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[英詩]Bob Dylan, 'Sugar Baby'

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

今回は、ボブ・ディランの 'Sugar Baby' を取上げます。2001年のアルバム 'Love and Theft' の歌です。

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(201704)」へどうぞ。

この定期購読マガジンは月に本配信を3回配信します。そのほかに副配信を随時配信することがあります。本配信はだいたい〈英詩の基礎知識〉〈英語で書かれた詩〉〈歌われる英詩〉の三つで構成します。2016年11月から主要な内容をボブ・ディランとシェーマス・ヒーニでやっています。英語で書く詩人として最新のノーベル文学賞詩人たちです。

目次
テクスト
第1連
第2連(コーラス)
二つのイディオム
音の強さと長さ
自然な流れと韻律のわざ
第3連
strain と stress
第4連(コーラス)
第5連
第6連(コーラス)
第7連
第8連(コーラス)
第9連
第10連(コーラス)
解釈
ディランの歌

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テクスト

この歌は標準テクストとリクス(Christopher Ricks)版テクストとで相当な違いがある。その違いは意味がある。歌われる詩として分析する場合には、その違いに留意する必要がある。リクス版はどう歌われたかを重視して行分けされているからである。

そこで、ここでは標準テクスト('The Lyrics 1961-2012', 2016)とリクス版テクストとを併記する。リクスの方は 'Dylan's Visions of Sin' (2003) 所収のテクストを用いる。なお、リクスらが校訂した別のテクスト('The Lyrics. [Since 1962]', 2014)はコーラスの部分が2行になっており、nohow / now が押韻する形である。そこは標準テクストだと no how / now が1行おき(cross rime)になっている。つまり、この歌には3種類のテクストが存在する。ここでは標準版(2016)とリクス版(2003)を取上げる。

歌としての詩テクストを提示すると何が明らかになるか。

いちばん大事なことは韻文と散文の交替である。コーラス部分が散文的になっている。そして、韻文のところは短い詩行からなっており、その切れ方に大きな意味がある。

こうしたことが標準版のテクストだと見えない。


第1連

(標準版)
I got my back to the sun ’cause the light is too intense
I can see what everybody in the world is up against
You can’t turn back—you can’t come back, sometimes we push too far
One day you’ll open up your eyes and you’ll see where we are

(リクス版)
I got my back
to the sun ’cause
 the light is too intense
I can see what
everybody
 in the world is up against
You can’t turn back—
you can’t come back,
 sometimes we push too far
One day
you’ll open up your eyes and
 you’ll see where we are

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