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15、マグネシウムの話

今日取り上げるものは「マグネシウム」です。あまり馴染みがない名前かもしれませんが、身体の中では重要な働きを担っていますので欠乏しないように摂取を心掛けましょう。

マグネシウムは身体にとっては必須のミネラルで、成人の場合は体内に20グラム~30グラムの量が存在しています。その中の5割~6割がリン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムといった形で骨や歯の成分として含まれています。したがって、マグネシウムが不足するとそのまま骨の形成に影響が出て来ます。

骨や歯の次には、筋肉や神経、脳に分布していて、数多くの酵素の働きを活性化しています。また神経や筋肉に多く存在していることから、神経を伝わる刺激の伝達をスムーズにしたり、体温や血圧の調節にも関わっています。これによって、マグネシウムが不足すると神経関連では情報伝達に支障が出てきたりしかねません。関わっている(活性化する)酵素の数は、なんと300種類以上にのぼるのだとか。このように、身体の中では数多くの酵素の働きに関わることで、さまざまな代謝に影響を及ぼしています。

ですから、不足すると不整脈や虚血性心疾患、高血圧、筋肉のけいれんを引き起こしたりもするんですね。他にも神経過敏になったり、抑うつ症を発症したりすることもあります。最近は日本人の食生活の傾向が欧米化しているために、穀物類の摂取が減ってきていると言われています。もともと日本の土壌自体もマグネシウムの含有量が少ない傾向があるらしく、慢性的な摂取不足の状態が続いています。

反対に過剰摂取になる場合を考えてみると、普通の食生活を続けている限り過剰摂取の心配はしなくてよさそうです。何しろ慢性的な摂取の不足状態ですから。ただ、サプリメントなどを使って不足を補おうとした場合、過剰摂取になる可能性が無いわけではありません。その場合は軟便になったり下痢を起こしたりする事があるのだとか。

とはいっても、余分なマグネシウムは腎から体外に排出されますので、腎機能がちゃんと働いていればその様な症状になることは少ないと考えられています。反対に、腎機能が低下している場合は体外への排出量が減ってくる可能性がありますので、血液中のマグネシウム濃度が高くなることもあるでしょう。ただし、実際にマグネシウムを腎機能の指標として測定するという事は、医療機関ではあまり行なわれていないようです。

因みに、マグネシウムは細胞内には多く存在しています。量的にはカリウムの次くらいの多さですが、細胞外液の量は非常に少なく、その量はマグネシウム全体の量の1パーセントにも満たない量です。血清中の濃度はおよそ2mg/dlです。

マグネシウムの一日あたりの摂取量は目安として、成人男性が370mg/dl、女性が290mg/dlとされていますが、妊娠中はもう少し量が多めになります。マグネシウムを多く含むとされている食品としては、は藻類、魚介類、穀類、野菜類、豆類などが挙げられますが、カルシウムと一緒に摂ると効果的と言われています。これはカルシウム側の話じゃないかな、カルシウムはそれだけを摂取するよりもマグネシウムと一緒に摂取した方が吸収率が良いということなので(カルシウムの吸収率アップの話は「13、カルシウムの話」を参照)。


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