マガジンのカバー画像

音楽 評 / 旅(ピアノ)

88
音楽関連
運営しているクリエイター

#コラム

音楽の耳と言語の耳

Fum さんから質問票をいただき、コメント欄にすこし書きました。やや舌足らずかもしれないと思いましたので、もう少し丁寧に書きます。 「ピアノに対する耳が良いというのは、英語に対する耳が良いとイコールなのでしょうか?」 「音楽と言葉の思考回路はどういう風に重なっていると思われますか。」 こういうご質問の内容でした。詳しくはぜひ Fum さんの「note×ISAK (勝手にコラボ②)」をお読みください。 そこのコメント欄に書いたのはつぎの内容でした。  こんにちは。名前

コラム|音楽|詩 と勝負

池上彰氏のコラムとの勝負法(「あさイチ」20170106)。 ・新聞のコラムを読む。 ・最初の2、3行で判定。 → 何を書くかわかれば自分の勝ち → 何の話かわからず最後まで読んでナルホドとなれば相手の勝ち 後者の場合は書き手(=コラムニスト)が優れていることを表す。そこで原稿用紙に写してみる。読んだだけではわからない筆の運びの妙が体得できる。自分の文章術も向上する。 *** 話は違うがわたしは音楽についてこれをつねにやっている。最初の数秒でだいたいわかる。もしわか

シャン・ノース歌唱への旅立ち〜前史

※ My Musical Journey 器楽篇(ピアノ)に続き、歌篇を開始します。歌篇はほぼシャン・ノース歌唱のことになる予定です。 My Song Journey 0: ブラック・ホーク アイルランドの無伴奏アイルランド語歌唱「シャン・ノース」の研究をライフワークにしようと思い定めたのはいつだったか。今となっては想いだせない。 ■ ブラック・ホーク おそらく故・松平維秋氏の番組でアイルランドの音楽を聴いたときか、彼が回すターンテーブルからの音がきっかけだったろう。

自分の専門的立場

「note 読者の購入動機」という記事を書きました。そこで、専門的知識を求める読者向けに自己PRをする必要があるという主旨を引用しました。この記事です。 そこで、私が書くたぐいの記事に、果たして「専門的知識」が反映されているのかどうか、知りたい読者のために、自分の専門的立場を以下に書きます。 私はとある研究機関に所属し、アイルランド語文学、英文学、米文学、詩学、また時にはコンピュータ・サイエンスを研究しています。現在の専門は、アイルランド語詩歌、詩学、聖書学です。 詩学

耳とソノリティ

リズム面で言語と音楽との関係を考えたノートを書きましたが、そこでふれなかった音の質のことをかきます。 言語を構成する音のソノリティと周波数の関係について。 ソノリティは音の聞こえ度のことで、高いほど母音性が高い。スケール図があります。(ソース) 一方、これらの音は周波数が違います。閉鎖音のあたりは高い。そこで、これらの音の聞き取りはその高さが聞こえる耳が必要になります。 *** ここからは私見ですが、それらの音を聞き取る耳のために、高周波成分を含む音や音楽に耳を慣ら

Pipes紀行

2016年4月29日(金・昭和の日)大阪城音楽堂で一連の Ireland Festival in Osaka 行事の取りとして「ケルティック音楽&ダンス」および「ケルティックビアガーデン&マーケット」が開催された。お目当ては Pipers Caffe だった。が、その話の前に当日の下準備のことを。まず腹ごしらえ。一路得正へ。 得正といえばカレーうどん。カレーうどんといえば得正である。何の不足があろう。得正のうどんのルーツは讃岐うどんながら、独自の粉の配合により、「讃岐うどん

あるマガジンとピアニスト

2016年3月上旬に始めた英詩のマガジンとピアニストAとは、どんな関係にあるのでしょうか。 そんな疑問をいだいたアナタのために、駄文を弄します。 まず、世の中に英詩を理解したいという需要があると見立てたのは、そのピアニストです。EUのコンセプトの立役者であるフランスの思想家のフランス語の本に、断りなしに英詩が引用されていたのが直接のきっかけです。そんな引用の仕方を見ると、どう考えてもヨーロッパの知識人にとって英詩は当然の教養となっていると思われたのです。英米ではいうまでも

