[書評] 新編 人生はあはれなり… 紫式部日記
小迎裕美子『新編 人生はあはれなり… 紫式部日記』(KADOKAWA, 2023)
才女批評と式部の自意識
『新編 本日もいとをかし!! 枕草子』では清少納言派だった著者が本書では紫式部派になっている。
それでも、何かにつけて、この二人の女性作家を著者が比較することはとまらない。紫式部本人も、清少納言は、他の作家たちと並んで、意識する対象だったのはまちがいない。
本書は紫式部日記をベースに、軽快なタッチで平安時代の宮中の雰囲気や、その周辺の人々の動きを、それぞれの思惑