮に相手が知らなかったとしても、アイルランド人はそれを喜び、あ、それ、いい言い方だね、と楽しむところがあり、本当に言葉がごちそうなんだなと思います。

 日本語や英語の場合、大辞典にしかないような表現はどんどん消えて行きますが、アイルランド人の頭の中には恐ろしいくらい膨大な言葉の宝庫が生きた状態でつまっています。

 その宝庫の中でも最たるものが詩歌です。アイルランド人の頭の中にはどれくらいの歌がつまっているのでしょうか。

 このシリーズでは毎回ひとつの歌を取上げ、1連ずつ読み解いてゆきます。詩に登場する人物などの歴史的文化的背景にも触れます。

Note 版の特典

 このシリーズは完結後に電子書籍化を予定しています。Note 版と電子書籍との違いは三つあります。

・価格が少し安い
・質問ができる
・書籍には入れられない関連する画像や動画つき

'Óró 'Sé do Bheatha 'Bhaile!'

 この歌はアイルランド人なら誰でも知っている歌です。この歌が唄えるようになるのは素晴らしい体験です。なぜだか分かりませんが、気分が高揚し、周りにいる人と肩を組みたくなります。

 実際に耳を傾けてみましょう。3人の歌い手を紹介します。ぜんぶ聴く必要はありません。お好みのスタイルのでお聞きください。

1. シネード・オコナー……ロック
2. ポール・ブレーディ……トラディショナル寄りのポップ
3. ダラハ・オコイン……オーセンティックなシャン・ノース

1. シネード・オコナー

2. ポール・ブレーディ(さわりだけ)

このアニメーションは素晴らしいので、フルに見るには Vimeo でどうぞ。

3. ダラハ・オコイン

***

歌の起源
タイトル
コピュラ文
 コピュラとは
 「AはBである(A=B)」の表現で「である(=)」を示す語
 A=B で = がコピュラ。アイルランド語では「=AB」という。
 'sé do bheatha

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