Eric Clapton said

〔ここにはもともと、引用があったのだけれど、その引用元が消えたので空白になった。エリック・クラプトンの発言として「舞台に上がるときには自分が一番上手いと思え、舞台から下りるときは自分は一番下手だと思え」ということばが引用されていた。このことばは原語では確認されていない。教訓として、今後 Twitter から引用するときは注意します。〕 このクラプトンのことばは音楽を超えて他の分野にも応用がきく。たとえば、文章をかくような場面でも通用する心がまえだ。文章を書くときには自分が一

研究方法を自分で

 きっかけは Fum さんのこのノート。  大学院での研究のことや、大検のこと、こども食堂のこと。いずれも社会も教育も世界も動き続ける中での自分の選択に関わります。 ***  現在の自分につながる学問的な内容は先達に教わった部分と独学で得た部分と。  すべては時を得ないと実現/発現しません。ある意味で運とも言えます。例えば、あることを研究したいと大学院へ行ったとしても目当ての教授がその年に退官したり移籍したりすることが普通にあります。そうなると独学にならざるを得ない。

極私的'A Case of You'選

カナダのシンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルの 'A Case of You' をプリンスがピアノ弾き語りしているのを知って刺激を受け、いろいろなアーティストで聴き直した。極端なことをいえば、あまり上手くなくてもこの歌はそれなりに聞かせるくらいの名曲だ。だけど、センスをもって取扱えば、極上のものができあがる。ジョニはもともと画家で、歌い手としての資質はトゥルバドゥールのようなものだ。つまり、自ら歌をつくる詩人。発見する詩人といってもいい。それを汲めば、音響的にも映像的

Samba pra Vinicius

Toquinho, Quarteto em Cy, Chico Buarque, 'Samba pra Vinicius' クァルテート・エン・シ(シー)の映像がないかと探していたら1本見つけた。これが大当たり。 Poeta, meu poeta camarada Poeta da pesada, Do pagode e do perdão Perdoa essa canção improvisada Em tua inspiração De todo o cora

Over the Moon: Jacob Collier

21歳の若者が未来から降り立った。その興奮と覚醒。パワー注入にも最適。 動画リンク Snarky Puppy feat. Jacob Collier & Big Ed Lee - "Don't You Know" (Family Dinner Volume Two) まだ分析していないけれどこれはすごい歌の予感がする。存在自体が信じられないくらいのレベル。 #音楽 #歌 #Jacob_Collier #Snarky_Puppy #コラム #ピアノ

見てうれしい三つの夢

〈海へ行き、キレイな写真がたくさん撮れたので、noteにupしよーとおもったところで目が覚めました。全部夢でした。〉 と、飛渡さゆりさんがお書きになっているのを読んで、頭に浮かぶこと(rêve)。それは見てうれしい夢のことだ。 一、飛ぶ夢 二、どこまでもカッコいいフレーズが自分の指から流れまくる夢 三、アイルランド語で会話している夢  このうち、可能ならぜひとも録音したいのが第二の夢で、もし音源として保存できれば自分にとっては世界で最高の信じられない音楽になるだろう

民謡を掘り起こす浅野晴香

宮崎の民謡を掘り起こし、後世に歌い継ぐ活動をしている浅野晴香さん。民謡の修行は秋田でしたという。 (ぼくも似たような作業をしている。アイルランド語伝統歌で。日本の民謡で同じことをしているひとがいて、びっくりした。) 浅野晴香さんについてネットで見つかったのは動画一本のみ。すばらしい。 浅野晴香さんは「民謡名人位」の浅野梅若(1911-2006)の内弟子の一人。梅若流連合会のページを見ると、現在「大師範」。 #音楽 #コラム #歌 #民謡 #浅野晴香 #宮崎 #歌い継ぐ