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[英詩]Seamus Heaney, 'Planting the Alder'

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

ノーベル文学賞詩人、アイルランドのシェーマス・ヒーニの詩集 'District and Circle' (2006) に収められた 'Planting the Alder'「ハンノキを植える」を読みます。

前回に読んだ詩に出てきた Moyola(北アイルランド)の川べりにたくさんハンノキが生えています。

植物学者が書くようにではなく、詩人が抒情詩としてハンノキを書けばどのような詩が生まれるのでしょうか。

『木を植えた人』という本を読まれた方もいらっしゃると思います。木を植えるにはそれぞれの理由があります。なぜ、ハンノキを植えなければならないのか。詩人はそのあふれんばかりの理由を、散文なら本一冊かかるところを、詩ならではの14行で述べます。そのみごとな凝縮のわざをご覧ください。

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(201703)」へどうぞ。

この定期購読マガジンは月に本配信を3回配信します。そのほかに副配信を随時配信することがあります。本配信はだいたい〈英詩の基礎知識〉〈英語で書かれた詩〉〈歌われる英詩〉の三つで構成します。2016年11月から主要な内容をボブ・ディランとシェーマス・ヒーニでやっています。英語で書く詩人として最新のノーベル文学賞詩人たちです。

英語で書かれた詩のバックナンバーはこちらをご覧ください。

目次
原詩
日本語訳
構文
韻律
解釈



原詩

Planting the Alder
Seamus Heaney

For the bark, dulled argent, roundly wrapped
And pigeon-collared.

For the splitter-splatter, guttering
Rain-flirt leaves.

For the snub and clot of the first green cones,
Smelted emerald, chlorophyll.

For the scut and scat of cones in winter,
So rattle-skinned, so fossil-brittle.

For the alder-wood, flame-red when torn
Branch from branch.

But mostly for the swinging locks
Of yellow catkins,

Plant it, plant it,
Streel-head in the rain.



日本語訳

ハンノキを植える
シェーマス・ヒーニ

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