マガジンのカバー画像

大和歌を英語で読む1

12
旧「大和歌を英語で読む」(1)+(2) 旧マガジンの説明:万葉集を英訳で読んでゆきます。1300年前の日本語より現代の英語のほうが分りやすいなどということがあるのでしょうか。それ…
万葉集を英訳で読んでゆきます。1300年前の日本語より現代の英語のほうが分りやすいなどということが…
¥2,000
運営しているクリエイター

2018年4月の記事一覧

[万葉]万葉恋歌の超訳

『超訳万葉集』の題の書籍もあるが、ここでは上野誠著の『小さな恋の万葉集』を覗いてみる。広く言えば口語訳万葉集だけれど、もっとふだんの話し言葉に近い。もし、ここに訳されているようなニュアンスだとしたら、1300年前も今も恋を語る言葉はほぼ同じだと感じさせられる。 例えば、次のような歌がある。 ふたりのほかに だーれもいないお国が どっかにないんやろか…… あの子とふたりっきりで 手に手をとって デートを楽しめるお国はないんかい! こんな歌、ほんとに万葉集にあるのか。もし、

¥100

[万葉]Because of Fuji's lofty heights (巻3.321)

大和歌を英訳で読むマガジン(2) の第5回は万葉集巻3の321番の歌です。 不尽の嶺を 高み恐み 天雲も い行きはばかり たなびくものを 富士の嶺が高く恐れおおいので、天の雲も行くのをためらって、たなびいている。 (英語万葉集) 作者は高橋虫麿 (生没年不詳) とされています。 長歌と短歌の関係、また「恐み」をどう捉えるか。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 * 目次 読み下し文 英訳 解釈  他の学説 * 【マガジンの案内】 名称:大和歌を英語で読む(

¥400

[万葉]I see the moon suspended (巻3.289)

大和歌を英訳で読むマガジン(2) の第4回は万葉集巻3の289番の歌です。 天の原 振りさけ見れば 白真弓 張りて懸けたり 夜道は吉けむ 天の原を振り仰いで見ると、月は白い真弓のように張られて空に懸けてある。夜道は行くのによろしいだろう。 (英語万葉集) 作者は間人大浦 (生没年不詳) とされています。 世界文学の中で月を弓にたとえる表現は、たぶん、めずらしくないとリービ英雄氏はいいます。この歌の場合はどうなのでしょうか。英訳を通してこの歌をながめてみます。 *

¥300

[万葉]Line their boats (巻1.36)

大和歌を英訳で読むマガジン(2) の第3回は万葉集巻1の36番の歌です。 ……百磯城の 大宮人は 船並めて 旦川渡り 舟競ひ 夕河渡る 此の川の 絶ゆる事なく 此の山の いや高しらす 水たぎつ 滝の都は 見れど飽かぬかも ……たくさんの石で築かれた大宮殿の宮廷人たちは、船を並べて朝の川を渡り、船を競わせて夕の川を渡る。この川のように絶えることなく、この山のようにいよいよ高くお治めになる、水が力強く流れる滝の離宮は、いくら見ても飽きることはない。 (英語万葉集) 作者は柿

¥500

[万葉]Spring has passed (巻1.28)

大和歌を英訳で読むマガジン(2) の第2回は万葉集巻1の28番の歌です。 春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣乾したり 天の香具山 春が過ぎて夏が来たらしい。白い布の衣が乾してある、天の香具山。(英語万葉集) 作者は持統天皇 (645-703) とされています。 [里中満智子『天上の虹——持統天皇物語』] 万葉集が「翻訳しやすい」と言われる理由が本歌の大和ことばに見られると、リービ英雄氏はいいます。どういうことなのでしょう。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 *

¥400

[万葉]Many are the mountains (巻1.2)

大和歌を英訳で読むマガジン(2)の第1回は万葉集巻1の2番の歌です。 大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は 大和にはたくさんの山があるが、その中で草木が茂ってみごとに装っている天の香具山に登り立って国見をすると、国原にはかまどの煙が次つぎと立ちのぼり、海原ではかもめがしきりに飛び立つ。良い国だぞ、蜻蛉(あきづ)島の大和の国は。(英語万葉集) 作者は舒明天皇 (59

¥500