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25、ソマトスタチンの話

何でもかんでも抑制?

インスリン、グルカゴンと続いたので、同じ膵臓から分泌されるホルモンのソマトスタチンを取り上げます。膵臓から分泌される点ではインスリンやグルカゴンと同じですが、その場所はランゲルハンス島のγ(D)細胞という別の場所から分泌されるホルモンなんです。そして膵臓に限らず脳の視床下部であったり消化管の内分泌細胞と呼ばれる場所であったり、そんなところからも分泌されます。

とにかく、何でもかんでも抑制する働きがあるらしいので、一見困った奴の様にも見えるのですが、当然何か深い理由がありそうです。

先ずは消化器系での働きですが、インスリンやグルカゴンの分泌を抑制します。また、膵臓の内分泌だけでなく外分泌の働きも抑制します。それによって消化管への膵液の分泌が抑制されます。それ以外にもあれやこれやと、いろいろな物質の分泌や働きを抑制する方向に働きかけます。

例えば十二指腸から分泌されるコレシストキニンやセクレチンといった、膵液分泌を促進するホルモンの分泌も抑制します。そればかりではありません。消化管の本来の働きである栄養の吸収までも抑制してしまいます。そして同時にガストリンも抑制します。これによって胃液の分泌、そして胃酸の分泌が抑制されます。

まさにブレーキといった感じですね。それでは、ソマトスタチンは何によって分泌されるのかというと、食物摂取なんです。ソマトスタチンは食事をする事で分泌されるんです。そして、ソマトスタチンがこれらの膵液などの分泌を抑制することによって、血糖値を正常な状態に保つという働きなんです。

ずいぶんと回りくどいような気にもなりますが、こうして血糖値のコントロールはインスリンやグルカゴンと、それが分泌しすぎないようにするソマトスタチンとで、二重になっているんですね。

ではこのソマトスタチンが脳の視床下部から分泌される場合はどうでしょうか。

有名なところでは成長ホルモンの分泌を抑制する事でしょう。甲状腺刺激ホルモン(TSHと言った方が分かりやすい)の分泌抑制もそうですね。どちらも下垂体の前葉から分泌されるホルモンです。ただこれだけを聞くと「なんで?」となりますが、成長ホルモンもTSHも血中濃度が高いとソマトスタチンを使って分泌抑制をかけてくるものらしいです。そういえばこの両者のホルモン、身体の代謝をアップさせる方向に働きますから、血糖値は上昇させました。これが理由かな?

成長ホルモンは一日単位で調べてみると分泌量に周期があります。その名の通り身体を成長させるホルモンです。日中は身体活動をしているので、成長ホルモンはそれほど活躍はしません。代わりに夜になると分泌量が増えてきます。ですから血中濃度を調べる時は採血時間が重要になります。このホルモンは子供なら身体発育を促しますが、大人になると日中に活動して傷んだ組織などの修復に携わります。

そしてソマトスタチン、何でも間でもブレーキという訳ではなくて、夜になって成長ホルモンが頑張っている間は分泌がありません。だからしっかりと成長ホルモンが働いて、発育なり修復なりをしているんですね。


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