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大和歌を英語で読む1

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旧「大和歌を英語で読む」(1)+(2) 旧マガジンの説明:万葉集を英訳で読んでゆきます。1300年前の日本語より現代の英語のほうが分りやすいなどということがあるのでしょうか。それ…
万葉集を英訳で読んでゆきます。1300年前の日本語より現代の英語のほうが分りやすいなどということが…
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#天皇

[万葉]Line their boats (巻1.36)

大和歌を英訳で読むマガジン(2) の第3回は万葉集巻1の36番の歌です。 ……百磯城の 大宮人は 船並めて 旦川渡り 舟競ひ 夕河渡る 此の川の 絶ゆる事なく 此の山の いや高しらす 水たぎつ 滝の都は 見れど飽かぬかも ……たくさんの石で築かれた大宮殿の宮廷人たちは、船を並べて朝の川を渡り、船を競わせて夕の川を渡る。この川のように絶えることなく、この山のようにいよいよ高くお治めになる、水が力強く流れる滝の離宮は、いくら見ても飽きることはない。 (英語万葉集) 作者は柿

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[万葉]Spring has passed (巻1.28)

大和歌を英訳で読むマガジン(2) の第2回は万葉集巻1の28番の歌です。 春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣乾したり 天の香具山 春が過ぎて夏が来たらしい。白い布の衣が乾してある、天の香具山。(英語万葉集) 作者は持統天皇 (645-703) とされています。 [里中満智子『天上の虹——持統天皇物語』] 万葉集が「翻訳しやすい」と言われる理由が本歌の大和ことばに見られると、リービ英雄氏はいいます。どういうことなのでしょう。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 *

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[万葉]Many are the mountains (巻1.2)

大和歌を英訳で読むマガジン(2)の第1回は万葉集巻1の2番の歌です。 大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は 大和にはたくさんの山があるが、その中で草木が茂ってみごとに装っている天の香具山に登り立って国見をすると、国原にはかまどの煙が次つぎと立ちのぼり、海原ではかもめがしきりに飛び立つ。良い国だぞ、蜻蛉(あきづ)島の大和の国は。(英語万葉集) 作者は舒明天皇 (59

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[万葉]When spring comes (巻1.16)

大和歌を英訳で読むマガジン(1)の第2回は万葉集巻1の16番の歌です。 冬ごもり 春去り来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂み 入りても 取らず 草深み 取りても 見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ 青きをば 置きてそ嘆く そこし恨めし 秋山我は 作者は額田王 (630-90) とされています。 [上村松篁「額田女王」] 春山と秋山について額田王が判定した歌といわれています。額田女王はどちらを上とした

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[万葉]Girl with your basket (巻1.1)

大和歌を英訳で読むマガジン(1)の第1回は万葉集巻1の最初の歌です。 籠もよ み籠もち ふくしもよ みふくしもち この岡に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座せ われこそは 告らめ 家をも名をも 万葉集巻頭の歌として有名な歌です。作者は雄略天皇 (418-79) とされています。この歌はいったい何を詠っているのでしょうか。 万葉のことばをそのまま現代の日本人が受取ることが、もし難しいとしたら、それは日

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