見出し画像

保存料

食品添加物の三つ目の話題は「保存料」の話です。保存料が用いられる目的は「食品の保存性を高める」ためで、細菌などの微生物の汚染や繁殖があってはいけませんし、それによる腐敗などは以ての外(もってのほか)ということで、食中毒を予防するために添加されるものです。

働きとしては細菌やカビといった微生物の発育や繁殖を抑制することで腐敗を防ぎ、食品の保存性を向上させることにあります。ですから、基本的には菌が生えてこない状態、腐っていない状態をなるべく長く継続させるということになりますね。

ちょっとややこしくなりますが、食品添加物の種類として、保存料以外に「防カビ剤」というものもあります。殺菌料だとか酸化防止剤だとか、そういった名称の食品添加物もあるんです。それじゃ、いったい何が違うんだという事になりますよね。ザックリと違いを書くとこんな感じです。

保存料は微生物の増殖を抑制して、食品の保存性を高めるために用います。殺菌が目的ではありません。あくまで静菌、抗菌作用です。

防カビ剤はカビによる腐敗防止の目的で使用する添加物です。外国ではポストハーベスト農薬の目的で使用されますが、日本では添加物として規制の対象にしています。
ポストハーベスト農薬というのは果実や小麦などの収穫後に使用する農薬のことで、輸送や貯蔵が長時間にわたる場合、中にカビが発生することがありますので、それを防止するためにわざわざ収穫後に用います。

殺菌料は殺菌作用をもつもので、これも食品添加物の一つのカテゴリーとして存在しています。使用の目的は食品の腐敗の原因となる微生物を死滅させるということですが、相手を死滅させる分、毒性も強くなりますので、食品として完成する前の段階で無害な状態にまで分解されるか、または食品から除去するか、どちらかの対応が必要になります。

酸化防止剤は油脂などの酸化を防ぐことで、食品の保存性をよくする目的で用いられます。

こういった違いがあるので、食品に添加するモノであっても別のものとして扱うんですね。その意味では、保存料は微生物を相手にする食品添加物の中では、まだ穏やかな方なのかもしれません。

ここで腐敗と発酵の違いを整理しておきましょう。微生物が発育して代謝をしているのですから、起きている現象は腐敗も発酵も同じです。違いは「人間の生活にとって、有用かどうか」という点にあります。有用なら発酵、有害なら腐敗というわけですね。中には判断に苦しむ状態に変化してしまう食品もありそうです。とくに地域限定のものだったりする場合、地元の人なら慣れ親しんだものなのでしょうけれども、他の地域の人にとっては「ちょっと・・・」ってなりそうです。

その意味では、ありきたりの表現ですが「初めて〇〇〇〇を食った人はエライ」ということになりませんか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?