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今夜、はつゆき、 降るのでしょうか 窓のそと 静まっていく足音に 目と耳が吸い込まれ 冬になる 都市に痛んだ雲の影に隠れ かすかに湿った燐寸を擦れば わたしより先に産まれなかった、ねえさん、 あなたの空に 貸し続けているものが浮かびます それは雨、霧、霜、 それともこれから降るだろう、雪、のどれか あなたがいちども触れることのなかった わたしたちの故郷の 凍えきった空気が 肉の薄い花びらに変わり いつまでも わたしの夢の経路を埋めつくしています 雪に吸われた重さのない